• どうして相手は離婚協議に応じないのでしょうか?
  • 離婚協議が思うように進まないのはなぜでしょうか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

協議離婚を目指す場合は、相手との協議(話し合い)が必要ですが、そもそも相手が協議に応じなかったり、応じたとしてもなかなか思い通りに進まなかったりする場合があります。

そこで、今回は、相手が離婚協議に応じない理由、離婚協議が思い通りに進まない理由をとりあげるとともに、それぞれの対処法について詳しく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
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相手が離婚協議に応じない理由と対処法

はじめに、相手が離婚協議に応じないの理由や対処法から解説します。

あなたへの愛情が残っているから

まず、あなたへの愛情が残っている、まだやり直せると考えているから離婚協議に応じないことが考えられます。

そのような相手に対しては、

  • 離婚の意思が固いこと(揺るがないこと)
  • 関係修復は難しいこと
  • 相手への愛情は戻らないこと
  • どうして離婚を決意したか(離婚理由)
  • 形だけの夫婦関係を続けていても意味がないこと
  • 離婚した方がお互いにとってよいこと

などを、回数を重ね、時間をかけて丁寧に説明しましょう。

それでも離婚協議に応じない場合は別居して考える時間を設けるか、離婚調停を申し立てることを検討した方がよいでしょう。

なぜあなたが離婚を望んでいるのかわからないから

次に、なぜあなたが離婚を望んでいるかわかっていないから離婚協議に応じないことが考えられます。

相手が自分に非があると意識している場合は別ですが、意識していない場合や性格の不一致など、どちらか一方に非があると決めつけることができない場合は、相手があなたが考えている離婚理由についていまいちピンときてない可能性が考えられます。

そのような相手に対しては、まずは離婚理由をはっきり伝えた上で、その離婚理由のせいであなたがどんなことに苦労してきたのか、被害・迷惑を被ってきたのかを具体的な出来事を挙げながら冷静に伝えてみるとよいでしょう。

離婚後、再婚することが許せないから

次に、離婚後、再婚することが気に許せないと思っていることから離婚協議に応じないことが考えられます。

特に、あなたへの愛情が残っている人、あなたを自分の所有物だと勘違いしている人、あなたに対する支配的意識が強い人などがこうした考えをもつ傾向にあります。

まずは、すでに述べてたように、離婚意思が固いことなどを丁寧に説明した上で、それでも離婚協議に応じない場合は別居か離婚調停を申し立てることを検討した方がよいでしょう。

離婚に応じると負けた気になるから

次に、あなたの離婚の申し出に応じると負けた気になり離婚協議に応じないことが考えられます。

特に、プライドが高い人、パワハラ・モラハラ傾向にある人、あなたから告げられた離婚理由に身に覚えがあり、自分に非があると薄々感じつつもそれを認めたがらない人がこうした考えをもつ傾向にあります。

こうした相手に離婚協議に応じるよう求めても誠実に対応してくれる可能性は極めて低いですから、離婚調停を申し立てるか弁護士に交渉を依頼することを検討した方がよいでしょう。

離婚後の生活が不安だから

次に、本当は離婚したいにもかかわらず、離婚後の生活に不安を抱いていて離婚協議に応じないことが考えられます。

特に、これまで夫の収入を頼りに生活してきた妻が、経済的な理由から夫からの離婚の申出に応じないケースが目立ちます。少しでも妻の不安を解消するには、妻が離婚後の生活の不安を解消できるまで離婚を待ってあげたり、

  • 相場より高めの養育費を払う
  • 離婚後に受けることができる公的支援制度を案内する
  • 児童手当の受給者変更などの必要な手続に協力する
  • 解決金名目で、ある程度まとまったお金を一括で支払う

などして、離婚後の経済的な不安を解消してあげると離婚に応じてもらいやすくなるかもしれません。

子どものことが心配だから

次に、子どものことが心配という理由で離婚協議に応じないことが考えられます。特に、離婚後に親権をもつことが多い妻がこうした想いを抱き、夫の離婚の申出に応じないケースが目立ちます。

もしかしたら「両親がそろっていた方が子どものためにはよい」という考えを捨てきれないでいるかもしれませんが、むしろ仮面夫婦や喧嘩の絶えない夫婦の方がよっぽど子どものためにならないことを伝えた方がよいでしょう。

また、先ほど述べたとおり、離婚後の経済的な不安を解消してあげることも必要です。養育費については一括で払う合意をしたり、分割で払う合意をする場合は離婚公正証書を作ることに合意し、手続きに協力する姿勢を示すことが相手の安心材料につながります。

そのほか、子どもの負担を考えて、転園・転校の必要がないように、妻と子どもが今の家に住み続けることに合意したり、家賃や住宅ローンを肩代わりしていくことなども考えられます。

世間体が気になるから

次に、あまりに世間体を気にしすぎてしまって離婚協議に応じないことが考えられます。

離婚したからといって後ろめたさを感じる必要はまったくありませんが、離婚に対する価値観は人それぞれです。相手によっては「離婚=人生の失敗」だと感じていて、離婚することで仕事や人付き合いなどに悪影響が出るのではないかと考えている可能性もあります。

しかし、離婚したことが周囲に伝わっても、あなたの離婚について興味・関心をもたれるのは一時のことです。人は忘れやすい生き物ですから、時間が経過するとともにあなたの離婚のことは徐々に忘れられていきます。

また、自分が思っている以上に、周囲は自分に興味・関心をもっていません。そんな周囲の目を気にするよりかは、自分の気持ちに素直にしたがった方が後悔のない人生を送ることができます。以上のようなことを参考にして、まずは相手の説得を試みてみましょう。

別居するなら婚姻費用の請求を

先ほど相手が離婚協議に応じない場合の対処法として別居することをご紹介しましたが、別居する場合は、必ず婚姻費用について話し合い、取り決めておきましょう。

別居期間が長くなれば長くなるほど相手にとって婚姻費用の負担が重たくなり、あなたのために婚姻費用を負担することが重荷となって離婚協議に応じることが考えられるからです。

婚姻費用(養育費も)は、基本的に請求した時点以後の分しか請求することができません。そのため、別居を決めた段階で金額などについて考えおき、別居と同時に請求していくことが大事です。

なお、相手が話し合いに応じない、話がまとまらないという場合は、婚姻費用の調停を申し立ててください。

離婚協議が進まない理由と対処法

相手が離婚協議に応じたとしても、一定時点から離婚協議が進まないこともあります。そこで、以下では、離婚協議が進まない理由やその対処法について解説していきたいと思います。

何をどう協議すればいいかわからないから

まず、どんな内容をどう取り決めたらいいのかわからないことが、離婚協議が進まない理由として考えられます。

多くの方にとって離婚は初めての体験だと思います。そのため、これから離婚に向けて話し合いをしようにも知識がなく、相手とどんな内容について話し合い、何をどう取り決めたらいいのかわからないという方が非常に多いです。

こうした状況に対する対処法としては、まずは離婚準備をしっかり行うことです。あらかじめ相手とどんな内容についてどう取り決めたらいいのか情報をインプットしておけば、実際の離婚協議でも混乱せずに進めることがでるでしょう。

相手と離婚協議の前に信頼できるネットの情報や無料の法律相談などを活用して、知識を蓄えておきましょう。

離婚協議が面倒、負担になったから

次に、離婚協議そのものが面倒になった、負担になったということが、離婚協議が進まない理由として考えられます。

離婚協議は数回、場合によっては何十回も重ねる必要があります。1回や2回で終わるもの、終わらせるべきものではありません。そのため、一度離婚協議を始めてみたものの、気力がもたず、途中で挫折してしまうことも考えられます。

できる限り、離婚協議を少ない回数で終わらせるには、これまで繰り返し述べているとおり入念な離婚準備を行うことが大切です。準備不足のまま離婚協議を始めてしまった場合は、いったん離婚協議を中断するか、予算の都合がつく場合は弁護士に依頼することを検討した方がよいでしょう。

離婚条件についてお互いが譲歩しないから

次に、親権、養育費や慰謝料、財産分与の金額、面会交流の回数など、離婚条件についてお互いが譲歩しないことが、離婚協議が進まない理由として考えられます。

離婚協議では相手の立場や状況、考え方などにかまっていられない、配慮する余裕などない、ということも十分理解できます。しかし、お互いが相手の意見に耳を傾けず、自分の主張ばかりに拘っていると、いつまで経っても折り合わず離婚協議は平行線をたどるままです。

協議離婚を目指すのであればどこかで譲歩する必要があります。そのためには、あらかじめどこが譲歩できて、どこが譲歩できないのかご自身の意見を固めておき、離婚協議では相手にはっきり示すことも大切です。

どうしても意見が折り合わない場合は離婚調停を申し立てるか弁護士に依頼することも検討する必要があります。

離婚協議に応じない、進まない場合にやりがちなNG行動

最後に、相手が離婚協議に応じない、離婚協議が進まない場合にやってしまいがちなNG行動をご紹介します。これからご紹介する行動は絶対にやらないよう注意しましょう。

感情的になって相手を責め立てる

まず、感情的になって相手を責め立てることです。

相手が離婚協議に応じないなど、あなたの思うように事が運ばない場合はつい感情的になってこれまでため込んできた不満をぶつけてしまいがちです。しかし、そうすると、相手も応戦しようと同じような態度をとり収拾がつかず、協議離婚で離婚することが難しくなってしまうおそれがあります。

勝手に離婚届を提出する

次に、勝手に離婚届を提出することです。

相手の同意のない離婚は無効です。相手に発覚した時点で調停を申し立てられ、協議離婚が無効とされてしまう可能性があります。離婚届の相手の署名欄に勝手にサインして提出すると罪に問われる可能性もあります。

また、相手が過去にサインした離婚届にも注意が必要です。現時点では相手に離婚意思がない可能性もあります。離婚届はお互いに離婚意思があることが確認できてから提出するようにしましょう。

不適任な第三者を間に入れる

次に、不適切な第三者を間に入れてしまうことです。

夫婦だけで離婚協議が進まない場合は間に親などの第三者を入れることも一つの方法です。しかし、弁護士以外の人を間に入れるのであれば、公平・中立な立場を取れる人が適任といえます。

夫婦の一方に肩入れするような人を間に入れてしまうと収拾がつかなくなり、かえって離婚協議を進めることができなくなってしまうおれがありますので注意が必要です。

相手の不当な要求を受け入れる

次に、相手の不当な要求を受け入れることです。

離婚協議では、ときどき相手から「離婚したいなら養育費はなし(払わない)」、「離婚に合意する代わりに、面会交流を週1で」などと、受け入れがたい要求をされることがあります。

養育費については親の都合で勝手に放棄すべきではありませんし、面会交流を週1で行うことは現実的に難しい場合が多いでしょう。離婚協議では譲歩も必要ですが、不当だと考える要求は簡単に受け入れるべきではありません。

勝手に別居する

次に、勝手に別居することです。

夫婦関係が悪化したとはいえ、夫婦である以上は同居義務があります。勝手に別居すると夫婦の義務に反することになり、のちの離婚協議で不利になってしまう可能性があります。また、子どもを勝手に連れ去ることも言語道断です。DVを受けているなど一定の例外ケースを除いては、合意の上で別居するようにしましょう。

財産・証拠を消去する、隠す

最後、財産や証拠を消去したり、隠したりすることです。

財産や証拠を消去したり、隠したりすると相手の権利が実現されず、その結果が、あなたの不利益となってかえってきます。公平、公正な離婚協議を実現するには、その土台となる財産や証拠がきちんとそろっておかなければいけません。そうした財産や証拠を意図的に消去したり、隠してはいけません。

離婚協議に応じない、進まない場合は調停、裁判?

これまで繰り返し述べているとおり、どうしても相手が離婚協議に応じてくれない、離婚協議が進まないという場合は離婚調停を申し立てて、調停での離婚を目指すのも一つの方法です。

調停では調停委員という第三者が間に入ってくれるため、夫婦同士で話し合いをするよりかは話し合いがスムーズにいき、うまく話がまとまる可能性があります。調停でも話し合いができない、話がまとまらないという場合は離婚裁判を提起することを検討します。

もっとも、調停も裁判も、裁判所という公的機関を間に挟む手続きですので、一定のルールに縛られたり、離婚までに時間がかかったり、過去の先例にとらわれて自由度の低い内容にしか話がまとまらないなどのデメリットがあります。

離婚調停を申し立てたり、離婚裁判を提起したからといって、満足のいく結果を得られるという保障はありませんので、離婚協議を進めるのか、離婚調停を申し立てるのかは慎重に検討する必要があります。

まとめ

今回のまとめです。

  • 相手が離婚協議に応じない、離婚協議が思うように進まない場合は理由を見極め、適切に対応する
  • 相手が離婚協議に応じない、離婚協議が思うように進まないからといって不適切な対応をとると、のちのち面倒なことになるので注意する