• 児童手当を離婚後から受け取る方法は?
  • 児童手当はいつから受け取れますか?
  • 別居(離婚協議)中でも受け取ることができますか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

児童手当は子育てする上で重要な収入源の一つで、離婚したら誰が受け取るのか、離婚協議中・別居中は受け取ることができるのか、受け取るためには何をすればいいかなど、気になる方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は、児童手当に関する基本的な知識や児童手当を受け取るまでの流れを解説した後、児童手当を受け取ることができるかどうか、できるとしてどんな手続きが必要かを状況別に解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
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離婚後・別居中に児童手当を受け取るのは誰?

児童手当を受け取ることができるのは「児童(※)」を監護し、かつ、日本で児童とともに生活をしている父又は母です。離婚前、親が同居している間は、主に生計を維持する側(生計維持者=所得が高い方=多くの夫婦で夫)に児童手当が支給されます。

※15歳に達した後初めての3月31日までの間にある子ども

離婚後

離婚後は、子どもと一緒に暮らし子育てしていく親(監護親)が受け取ることができます。通常、親権をもつ親が受け取ることができますが、親権から監護権をわけた場合は、監護権をもつ親が児童手当を受け取ることができます。離婚前の児童手当の受給者と離婚後の受給者が異なる場合は、児童手当の受給者変更の手続きが必要です。

別居(離婚協議)中

別居(離婚協議)中、すなわち、離婚前も子どもと一緒に暮らし子育てしていく親が児童手当を受け取ることができます。ただ、離婚後と異なり、児童手当を受け取ることができない(受給者変更できない)場合もあります。詳しくは「【状況別】児童手当の受給者変更の可否と手続き」で解説します。

離婚後・別居中に児童手当を受け取るまでの流れ

離婚後、あるいは別居後、今の児童手当の受給者である親が子どもと一緒に暮らさなくなる(今の児童手当の受給者でない親が子どもと一緒に暮らすことになる)という場合は、児童手当の受給者変更の手続きが必要です。以下では、離婚、あるいは別居をきっかけに、児童手当の受給者を変更するまでの一般的な流れを解説したいと思います。

支給要件を確認する

まず、児童手当の一般的な支給要件のほか、次の支給要件を満たすかどうかも確認しておく必要があります。なお、以下の要件を満たさない場合でも、児童手当の受給者を変更できる場合があります。詳しくはのちほど解説します。

子どもと一緒に暮らし、生計を同じくしていくこと
②住民票上、今の受給者と世帯が別になること
③離婚したこと、あるいは離婚手続(協議)中であることを証明できること

申請に必要なものを準備する

次に、支給要件を満たすことを確認できたら、児童手当の受給者を変更するために必要なものを確認しておきましょう。児童手当の受給者を変更するには、以下のものを準備した上で、お住いの役所宛に提出して申請する必要があります(※状況により必要なものは異なります)。

【児童手当の受給者変更の申請に必要なもの】
□受給認定申請書
□申請者及び配偶者の「マイナンバーカード」または「通知カード」
□申請者名義の金融機関口座の通帳
□申請者の「健康保険証」または「年金加入証明書」
□申請者の身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)
□(受給事由消滅届)※のちほど解説します

役所に申請し、認定を受ける

必要なものを準備できたら、お住いの役所で児童手当の受給者変更の申請をします。担当部署で書類の内容を審査し、内容に過不足なく、支給要件を満たしていることが確認できれば受給者変更の認定を受けることができます。認定されれば、後日、通知書がご自宅に郵送されてきます。

【状況別】児童手当の受給者変更の可否と手続き

ここからは、実際に児童手当の受給者を変更できるかどうか、できる場合にどんな手続きが必要かについて、状況別に解説していきたいと思います。

状況①~同居中、離婚手続中、住民票同じ

この場合は、「支給要件を確認する」で紹介した「②」の要件を満たしませんから、基本的には児童手当の受給者を変更できません。ただ、あとで受給者変更するときに備えて「 受給事由消滅届 」 を入手し、相手にサインをもらっておくとよいでしょう。受給事由消滅届は代理で出すこともできます。なお、住民票が同じでも世帯分離の手続きをとることができれば別居と同様に扱ってもらい、受給者を変更できます。

参照:児童手当Q6&A | 内閣府

状況②~別居中

離婚手続中でもなく、単に別居しているにすぎない場合は「③」の要件を満たしませんから、児童手当の受給者を変更できません(※)。ただ、今後、離婚手続を進めていく予定がある場合は、「状況➃」でご紹介する書類の準備を始めておいた方がよいでしょう。

※現在の受給者が、単身赴任等で子どもと別居するときは、役所に「別居監護申立書」を提出する必要があります。

状況③~別居中、離婚手続中、住民票同じ

住民票が同じ場合は、住民票上の住所がある役所に対し「受給事由消滅届」を出す必要があります。その後、新しい受給者が児童手当の「受給認定請求書」を役所に出して申請し、受給認定を受けることができれば児童手当の受給者を変更できます

参照:児童手当を受給されている方で、このような時は届け出が必要です | 船橋市

世帯分離は得策?

事情によっては、住民票を今のままにして別居せざるを得ない、ただ相手が役所に受給事由消滅届を出してくれない、という場合もあると思います。もしDVに遭われている場合は【状況⑦】のとおり、住民票を異動させなくても児童手当を受け取ることができますが、DV以外の場合は基本的に【状況➃】のように住民票を異動させなければいけません。どうしても住民票を異動させたくない場合は【状況①】で紹介したように世帯分離する方法がありますが、相手の健康保険の扶養に入っている場合、世帯分離すると扶養から外れ、国民健康保険料などを自分で納めなければならなくなるなどのデメリットがあります。

状況④~別居中、離婚手続中、住民票別

一方、住民票が別の場合は、「児童手当等の受給資格に係る申立書」と「離婚手続中であることを明らかにできる書類」を準備して手続すれば児童手当の受給者を変更できます

【離婚手続中であることを明らかにできる書類(例)】
□離婚協議書申し入れに係る内容証明郵便の謄本
□離婚調停の期日呼出状
□家庭裁判所における事件係属証明書
□調停不成立証明書
□弁護士等、第三者により作成された書類(申請者宛の離婚協議の進捗状況報告書等)

参照:児童手当Q3・Q4&A | 内閣府

状況⑤~離婚成立

この場合は、離婚成立時の住所がある役所に対し「受給事由消滅届」を出し、その後新しい受給者が離婚後にお住いの役所に「受給認定請求書」を出して申請し、受給認定を受けることができれば児童手当の受給者を変更できます。

状況⑥~DVで別居

DVが原因で別居したものの住民票を異動できていない場合は、

  • 申請者と子どもが相手の健康保険の扶養に入っていないこと
  • 配偶者からの暴力について確認できる資料」を提出すること

などを条件に、児童手当の受給者を変更できます詳細はお住いの役所に問い合わせるのが確実です)。

また、「配偶者からの暴力について確認できる資料」を提出することが難しい場合は、「客観的に配偶者が子どもと生計を同じくしていないこと、あるいは子どもを養育していないこと」が役所側で確認できる場合には、児童手当の受給者を変更できます

【配偶者からの暴力について確認できる資料(例)】
□DV防止法に基づく保護命令が出ていることがわかる資料
□婦人相談所等による「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」
□申請者により、配偶者等からの住民票等への閲覧等の制限に係る申し出を受け、当該支援対象となっていることがわかる資料

参照:児童手当Q9・10・11&A | 内閣府

児童手当は財産分与の対象になる?

離婚のときに相手と話し合わなければいけない項目として検討しなければならないのが財産分与です。財産分与の対象となる財産(共有財産)は様々ですが児童手当もその中の一つです。児童手当は子どもの成長のために支給されるお金ですが、支給されるのは親ですので、親の財産として財産分与の対象となります。

ただ、児童手当を財産分与の対象に含めるとしても、他の預貯金と混在しているケースが多いと思いますので、実際には預貯金をどうわけるかの判断になると思います。

まとめ

今回のまとめです。

  • 児童手当は、子どもを監護し、子どもと生計を同じくする父又は母に支給される
  • 離婚後は子どもと一緒に支給される
  • 離婚協議(別居)中は支給される場合と支給されない場合がある
  • 今の受給者と違う人が児童手当を受給する場合は受給者の変更手続きが必要