DVで離婚するために今すぐやるべきこと、進め方などを詳しく解説します

  • そもそもDVとは何ですか?
  • 今すぐ何をすべきですか?
  • 別居後は何をすべきですか?

この記事はこのような疑問、悩みにお応えします。

DVと聞くと真っ先に殴る、蹴るなどの身体的暴力をイメージされる方も多いもしれませんが、DVは身体的暴力に限られないことはご存知でしょうか?この記事では、まずそもそもDVとは何かを解説します。
また、仮にDVを受けている場合、今すぐやるべきことや離婚に向けてやるべきこと、別居した後にやるべきことも解説していきたいと思います。今後の参考にしていただけると幸いです。

DVとは?

DVとは主に配偶者による他方配偶者への暴力のことをいいます。ただ、冒頭でも触れましたように、この暴力には身体的暴力に限らず、精神的暴力、性的暴力、経済的暴力、社会的暴力も含まれます
【身体的暴力】
殴る、蹴る、叩く など
【精神的暴力】
大声でどなる、暴言をはく、無視する、命令口調 など
【性的暴力】
性交渉を強要する、避妊具をつけない など
【経済的暴力】
家に生活費を入れない など
【社会的暴力】
人間関係を監視、制限する、人との交流を許さない など

DVを受けたらまずは相談

DVを受けている場合は、とにもかくにも周囲に相談することです。DVは一人の力で解決できる問題ではありません。相談すれば様々なサポートを受けることができます。
また、あらかじめ以下でご紹介する機関に相談しておけば、後述する住民票閲覧等の制限措置を利用することもできます。その意味でもまずは相談することが大切です。

【DVの相談先】
■ 警察
・緊急の場合→#110
・緊急でない場合→「#9110」か「警察本部の専用電話番号」
■ 配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)
・ DVセンターの概要はコチラ
・ DVセンターの電話番号、ホームぺージURLはコチラ
■ DV相談プラス
・ DV相談プラスの概要、電話番号はコチラ
■ 女性センター
・ 女性センターの概要はコチラ
・ 女性センターの電話番号はコチラ
■ 婦人相談所
・ 婦人相談所はコチラ
・ 婦人相談所の電話番号はコチラ
■ 福祉事務所
・ 福祉事務所の概要はコチラ
・ 各都道府県の福祉事務所は「(都道府県名) 福祉事務所」で検索
■ 児童相談所
・ 児童相談所の所在地、電話番号はコチラ

DVで離婚するためにやるべきこと

次に、離婚に向けてやるべきことをご紹介していきます。

避難(別居)先を見つける

まずは、相談と並行して身の安全を確保できる避難先を見つけることです。
安全な別居先を見つけることができない場合は、警察、DVセンターなどの相談機関に相談すれば、避難先の紹介などの一時保護の措置を受けることができる場合があります。もっとも、一時保護はその名のとおり、一時的な避難のための措置で、仮に措置を受けることができたとしても、避難できる期間は2週間から長くても1か月程度です。
その後は、さらに相談して、問題が解決するまでに避難できる避難先を紹介してもらう必要があります。入所が必要と判断されれば、NPOや社会福祉法人などが運営する民間シェルター(非公開)に入所できます。もっとも、定員数等の関係で、必ず入所できるとは限りません。入所後は、施設の職員や弁護士のサポートを受けながら、離婚や離婚後の生活の準備を進めていくことができます。

持ち出す荷物をリストアップする

次に、避難する際に持ち出す荷物をリストアップすることです。
相手が自宅にいないことの補償がない限り、いったん自宅を出たら自宅に戻ることはできないとの想定のもと準備を進める必要があります。以下で、必要となるものをリストアップしてみましたので、参考に準備を進めてください。

【当面の生活に必要なもの】
□ 当面の生活費(現金)
□ スマホ、スマホの充電器
□ 身分証(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード など)
□ 自分と子どもの健康保険証、子どもの医療費受給資格証
□ 母子手帳
□ 自分と子ども名義の通帳、カード
□ 印鑑(実印、銀行印)
□ 印鑑登録手帳
□ 生活必需品(衣類、衛生用品、化粧品、常備薬など)
□ 子どもに必要なもの(衣類、制服、学用品、ミルク、おむつ、おしりふき など)
□ 思い出の品、記念品
【離婚するために必要なもの】
□ DVを証明する証拠
□ 婚姻費用、養育費、財産分与に関する資料

子どもに説明しておく

一時保護の措置を受けることができた場合は、子どもの安全確保の観点から、措置中は学校に通うことができなくなります。子どもの年齢によっては理解を得ることは難しいかもしれませんが、何も説明しないよりかはあらかじめ説明しておくことが望ましいといえます。

離婚届の不受理申出を行う

すでにサインしている離婚届を配偶者がもっており、役所に提出されるおそれがある場合には、勝手に離婚を成立させてしまわないよう、本籍地または住所地の役所に離婚届の不受理申出を行っておくとよいです。

弁護士に相談する

DVを受けている場合に、今後について直接配偶者と話し合いを進めていくことは困難な場合が多いです。そのため、弁護士に配偶者との話し合いを任せることも検討しましょう。
もっとも、弁護士に依頼した場合は高額な弁護士費用がかかります。高額な弁護士費用がネックとなっている場合は、まずは法テラスの「DV等被害者法律相談援助制度」を活用する手もあります。この制度はDVなどの被害者で、一定の資力以下の方が無料で弁護士の相談を受けることができるものです。相談後、実際に弁護士に依頼したい場合は、同じ法テラスの「民事法律扶助制度」を利用できないかも相談してみるとよいでしょう。

別居後にやるべきこと

避難して身の安全を確保した後にやるべきことは次のとおりです。

保護命令の申立て

保護命令とは、DV加害者に対し、一定期間被害者(及びその子、親族など)と接触することなどを禁止したり、自宅から退去することなどを求める裁判所の命令のことです。
裁判所に保護命令を発布してもらうには、加害者の住所を管轄する裁判所に対して申し立てを行った上で一定の手続きを踏む必要があります。

住民票の閲覧等の制限措置の申し出

住民票の閲覧等の制限措置とは、加害者から役所の戸籍係に以下の書類(写し)の閲覧や交付の請求・申出があった場合でも、これを拒否したり、第三者のなりすましによる請求・申出を防止するために必要な対策を講じる措置のことです。
住民基本台帳
住民票(除票を含む)
戸籍の附票(除票を含む)
この措置を受けるには、すでにご紹介した相談機関に相談しておく必要があります。また、書類がある自治体の役所に対して必要書類を提出して申し出る必要があります。

【手続きに必要なもの】
□ 住民基本台帳事務における支援措置申出書
□ 本人確認証(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きの身分証)
□ 印鑑

周囲への事情説明

子どもがいる場合は、子どもの就園、就学先等からあなたの住まいを知られてしまう可能性があります。そのため、上記の制限措置とあわせて、子どもにかかわる保育園・幼稚園、学校などの関係者に対して事情を説明した上で、加害者からの情報開示に応じないよう要請しておくことも必要です。

婚姻費用分担請求調停・審判の申立て

別居しても、離婚しない限りは、夫婦は互いに婚姻生活で生じる費用(婚姻費用)を負担しなければなりません。そして、配偶者よりも収入が少ない場合、子どもがいて扶養の必要性が高い場合は、配偶者に対して婚姻費用の支払いを請求できます。
もっとも、DVの場合、話し合いで金額などを取り決めることは難しいですから、裁判所に調停(あるいは審判)を申し立てて取り決めることになるでしょう。

離婚後の生活について考える

現在の生活が落ち着いたら、離婚後の生活のことも考えておきましょう。いずれ今いる避難先から退去しなければいけませんから、まずは住まいをどうするかを考える必要があります。住まいを基本として、ご自分の仕事や子どもの保育園・幼稚園、学校のことなども考えていく必要があります。また、お住いの自治体で離婚後はどのような手当や支援を受けることができるのか確認したり、子どもの姓や戸籍はどうするのかも考えておく必要があります。

離婚の話し合いを申し入れる

最後に、離婚後の生活の準備が整った段階で、配偶者に離婚に向けた話し合いを申し入れます。弁護士に依頼している場合は、申し入れや実際の対応も弁護士に任せましょう。話し合いでは慰謝料の支払いも求めていくことができます。
配偶者が話し合いに応じない、応じたとしても話がまとまらない場合は調停を申し立てます。調停の対応も弁護士に任せることができます。調停でも話がまとまらない場合は離婚裁判を提起することも検討します。

まとめ

DVかな?と思ったら、DVかどうかの判断も含めて、はやめに関係機関に相談することが大切です。けっして一人で悩みを抱え込まないようにしてください。
緊急性が高い場合は、相談と同時に、まずはご自分や子どもの身の安全を確保することが最優先です。避難する際は、家に戻ることができないことも想定して生活や離婚で必要なものを持ち出しましょう。
避難した後は、避難時の安全を確保するための措置や離婚に向けての準備を進め、準備が整った段階で離婚を申し入れます。準備や協議に不安がある場合は弁護士に相談しましょう。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。