相手が離婚協議に応じない、進まないのはなぜ?適切な対処法も解説

  • どうして離婚協議に応じないのでしょうか?
  • 離婚協議が思うように進まないのはなぜでしょうか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

協議離婚を目指す場合は、相手との協議が必要ですが、相手が協議に応じなかったり、応じたとしてもなかなか思い通りに進まなかったりする場合があります。

そこで、今回は、相手が離婚協議に応じない理由、離婚協議が思い通りに進まない理由をとりあげるとともに、それぞれの対処法についても詳しく解説していきたいと思います。

相手が離婚協議に応じない理由と対処法

まず、相手が離婚協議に応じないのはなぜでしょうか?その理由や対処法について解説します。

あなたへの愛情が残っているから

まず、あなたへの愛情が残っている、まだやり直せると考えているから離婚協議に応じないことが考えられます。

そのような相手に対しては、

  • 離婚の意思が固いこと(揺るがないこと)
  • 関係修復は難しいこと
  • 相手への愛情は戻らないこと
  • どうして離婚を決意したか(離婚理由)
  • 形だけの夫婦関係を続けていても意味がないこと
  • 離婚した方がお互いにとってよいこと

などを、回数を重ね、時間をかけて丁寧に説明しましょう。

それでも離婚協議に応じない場合は別居か離婚調停を申し立てることを検討した方がよいでしょう。

なぜあなたが離婚を望んでいるのかわからないから

次に、なぜあなたが離婚を望んでいるかわかっていないから離婚協議に応じないことが考えられます。

相手が自分に非があると意識している場合は別ですが、意識していない場合や性格の不一致など、どちらか一方に非があると決めつけることができない場合は、相手があなたが考えている離婚理由についていまいちピンときてない可能性も考えられます。

そのような相手に対しては、まずは離婚理由をはっきり伝えた上で、その離婚理由のせいであなたがどんなことに苦労してきたのか、被害・迷惑を被ってきたのかを具体的な出来事を挙げながら伝えてみるとよいでしょう。

離婚後、再婚することが気に食わない、許せないから

次に、離婚後、再婚することが気に食わない、許せないから離婚協議に応じないことが考えられます。

特に、あなたへの愛情が残っている人、あなたを自分の所有物だと勘違いしている人がこうした考えをもつ傾向にあります。

まずは、前述のように、離婚の意思が固いことなどを丁寧に説明し、それでも離婚協議に応じない場合は別居か離婚調停を申し立てることを検討した方がよいでしょう。

離婚に応じると負けた気になるから

次に、あなたの離婚の申し出に応じると負けた気になり離婚協議に応じないことが考えられます。

特に、プライドが高い人、パワハラ・モラハラ傾向にある人、あなたから告げられた離婚理由に身に覚えがあり、自分に非があると薄々感じつつもそれを認めたがらない人がこうした考えをもつ傾向にあります。

こうした相手に離婚協議をもちかけても誠実に対応してくれることはありませんから、調停を申し立てるか弁護士に交渉を依頼することを検討した方がよいでしょう。

離婚後の生活が不安だから

次に、本当は離婚したいにもかかわらず、離婚後の生活に不安を抱いていて離婚協議に応じないことが考えられます。

特に、婚姻中、夫の収入を頼りに生活してきた専業主婦や収入が少ない女性が、経済的な理由から離婚を拒否するケースが目立ちます。可能であるならば、相手が離婚後の生活の不安を解消できるまで離婚を待ってあげたり、離婚協議の中で

  • 相場より高めの養育費の金額を設定する
  • 解決金名目で、ある程度まとまったお金を一括で支払う
  • 自立できるまで家賃や住宅ローンを負担する

などの提案をしてみるのも一つの方法です。

子供のことが心配だから

次に、子供のことが心配という理由で離婚協議に応じないことが考えられます。

子供をもつ親ならば、離婚後に子供と一緒に暮らす親も離れて暮らす親いずれも、まず一番に考えることが子供への影響ではないでしょうか?

離婚は親同士の問題という側面があることも否定はできませんが、一方で、親権、養育費、面会交流など、子供の立場に立って考えなければならない項目も多々あります。

まずは、「親同士がいがみ合っていては何一つ子供のためにならない」という認識を双方がもつことが大切です。その上で、どうすることが子供の健全な成長のために必要かという観点から物事を決めていく必要があります。

別居するなら婚姻費用の請求を

相手が協議離婚に応じない場合の対処法として別居することをご紹介しましたが、別居する場合は、必ず婚姻費用に関して話し合い、取り決めておきましょう。

別居することで相手の気持ちがあなたから離れていることはもちろんですが、別居期間が長くなれば長くなるほど婚姻費用の負担が重たくなり、気持ちが離れた相手のために婚姻費用を負担することが馬鹿らしくなって離婚協議に応じる可能性があります。

なお、婚姻費用の請求は速やかに行いましょう。なぜなら、婚姻費用(養育費も)は、基本的に請求した時点以後の分しか請求することができないからです。つまり、あとになって「過去の婚姻費用を請求したい」といっても認められない可能性が高いということです。

相手が請求に応じない場合は、速やかに婚姻費用の調停を申し立ててください。

離婚協議が進まない理由と対処法

相手が離婚協議に応じてくれたとしても、離婚協議が進まない可能性も考えられます。そこで、以下では、離婚協議が進まない理由やその対処法について解説します。

どんな内容をどう取り決めたらいいのかわからないから

まず、どんな内容をどう取り決めたらいいのかわからないことが、離婚協議が進まない理由として考えられます。

多くの方にとって離婚は初めての体験だと思います。そのため、これから離婚に向けて話し合いをしようにも知識がなく、相手とどんな内容について話し合い、何をどう取り決めたらいいのかわからないという方が非常に多いです。

こうした状況に対する対処法としては、まずは前述のとおり、離婚準備をしっかり行うことです。あらかじめ相手とどんな内容についてどう取り決めたらいいのか情報をインプットしておけば、実際の離婚協議でも混乱せずに離婚協議を進めることがでるでしょう。

相手と離婚協議の前に信頼できるネットの情報や無料の法律相談などを活用して、知識を蓄えておきましょう。

離婚協議が面倒、負担になったから

次に、離婚協議そのものが面倒になった、負担になったということが、離婚協議が進まない理由として考えられます。

離婚協議は数回、場合によっては何十回も重ねる必要があります。1回や2回で終わるもの、終わらせるべきものではありません。そのため、一度離婚協議を始めてみたものの、気力がもたず、途中で挫折してしまうことも考えられます。

できる限り、離婚協議を少ない回数で終わらせるには、これまで繰り返し述べているとおり、入念な離婚準備を行うことが大切ですが、準備不足のまま離婚協議を始めてしまった場合は、いったん離婚協議を中断するか、予算の都合がつく場合は弁護士に依頼することを検討した方がよいでしょう。

離婚条件についてお互いが譲歩しないから

次に、親権、養育費や慰謝料、財産分与の金額、面会交流の回数など、離婚条件についてお互いが譲歩しないことが、離婚協議が進まない理由として考えられます。

離婚協議では相手の立場や状況、考え方などにかまっていられない、配慮する余裕などない、ということも十分理解できます。しかし、お互いが相手の意見に耳を傾けず、自分の主張ばかりに拘っていると、いつまで経っても折り合わず離婚協議は平行線をたどるままです。

協議離婚を目指すのであればどこかで譲歩する必要があります。そのためには、あらかじめどこが譲歩できて、どこが譲歩できないのかご自身の意見を固めておき、離婚協議では相手にはっきり示すことも大切です。

どうしても意見が折り合わない場合は離婚調停を申し立てるか弁護士に依頼することも検討する必要があります。

離婚協議に応じない、進まない場合にやりがちなNG行動

最後に、相手が離婚協議に応じない、離婚協議が進まない場合にやってしまいがちなNG行動をご紹介します。これからご紹介する行動は絶対にやらないよう注意しましょう。

感情的になって相手を責め立てる

まず、感情的になって相手を責め立てることです。

相手が離婚協議に応じないなど、あなたの思うように事が運ばない場合はつい感情的になってこれまでため込んできた不満をぶつけてしまいがちです。しかし、そうすると、相手も応戦しようと同じような態度をとり収拾がつかず、協議離婚することが難しくなってしまうおそれがあります。

勝手に離婚届を提出する

次に、勝手に離婚届を提出することです。

相手の同意のない離婚は無効です。相手に発覚した時点で調停を申し立てられ、協議離婚が無効とされてしまう可能性があります。離婚届の相手の署名欄に勝手にサインして提出すると罪に問われる可能性もあります。

また、相手が過去にサインした離婚届にも注意が必要です。現時点では相手に離婚意思がない可能性もあります。離婚届はお互いに離婚意思があることが確認できてから提出するようにしましょう。

不適任な第三者を間に入れる

次に、不適切な第三者を間に入れてしまうことです。

夫婦だけで離婚協議が進まない場合は間に親などの第三者を入れることも一つの方法です。しかし、弁護士以外の人を間に入れるのであれば、なかなか見つけることが難しいかもしれませんが、公平・中立的な立場を取れる人が適任といえます。

夫婦の一方に肩入れするような人を間に入れてしまうと、かえって離婚協議を進めることができなくなってしまうおれがありますので注意が必要です。

相手の不当な要求を受け入れる

次に、相手の不当な要求を受け入れることです。

離婚協議では、ときどき相手から「離婚したいなら養育費はなし(払わない)」、「離婚に合意する代わりに、面会交流を週1で」などと、受け入れがたい要求をされることがあります。

先ほど「離婚協議では譲歩も必要」という話をしましたが、客観的にみて不当な要求につてはもちろん受け入れる必要はありません。

勝手に別居する

次に、勝手に別居することです。

夫婦関係が悪化したとはいえ、夫婦である以上は同居義務があります。勝手に別居すると夫婦の義務に反することになり、のちの離婚協議で不利になってしまう可能性があります。また、子どもを勝手に連れ去ることも言語道断です。DVを受けているなど一定の例外ケースを除いては、合意の上で別居するようにしてください。

財産・証拠を消去する、隠す

最後、財産や証拠を消去したり、隠したりすることです。

財産や証拠を消去したり、隠したりすると相手の権利が実現されず、その結果が、あなたの不利益となってかえってきます。公平、公正な離婚協議を実現するには、その土台となる財産や証拠がきちんとそろっておかなければいけません。そうした財産や証拠を意図的に隠滅してはいけません。

まとめ

相手が離婚協議に応じないときは、相手に応じない理由を聞くなどしてしっかりと見極め、理由ごとに適切な対処をすることが大切です。どうしても埒が明かない場合は別居や離婚調停を申し立てることも検討しましょう。

相手が離婚協議に応じない、離婚協議が進まないからといってやってはいけないことをやってしまうと、余計に事態を難しくしてしまいますので注意しましょう。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚や夫婦問題を中心に取り扱う行政書士です。 離婚や夫婦問題でご相談ご希望の方は「お問い合わせ」よりご連絡いただきますようお願いいたします。