• 養育費保証サービスとは何ですか?
  • 使うメリット、デメリット(注意点)は何ですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

養育費の未払いへの対策法は様々ありますが、養育費保証サービスを使うこともその中の一つではないでしょうか?ただ、養育費保証と聞くと「養育費を保証してくれるありがたいサービス」という漠然としたイメージをもたれているかもしれませんが、注意しなければいけないこともあります。

そこで、今回は、この養育費保証サービスがどんなサービスなのか解説した上で、養育費保証サービスを使うメリット・デメリット(注意点)などについて解説していきたいと思います。これから養育費保証サービスを使おうかどうか悩んでいる方にとって参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
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養育費保証サービスとは?

養育費保証サービスという場合、次のいずれかのサービスに該当すことが多いです。

※養育費を請求する権利がある人を「権利者」、養育費を支払う義務がある人を「義務者」と呼びます。

【サービス①(保証契約+保証委託契約)】
保証会社が義務者から養育費を受け取り、受け取った養育費を権利者に支払う。義務者が養育費を支払わない場合は、保証会社が義務者に請求する。サービスを利用するには、保証会社と権利者との間の「保証契約」のほか、保証会社と義務者との間の「保証委託契約」(義務者の同意)が必要。

養育費保証サービス①

【サービス②(保証契約)】
通常どおり、権利者が義務者から養育費を受け取る。義務者が養育費を支払わない場合は、保証会社から未払金を立て替えてもらい、保証会社が立替金を義務者に請求する。サービスを利用するには、保証会社と権利者との間の「保証契約」のみで足りる。

養育費保証サービス②

養育費保証サービスのメリット

養育費保証サービスを使うメリットは権利者のみならず、義務者にもあります。

権利者のメリット

権利者のメリットは次のとおりです。

未払いの心配をしなくて済む

最大のメリットは、何といっても養育費の未払いの心配をしなくていいことでしょう。

相手と養育費の取り決めをしていたとしても、離婚後、相手の再婚や失業、収入の減少などの事情により養育費が未払いになる可能性があります。しかし、養育費保証サービスを使えば、相手の事情に関係なく保証の範囲内の養育費を受け取ることができます。

未払い時に相手と連絡をとる必要がない

次に、養育費が未払いとなったときに相手と連絡をとる必要がないことです。

先ほどの図を見ていただくとおわかりいただけるように、養育費保証サービスでは保証会社があなたと相手の間に入り、万が一養育費が未払いになっても、養育費の支払いに関して保証会社が相手とやり取りしてくれます。

養育費以外のサポートを受けることができる

次に、サービス会社によっては養育費以外のサポートも受けることができることです。

離婚後の悩みは養育費のみならず、お金、仕事、住まい、子どものことなど様々です。悩みにぶつかったときにいつでも相談できるサービス会社を利用しておけば、離婚後の生活も安心して乗り越えていくことができるかもしれません。

義務者のメリット

続いて、義務者にとってのメリットは次のとおりです。

保証会社が立て替えてくれる

まず、保証会社が養育費を立て替えてくれることです。

仮に離婚後に出費が増えたり、収入が減ったとしても、理由によっては養育費を減額できないことがありますが、養育費保証サービスを使えば、養育費を減額できない場合でも今まで通りの金額を保証会社が立て替えてくれます。

支払い方法を相談できる

次に、支払い方法を相談できることです。

相手に「養育費の支払いを待ってほしい」、「未払い分を分割で払っていきたい」などと相談することには抵抗があるという方もいると思いますし、相談したところで拒否される可能性が高いかもしれません。この点、養育費保証会社には相手よりも相談しやすいという方もいるのではないでしょうか。

離婚に応じてもらいやすくなる

次に、離婚に応じてもらいやすくなることです。

相手が離婚に応じないのは、本当に義務者が養育費を払い続けてくれるかどうか疑問を抱いているからかもしれません。もし、相手が離婚に応じてくれず困っているときは、養育費保証サービスの利用を提案してみるのも一つの方法です。離婚に応じてくれるかもしれません。

養育費保証サービスのデメリット(注意点)

養育費保証サービスにはメリットがある一方で、次のデメリットもあります。

利用条件がある

まず、養育費保証サービスを使うには、次のような利用条件をクリアする必要があることです。

□ 養育費に関する合意書面を作っていること
※プランによっては債務名義の作成を必要とされることがあります
※債務名義とは強制執行認諾文言入りの公正証書や調停調書など、強制執行の手続きをする際に必要とされる書面です
□ サービスの利用について義務者の同意を得たこと
※サービス①の場合
□ 審査に通ること
※審査内容は適切な内容の合意書面を作っているかどうか、相手の個人情報(現住所、電話番号、勤務先の情報など)を把握できているかどうか、など
□ 未払いの養育費がないこと
※過去の養育費の未払い分は立て替えてもらえないことがほとんどです

保証料がかかる

次に、保証料がかかることです。

保証料には契約時にかかる初回保証料と月々にかかる月額保証料があります。どのような保証料がいくらかかるかは保証会社によって異なります。話し合いにより保証料を相手負担とすることもできます。

自治体の補助金制度(保証契約締結支援事業)

お住いの自治体によっては、権利者と保証会社との間の保証契約で発生する初回保証料に対して補助金(最大5万円)を出してくれる自治体があります。気になる方は自治体のHPで確認してみましょう。

保証期間が設定されている

次に、保証期間が設定されていることです。

「半年」、「1年」、「2年」、「3年」などの保証期間が設定されており、期間外は保証を受けることができません。また、保証会社によっては、期間を更新する際に更新料がかかることがあります。

保証範囲に限りがある

次に、保証範囲に限りがあることです。

保証期間があるということは養育費の支払期間が終わるまで養育費を保証してくれるわけではないということになります。また、相手から養育費の減額を請求された場合、保証会社が対応してくれるわけではなく、契約内容によっては減額後の養育費しか保証してくれない可能性もあります。

途中で契約を解除される可能性がある

次に、途中で契約を解除される可能性があることです。

冒頭でも解説したとおり、養育費保証サービスは権利者と保証会社との間の保証契約で成り立っています。そのため、契約途中に保証料を払わないなどの契約違反があると契約を解除され、養育費保証サービスを受けることができなくなる可能性があります。

保証会社が倒産する可能性がある

次に、可能性としては低いとはいえ、保証会社が倒産する可能性があることです。

保証会社は公的機関ではなく、あくまで民間の機関ですので、常に倒産のリスクを抱えています。契約の解除は自分で対策できますが、保証会社の倒産については対策のしようがありません。養育費保証サービスの利用を検討される際は、倒産のリスクがあることも頭の片隅に入れておいた方がよさそうです。

養育費保証サービス以外の未払い対策

養育費保証サービスを使うのは養育費の未払い対策のためだと思いますが、離婚前にできる養育費の未払い対策としては、養育費保証サービスを使うこと以外にも、

  • 養育費を一括請求する
  • 親権と監護権をわける
  • 面会交流のルールを考えておく
  • 公正証書を作る
  • 連絡の取り方について話し合っておく
  • 連帯保証人をつける
  • 調停で離婚する

などの方法があります。

養育費保証サービスを使うことのメリットよりデメリットの方が大きいと感じる場合には、これらの方法を検討してみるのも一つの方法です。