養育費の減額請求に応じるか否かの基準、具体的ケース、対処法を解説

・どんな場合に養育費の減額に応じるべきですか?
反対に養育費の減額が応じてはいけないケースはありますか?
養育費を減額する場合、どのように対処したらいですか?

この記事ではこのような疑問、お悩みにお応えします。

一度養育費について取り決めたとしても、相手から養育費の減額を請求されることがあります。ただ、減額に応じるべきかどうか、応じるとしていくら応じるべきか判断に迷う方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、養育費の減額に応じるか否かの基準を示した上で、減額請求に応じるべきケース、応じなくてもよいケースや減額請求された際の対処法について解説していきたいと思います。

養育費の減額に応じるか否かの基準

相手から養育費の減額請求されたときは、まずは減額したい理由を聞き、次の基準をクリアするかどうか検討してみましょう。

養育費を取り決めた後に事情の変更が生じたこと
事情の変更が重要な事情の変更といえること
取り決め時、当事者が重要な事情の変更を予見し、予見しうることができなかったこと
重要な事情の変更が当事者の責めに帰することができない事由によって生じたといえること

検討してみて、もし、この基準を満たす場合は養育費の減額に応じる方向で、満たさない場合は応じない方向で話をすすめていくことになります。

養育費の減額に応じるべきケース

前述した基準を満たすかどうかは、あくまでケースバイケースの判断になりますが、一般的に次のようなケースでは養育費の減額に応じるべきといえます。

支払う側(義務者)が再婚した

まず、養育費を支払う側の義務者が再婚した場合です。
義務者の再婚相手が病気、怪我などの理由でやむを得ず働けない場合は、義務者の経済的負担が増えますから減額に応じなければならない可能性があります。
また、義務者が再婚相手との間の子をもうけた、再婚相手の子供を養子縁組した場合は、義務者は養育費を受け取る親(権利者)の子供以外に、これらの子供にも扶養義務を負いますから、養育費の減額に応じなければならない可能性があります。
もっとも、離婚時、義務者が再婚を予定していることを明らかにしている場合は③の条件を満たしませんから、減額に応じなくてもよい可能性があります。

権利者が再婚した

次に、権利者が再婚した場合です。
単に再婚した、再婚相手との間の子をもうけた、というだけでは減額に応じるべきではありません。
一方、再婚相手が子供と養子縁組した場合は養育費の減額に応じなければならない可能性があります。この場合は、再婚相手が子供に対する第一次的な扶養義務(元配偶者は二次的な扶養義務)を負うと考えられるからです。

義務者の収入が減った

次に、義務者の収入が減った場合です。
会社の倒産、会社経営の悪化・人員整理などによる解雇などによって失職、転職し収入が減少した場合や大病、大怪我などによって休職し収入が減少した場合は、④義務者の責めに帰することができない事由による収入の減少といえますので、養育費の減額に応じなければならない可能性が高いです。

権利者の収入が増えた

次に、権利者の収入が増えた場合です。
月々の養育費は、権利者の収入と義務者の収入との相関関係で決まります。そのため、権利者の就職、転職などによって収入が増えれば、その分義務者が払う養育費は減額され、減額に応じなければならない可能性があります。
もっとも、離婚時に、権利者が就職、転職することが決まっていて、その職場での収入をベースに養育費の額を取り決めていた場合は③の条件を満たさず、減額に応じなくてもよい可能性があります。

養育費の減額に応じるべきでないケース

一方で、養育費の減額に応じるべきではないケースは次のようなケースです。

義務者の再婚相手が働いている、働ける

まず、義務者の再婚相手が働いて収入を得ている場合や、今現在働いていていなくても、働くことに支障がない場合は、義務者が再婚したことを理由に養育費の減額に応じるべきではありません。

あなたが再婚した

次に、前述のとおり、権利者であるあなたが再婚したから、という理由のみで養育費の減額に応じるべきではありません。なお、あなたが再婚しても、義務者の子供に対する扶養義務が免除れるわけではありません。

浪費、自己都合による退職などで収入が減った

次に、浪費、自己都合による退職・転職など、義務者の責めに帰することができる事由によって収入が減った場合は養育費の減額に応じるべきではありません。

子供に会わせてくれない

次に、子供に会わせてくれないから養育費を減額するという主張にも応じるべきではありません。面会交流と養育費とは趣旨を異にする別個の権利であって、両者を取引の材料にすべきではないからです。

養育費を減額したいと言われたときの対処法

義務者から養育費を減額したいと言われたときは次の手順で対処します。

①話し合いをする

まずは、話し合いをすることです。
まずは、相手の話に耳を傾け、相手がどうして養育費の減額を望んでいるのか理由をしっかり聞きましょう。ここで聞く耳をもたない態度に出ると、勝手に減額されたり、支払いを打ち切られてしまったりする可能性もあります。
仮にそうなった場合、強制執行の手続きをとったり、相手の調停の申立てに応じなければならなかったりと、面倒なことにもなりかねませんので、細心の注意を払って対応する必要があります(※)。
相手の話を最後まで聞いた上で、冒頭でご紹介した基準を満たすかどうかをチェックします。相手の話が本当かどうか不安な場合は、相手に減額の理由を証明する資料の提出を求め、きちんと事実関係を確認してから減額に応じるか否かを決めましょう。

②公正証書を作成・変更する

次に、養育費の減額に応じる場合は合意内容を書面に取りまとめ、公正証書を作成する手続きをとりましょう。全国どこの公証役場でも手続きをとれますが、代理で任せない限り、最終的には二人とも公証役場へ足を運ぶ必要があります。
一方、すでに公正証書を作っている場合は新しい公正証書を作り、その公正証書で前の公正証書の内容を変更する手続きをとります。この場合も、全国どこの公証役場でも手続きがとれます。
なお、公正証書を作成するには、相手の同意が必要です。

③調停を申し立てる

そもそも話し合いができない、話がまとまらない場合は養育費請求(減額)調停を申立てます。
減額調停では、調停委員が当事者の間に入って話をまとめてくれますので、話し合いがスムーズに進む可能性があります。また、裁判所から相手に資料の提示を促してもらったり、調査嘱託をかけて相手の収入等を調査してもらうこともできます。
調停や審判では、より厳格に、先ほどの基準を満たすかどうかが判断されます。減額請求を拒否する場合は、調停委員に基準を満たさないことを裏付ける事実関係を主張、立証していくことが求められます。
なお、調停が不成立となった場合は、自動的に「審判」という手続に移行します。審判では、これまでの経過を踏まえた上で、裁判官が養育費の増額を認めるか、認めるとしていくらの増額を認めるのかを判断します。

参照:養育費請求調停 | 裁判所

養育費の支払いを一方的に打ち切られたら?

相手が養育費を減額してくれないか話を持ちかけてくるならまだしも、はじめから、あるいは減額の話し合いの途中から、養育費の支払いを打ち切ってくるケースもあります。
その場合は、まだ前の取り決めの効力が残ったままですので、前の取り決めの内容を請求し続けることができますが、相手が支払いに応じないようであれば次の対応をとることも検討しなければいけません。

公正証書などの書面を作っている場合

前の養育費の取り決め時に公正証書や調停調書などの強制力のある書面を作っている場合は、相手の財産を差し押さえる強制執行の手続きをとれないか検討する必要があります。

書面を作っていない場合

前の取り決め時に公正証書などの書面を作っていない場合、すなわち口約束で終わらせていた場合は、内容証明を使って支払いを請求し、それでも応じない場合は養育費請求調停、あるいは審判を申し立てることを検討します。

まとめ

相手から養育費の減額を請求されたら、まずは理由をしっかり聴き取り、必要に応じて客観的な資料を提出させるなどして基準を満たすかどうか検討してみましょう。満たす場合は減額に応じる方向で、満たさない場合は応じない方向で話を進めます。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。