離婚・別居後の住まいはどこにする?5つの候補地について解説します
- 離婚後の住まいをどこにするか悩んでいます・・
この記事ではこのような悩みにお応えします。
お金の準備と同時並行で進めていかなければいけないことが離婚・別居後の住まいの確保です。離婚・別居後の住まいはあなたと子どもの生活の基本となります。離婚・別居後の住まいによって、あなたの仕事や子ども自身や子どもの生活にも影響を及ぼします。
そこで、今回は、離婚・別居後の住まいをおすすめ順にご紹介するとともに、それぞれのメリット、デメリットもあわせて解説していきたいと思います。今後の、離婚・別居後の住まい探しの参考にしていただければ幸いです。
目次
離婚・別居後の住まい~今の家
一番のおすすめは、今の家に住み続けることです。
今の家に住み続ける最大のメリットは、今の生活パターン・環境を変える必要がないことでしょう。今の家から出ていくとなると、一から新しい住まいに慣れ、住む場所によっては生活環境や人間関係にも慣れていく必要があります。
特に、子どもがいる場合は、これまでの生活環境、人間関係を変えることは子どもへの負担が大きく、子どもの体調面や精神面に影響が出る可能性があることを考えると、まずはこれまでどおりの生活を継続できないか検討すべきです。
また、引っ越しの必要がなく、引っ越し費用を工面しなくていいこともメリットといえます。
一方、今の家が賃貸の場合も持ち家の場合も、そもそも今の家に住み続けることができるかどうかを検討する必要があります。
たとえば、賃貸で、賃貸借契約上の名義(借主)が夫で、妻が今の家に住み続けることを希望する場合は、名義を夫から妻に変更することについて貸主の承諾を得る必要があります。ただ、そもそも妻に家賃を払い続けるだけの経済力がない場合や保証人を立てることができない場合は、貸主の承諾を得ることができない場合もあります。
また、持ち家で、家と住宅ローンの名義が夫で、妻と子どもが家に住み続けることを希望する場合は、誰が住宅ローンを払っていくかを検討する必要があります。この場合、妻が住宅ローンを払うのが通常だと思いますが、夫と妻の合意だけでは住宅ローンの名義を変えることができず、名義を変更するには住宅ローン会社の承諾が必要です。
もっとも、妻に住宅ローンを払い続けるだけの経済力がない場合はローン会社から承諾を得ることは難しく、かといって、夫に住宅ローンを払うよう求めることもできず、結局は今の家から出ていかざるをえない場合もあります。また、仮に、名義変更の承諾が得られたとしても、家賃や住宅ローン、維持費、固定資産税などの費用がかかることも念頭に置いておく必要があります。
【メリット】
・今の生活パターン、環境を変える必要がない
・転職、転園・転校の必要がない
・子どもへの影響を最小限に抑えられる
・引っ越しの必要がない
【デメリット】
・今の家に住み続けることができない場合がある
・家賃、住宅ローン等を負担する必要がある
離婚・別居後の住まい~実家
次に、おすすめするのが実家に住むことです。
賃貸住宅に住む場合に比べて初期費用を安く抑えることができますし、諸手続きが不要です。ある程度家にお金を入れる必要があるにしもて、家賃やガス・水道光熱費がかからず、食事や子どもの面倒は親にみてもらえ、安心して仕事ができる点も大きなメリットです。
親の負担などを考えると長期間住むことには向いていないかもしれませんが、次の住まいを見つけるまでの「仮の住まい」として実家を選択することは間違っていないと思います。
一方、実家だからと頼れるわけでもありません。親の意見や体調しだいでは反対される可能性もあります。実家の大きさ、広さ、間取り、子どもの数によっては住めない可能性もありますし、住むとしても居心地の悪さを感じるかもしれません。また、親の住む場所によっては、子どもの転園・転校を考えなければなりません。
同居する人に所得がある場合は、同居しない場合に比べて児童扶養手当を多く受け取ることができません。親が過保護になったり、自分たちの生活や教育に過度に干渉してくる可能性もあります。
【メリット】
・初期費用を安く抑えることができる
・諸手続きが不要
・親に子ども、食事の面倒をみてもらえる
・子どもがいても安心して仕事できる
・家賃、水道光熱費などがかからない
・生活費を抑えることができる
【デメリット】
・親と仲が悪い場合は住めない
・親が心から受け入れてくれない可能性がある
・親に経済的、精神的、体力的な負担がかかる
・実家によっては住めない、居心地が悪いこともある
・生活全般や教育について過度な干渉を受ける可能性がある
・児童扶養手当が少なくなる
離婚・別居後の住まい~賃貸住宅
実家に住むことが難しい場合は、アパートなどの賃貸住宅に住むのが一般的です。
賃貸住宅であれば、あなたや子どもに合った住まいを自由に選ぶことができます。離婚を機に環境や人間関係を変えたい、心機一転したいという場合は選択肢の一つといえます。実家の近くに住めば、親のサポートを受けることもできます。また、費用はかかりますが、一度住んでみて違和感を感じる場合は、他の場所へ引っ越ししやすいのも賃貸住宅のメリットといえます。
一方、賃貸住宅によっては敷金・礼金などのまとまった初期費用が必要となる場合があります(※)。家賃や維持管理費を払い続けなければなりませんので、一定の収入がない場合や保証人を立てることができない場合は借りることができないこともあります。家賃が家計を圧迫する可能性があることにも注意が必要です。
【メリット】
・住む場所を自由に決めることができる
・今までと異なった環境、人間関係で生活できる
・新しい環境で心機一転できる
・実家の近くに住めば、親のサポートを受けることができる
・転居しやすい
【デメリット】
・多額の初期費用がかかる可能性がある
・一定の収入、保証人がなければ借りることが難しい
・家賃を払い続ける必要がある
・家賃が家計を圧迫する可能性がある
※初期費用が不要な物件もありますが、家賃が高く設定されている、違約金が設定されている、退去時に高額な費用を請求されることなどに注意が必要です。
離婚・別居後の住まい~公営住宅
同じ賃貸住宅でも都道府県や市区町村が管理している公営住宅に住むのも選択肢の一つです。ひとり親世帯を優先的に入居させてくれる自治体もありますので、まずはこれからお住いになる自治体に問い合わせてみるとよいでしょう(※)。
公営住宅に住む最大のメリットは、民間の賃貸住宅と比べて家賃が安いことです。実際の家賃は自治体が収入等を参考にして決定します。更新料はかかりません。敷金・礼金は自治体によってかかる場合もありますが、「家賃の〇か月分」と設定されていることが多いため金額自体が安いですし、家賃の滞納等がなければ退去時に返還されます。
一方、必ず入居できるわけではありません。入居するには、所得が一定基準以下などの入居条件をクリアする必要があります。また、条件をクリアしても、応募者が多数にのぼる場合は抽選となることもあります。応募(入居)時期が決まっていることがあり、いつでも入居できるというわけではありません。
【メリット】
・家賃、敷金・礼金が安い
・更新料がかからない
・ひとり親世帯などが優先的に入居できる
【デメリット】
・入所条件をクリアする必要がある
・抽選で入居できないことがある
・応募(入居)時期が決まっていることがある
離婚・別居後の住まい~社宅
民間の賃貸住宅、公営住宅のほか社宅に住む手もあります。会社勤めの方は現在勤めている会社が社宅制度を採用していないか確認してみましょう。これから就職・転職される方は、あえて社宅制度を採用している会社に勤めるのも選択肢の一つです。
社宅には主に「社有社宅」と「借り上げ社宅」があります。社有社宅は会社が所有している物件を従業員に賃貸する社宅です。一方、借り上げ社宅は会社が賃貸物件の一室(あるいは全部)を借り、それをさらに従業員に賃貸する社宅です。
どちらの社宅でも初期費用・更新料が不要で、家賃が安く設定されていることから、生活費の負担軽減になる点が最大のメリットです。会社に一定額以上の家賃を払っている場合、給与から家賃が天引きされている場合は所得税などの節税にもつながります。物件探しや諸手続きが不要なのもメリットといえます。
一方、あらかじめ会社が所有または借りている物件に住むことになる、すなわち、あなたや子どもに合った物件を自由に選ぶことができません。社有社宅の場合は他の従業員も住んでいるため、仕事とプライベートとを分けづらいことにも注意が必要です。会社の従業員であることが社宅に住み続ける条件であるため、社宅に住むことで退職しづらくなる可能性もあります。
【メリット】
・初期費用、更新料が不要
・家賃が安い
・節税になることも
・諸手続きが不要
【デメリット】
・物件を自由に選べない
・仕事とプライベートとの区別がない(社有社宅の場合)
・退職しづらくなる可能性がある
※離婚前(別居中)は、DVを受けているなど一部の例外を除き、入居できないことがほとんどです。詳細は自治体に問い合わせてみましょう。
まとめ
今回のまとめです。
- 離婚・別居後の住まいの確保はお金の準備と同じくらい大切
- 離婚・別居を思い立ったら住まいも検討しましょう
- 離婚後の住まいのメリット、デメリットも踏まえて賢い選択を
投稿者プロフィール

- 離婚や夫婦問題を中心に取り扱う行政書士です。 離婚や夫婦問題でご相談ご希望の方は「お問い合わせ」よりご連絡いただきますようお願いいたします。
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