- 離婚協議書って何ですか?
- 公正証書との違いは何ですか?
- 誰が作るのでしょうか?
- 自分で作成することはできますか?
- 離婚協議書にはどんな内容を盛り込んだらいいですか?
- 離婚協議書の書き方を知りたいです
この記事では、このような疑問、悩みにお応えします。
離婚にあたってつくることができる書面が離婚協議書です。しかし、そもそも離婚協議書がどういう書面なのか、つくった方がいいのか、つくるメリットは何か、つくるとしてどんな項目・内容を盛り込んだらよいのか、公正証書との違いは何かなど、いろいろわからないことだらけだと思います。
そこで、今回は、離婚協議書の作成のプロである行政書士が離婚協議書や離婚協議書の書き方について一から詳しく、丁寧に解説していきます。この記事を繰り返しお読みいただくことで、ある程度ご自分でも離婚協議書を作ることができるようになりますので、ぜひじっくり時間をかけてお読みいただければと思います。
この記事を書いた人
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離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚協議書とは
離婚協議書とは離婚に向けて夫婦で話し合って合意した内容を盛り込んだ書面のことをいいます。
離婚協議書は契約書の一種で、標題を離婚協議書ではなく離婚契約書、離婚合意書とすることもあります。契約書であるがゆえに、一度サインした以上は、お互いに離婚協議書に盛り込んだ内容を誠実に守っていくことが求められます。
離婚協議書を作る目的はトラブル防止
離婚協議書を作る一番の目的は、離婚した後に言った・言わないのトラブルを防止することにあります。
確かに、口約束も法的には有効ですが、口約束だけだと、ときの経過とともに記憶が曖昧になり、どんな取り決めをしたのか離婚したあとで言った・言わないのトラブルになる可能性が高いです。離婚協議書を作っておくことで、こうしたトラブルになることを心配せずに生活していくことができます。
公正証書とは
離婚協議書に似た書面として(離婚)公正証書があります。公正証書とは公証人が作成する公文書で、盛り込む項目(親権、養育費など)は離婚協議書とほぼ同じですが、以下で解説するとおり、強制力の有無や内容などに大きな違いがあります。
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離婚協議書と公正証書との違い
離婚協議書と公正証書とでは「強制力の有無」、「作る人」、「作り方」、「内容(自由度)」、「証明力」、「費用」の点で大きな違いがあります。
違い①~強制力の有無
まず、離婚協議書と公正証書との一番の違いは強制力(※1)の有無です。
離婚協議書は「過去に〇〇の合意をした」ことを証明する証拠にはなりますが、その合意内容を強制的に実現するまでの力はありません。相手が養育費などの金銭の支払いに応じない場合は、裁判を起こして強制力のある書面を獲得する必要があります。
一方、公正証書は合意内容を証明する証拠になるのはもちろん、強制力もありますから、わざわざ裁判を起こす労力と手間を省くことができます(※2)。また、強制力があることで、相手にお金を払ってもらいやすくなるという間接的な効果も期待できます。
※1 公正証書を作っておけば、相手の給与などの財産を差し押さえる手続き(裁判)をとることができます。また、財産を差し押さえる前提として、裁判所を通じて相手の財産を開示させたり、市区町村などの公的機関に相手の勤務先の情報を教えてもらう手続きをとることができます。
※2 ただし、強制力のある公正証書を作るには、強制力のある公正証書を作ることに対する相手の同意が必要となります。公正証書を作った場合、強制力のある書面を獲得するための裁判は必要ありませんが、財産を差し押さえるための裁判は別途必要となります。
違い②~作る人
次に、離婚協議書と公正証書を作る人です。
離婚協議書は誰でも作ることができます。もちろん、夫婦で協力して作っていただいてもかまいません。一方、公正証書は公証役場に勤める公証人しか作ることができません。行政書士や弁護士などの専門家でも公正証書を作ることができません。ただし、公証人が公正証書を作るときに提出を求められることがある書面(公正証書の原案)は誰でも作ることができます。
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違い③~作り方
次に、離婚協議書と公正証書の作り方です。
離婚協議書の作り方は自由です。作る場所や時間、手順に縛られません。一方、公正証書は公証人が公証役場で作成します。あらかじめ必要書類などを準備したり、公証人との面談や公正証書を確認してサインする手続きも必要になります。また、日程を調整した上で、面談やサインのために公証役場まで足を運ぶ必要があります。
違い④~内容(自由度)
次に、離婚協議書と公正証書に盛り込む内容や内容の自由度です。
離婚協議書は自由度の高い書面です。常識に反しない内容であれば、夫婦で盛り込みたいと考える内容を自由に盛り込むことができます。一方、公正証書には、必ずしも夫婦が希望する内容を盛り込めるわけではありません。公証人は法律のプロですから、公証人が公正証書に盛り込んでも法的に意味をなさないと考える内容は公正証書に盛り込んでくれないこともあります。
違い⑤~証明力
次に、離婚協議書と公正証書の証明力です。
証明力とは、第三者が離婚協議書や公正証書を見たときに第三者に与えるインパクトの度合い、すなわち、信用力のことです。一般に、離婚協議書よりも公正証書の方が証明力が高い書面だと認識されます。それは、公正証書が公証人の主導のもと、きちんとした手続きを踏んだ上で作られる書面だからです。もっとも、離婚協議書でも内容がしっかりしていれば、公正証書と同等の証明力をもちます。
違い⑥~費用
最後に、離婚協議書、公正証書を作るための費用です。
行政書士などの専門家に作成を依頼しない限り、離婚協議書は無料で作ることができます。一方、公正証書の作成では費用が発生します。おおむね2万円~6万円の範囲内でおさまることが多いですが、具体的な金額は公正証書に盛り込む内容などによって異なります。公正証書の原案作成などを専門家に依頼した場合は、その費用もかかります。
離婚協議書と公正証書、どちらを作るべき?
公正証書は、万が一、お金を払う義務のある人が将来約束どおりにお金を払わなくなることに考えてに備えて作る書面です。このことから、養育費や慰謝料などのお金を分割で払うこと求めるときは公正証書を作るべきといえます。
もっとも、強制力をもつ公正証書を作るためには相手の同意が必要です。金銭の未払いが不安だからといって、公正証書を作ることにこだわりすぎると相手との信頼関係が崩れ、同意を得られなくなることも考えられます。
代理人を選ばない限り公正証書は一人で作ることはできません。公正証書の作成を希望する場合は相手の同意が得られるよう、誠実に冷静に話し合いを進めていくことが求められます。
離婚協議書は誰が作る?自分で作成できる?
離婚協議書は誰でも作ることができます。専門家しか作成することができない、専門家に作成を依頼しなければいけないという決まりはありません。また、夫婦のどちらが作成しなければならないという決まりもありません。ただ、できれば、自分で原案を作成してみることをおすすめします。
自分で離婚協議書を作成してみることで、相手と話し合うべき内容を整理した上で話し合いに臨むことができますから、話し合いをスムーズに進めることができ、話し合いの負担軽減にもつながります。また、あなた自身が納得できる質の高い離婚協議書を作成することにもつながります。
ただし、最終的には離婚協議書に不備がないかどうか専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。これまで一般の方がつくった離婚協議書をいくつも見てきましたが、どれも穴があるものばかりで、正式な書面として使えるものはありませんでした。一からつくる場合よりも費用を安く抑えることができますので、ぜひ一度ご検討いただければと思います。
離婚協議書を完成させるまで流れ
離婚協議書を完成させるまでの流れは次のとおりです。
① 離婚の準備をする
② 相手と話し合う内容を考える
③ 離婚協議書の原案を作成する
④ 相手に離婚を切り出す → 調停?
⑤ 離婚協議書を取り交わす→ 専門家のチェック
離婚を思い立ったら、相手に離婚を切り出す前に離婚準備をはじめるのが基本です(①)(ただし、DVを受けているなど、ただちに身の安全を確保すべき場合は除きます)。
今現在、相手の収入に頼って生活している、離婚後の生活が不安という方は、離婚後の収入を確保するための準備から真っ先にとりかかる必要があります。
もし、相手と話し合える状況であれば、離婚の準備の並行して相手と何を話し合うかも考えておく必要があります(②)。本やネットなどを使って情報収集するのも一つの方法です(※本サイトでも必要な情報を掲載していますので参考にしてみてください)。
本やネットなどで情報収集して知識を習得し、相手と何を話し合えばいいのかある程度わかってきたら離婚協議書の原案の作成にとりかかります(③)。わからない箇所は空欄にしておき、相手との話し合い後に埋めていきます。
離婚の準備を終え、離婚後の生活の不安を取り除けた段階で相手に離婚を切り出します(➃)。話し合いでは離婚と養育費などの離婚条件に関する合意を目指します。相手が話し合いに応じない、話し合いが進まない場合は調停を検討します。
話し合いではあなたの希望を伝えた上で、相手の希望ともうまく折り合いをつけながら話をまとめていきます。粘り強く何度か話し合いを重ねた上で、離婚と離婚条件について合意できたら正式な離婚協議書に修正し、サインします。
繰り返しになりますが、①から⑤の間で専門家を間に挟んでいない場合は、必ず専門家のチェックを受けるようにしてください。
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【有料コンテンツの目次】
7 離婚協議書の書き方
7-1 全体像
7-2 標題
7-3 離婚等の合意
7-4 親権者
7-5 養育費
7-6 面会交流
7-7 慰謝料
7-8 財産分与
7-9 年金分割
7-10 通知義務
7-11 禁止事項
7-12 清算条項
7-13 公正証書の作成
7-14 締め、日付、署名・押印
8 離婚協議書のサンプル
8-1 子供一人Ver
8-2 離婚協議書【子供一人】
8-3 子供二人Ver
8-4 離婚協議書【子供二人】
8-5 慰謝料なし・財産分与(不動産)Ver
8-6 離婚協議書【慰謝料なし、財産分与(不動産)】
9 金銭の取り決めをした場合は公正証書へ
10 離婚協議書に関するQ&A
11 離婚協議書の作成に困ったら行政書士に相談