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- 離婚するにはどんな方法がありますか?
- どの方法で離婚したらいいですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
離婚するにあたって、まずはどんな方法で離婚できるのか知っておく必要があります。これから紹介する方法にはそれぞれ特徴(メリット、デメリット)があり、選択を間違えると離婚するまでに大変な苦労を負ってしまう可能性があります。
今回は、これから離婚するにあたってどんな方法・手順で離婚できるのか、それぞれの離婚方法にはどんなメリット、デメリットがあるのか、解説していきたいと思います。
この記事を書いた人
![行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳](https://rikon-gyouseishoshi.com/wp-content/uploads/2023/09/profile_image-150x150.png)
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離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚方法の種類と流れ
離婚方法は大きくわけて次の4種類です。
①協議離婚
②調停離婚
③審判離婚
④裁判離婚
離婚を決意し、離婚準備が整ったら相手に離婚を切り出し、協議離婚(①)を目指して話し合いを始めます。なお、いきなり調停を申し立てることもできないわけではありませんが、いきなり申し立てると相手の反感を買い、トラブルとなってしまう可能性があります。
相手が離婚や離婚条件に合意しない、話し合いに応じない、話し合っても話がまとまらないなどの事情から協議離婚が難しい場合は調停を申し立てて調停離婚(②)を目指します。なお、基本的に調停を経ずに裁判離婚(➃)を目指すことはできません(調停前置主義)。
調停が成立せず調停離婚できなかった場合、裁判所の判断で審判(調停に代わる審判)に移行し審判離婚(③)できる場合もあります。ただし、夫婦の一方が不服申立て期間(2週間以内)に、裁判所の決定に対し異議を申し立てた場合は決定の効力がなくなります。
調停、あるいは審判でも離婚が成立しない場合、多くは裁判離婚(➃)を目指すことになるでしょう(再度調停を申し立てることもできます)。以下、それぞれの離婚方法の特徴などについて詳しく解説していきます。
離婚全体の約9割が「協議離婚」
まず、協議離婚とは、裁判所を利用せずに、夫婦の話し合いだけで離婚を成立させる離婚方法です。
法律上は「離婚」と子どもがいる場合は「親権」について合意し、役所に離婚届を提出し受理されれば離婚できることになっています。
その意味で4つの離婚方法の中で最も手間と時間がかかない離婚方法といえます。今も昔も日本では離婚全体の約9割がこの協議離婚による離婚です(令和4年度「離婚に関する統計の概況」P3参照)
もっとも、夫婦で話し合わなければならないことは離婚と親権だけではありません。養育費、面会交流、財産分与、慰謝料など様々なことについて話し合わなければいけません。
夫婦が冷静に話し合えない状況の場合は話し合いが平行線をたどり離婚できずにいたり、取り決め内容が不十分なまま離婚してしまう可能性があります。
裁判所を通した話し合いによる離婚が「調停離婚」
次に、調停離婚とは、裁判所を利用した話し合いにより離婚する離婚方法です。
令和4年度「離婚に関する統計の概況」によると、令和2年中の離婚の約8.3%が調停離婚による離婚です。
話し合いベースという点は協議離婚と同じですが、裁判所や法律のルールに従って手続きを進める必要があること、夫婦の間に調停委員という第三者が間に入って夫婦の利害を調整し、話をまとめてくれることが協議離婚との大きな違いです。裁判所に希望を伝えておけば、裁判所が相手と顔を合わすことがないよう配慮してくれる点もメリットといえます。
もっとも、調停の手続きも話し合いベースのため、相手が調停に出席しなかったり、調停委員から提示された調停条項に合意しない場合は調停不成立となり離婚は成立しません。
実例が少ない「審判離婚」
次に、審判離婚とは、夫婦のわずかな意見の食い違いで調停成立に至らない場合などに、裁判官が、調停手続きの中で現れた一切の諸事情を考慮した上で夫婦に対し合理的な解決案を提示し離婚に導く離婚方法です。調停の延長線上にある手続であることから、調停に代わる審判とも呼ばれます。
なお、調停に代わる審判が行われても、夫婦双方は審判の告知を受けてから2週間は異議申し立てをすることができます。意見が食い違ったため調停が成立しなかったわけですから、仮に調停に変わる審判が行われても異議申立てがなされる可能性は高いといえます。
夫婦の一方が異議申し立てをした場合は審判の効力は失われてしまいますから、審判離婚による離婚は実例が少ないのが実情です(令和4年度「離婚に関する統計の概況」によると、令和2年中の離婚の約1.2%が審判離婚)。
法律上の離婚理由が必要な「裁判離婚」
次に、裁判離婚とは、文字通り、裁判で離婚する離婚方法のことです。なお、日本の法律では、いきなり離婚するために裁判を起こすことはできず、前述の調停を経てからでなければ裁判を起こすことができないことになっています(調停前置主義)。裁判離婚は離婚の最終手段といえます。
離婚裁判は
- 不貞
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復し難い重度の精神病
- 婚姻を継続しがたい重大な理由
という法律で定められた離婚理由がなければ起こすことができません。また、離婚を請求する側が、離婚理由が存在することを証拠によって証明する必要があります。離婚理由が存在すると認められる場合には、同時に養育費などの離婚条件に関する判断も示されます。
なお、裁判離婚は和解離婚、認諾離婚、判決離婚の3つに分けられます。
和解離婚は原告、被告が離婚条件について互いに一定の歩み寄りを見せながら離婚する方法、認諾離婚は裁判を起こされた側が起こした側の請求を全面的に受け入れることにより離婚する方法、判決離婚は判決により離婚する方法です。
令和4年度「離婚に関する統計の概況」によると、令和2年中の離婚の約1.3%が和解離婚、約0.9%が判決離婚で、認諾離婚は数が少ないため公表されていません。
各離婚方法のメリット・デメリット
協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚のメリット、デメリットは次のとおりです。
協議離婚のメリット・デメリット
【メリット】
・手間がかからない
・費用がかからない(※)
・話し合いから離婚まで短期間で済む
・離婚理由を問われない
・離婚条件(養育費や慰謝料の金額等)を自由に決めることができる
【デメリット】
・相手と話し合わなければならない
・話し合い不十分のまま離婚してしまう可能性がある
・相手が離婚に合意しないと離婚できない
※ただし、弁護士、行政書士、探偵などの専門家に依頼した場合、公正証書を作成した場合は費用がかかります。
調停離婚のメリット・デメリット
【メリット】
・相手と直接話し合う必要がなくなる
・調停委員が間に入って話をまとめてくれる
・専門的な知識を一から習得する必要がない
・漏れのない離婚条件で離婚できる
・非公開の場で手続きが進められる
・裁判所に相手の預貯金残高等の調査を依頼できる
・調停が成立したら強制力のある書面が作られる
・ケースにより履行勧告、履行命令、間接強制などの手段を使える
【デメリット】
・裁判所や法律のルールを守る必要がある
・弁護士に依頼する場合は費用がかかる
・申立てから調停成立までに一定期間かかる
・相手が話し合いに応じない場合、調停条項に合意しない場合は調停不成立となる
![離婚調停の審理期間](https://rikon-gyouseishoshi.com/wp-content/uploads/2023/09/1-3-1024x576.jpg)
裁判離婚のメリット・デメリット
【メリット】
・相手が離婚を拒否しても離婚できる
・相手が裁判に出席しなくても離婚できる
・相手の主張にかまわず、自分の主張を突き通せる
・和解、認諾、判決、いずれの場合でも強制力のある書面が作られる
【デメリット】
・調停以上に厳格なルールを守る必要がある
・法律上の離婚理由がなければ裁判を起こせない
・証拠による証明活動が必要
・手続きが複雑・専門的で弁護士に依頼する必要がある(弁護士費用がかかる)
・訴訟提起から終局までに一定期間かかる
・公開の法廷の場で手続きが進められる
![離婚裁判の審理期間](https://rikon-gyouseishoshi.com/wp-content/uploads/2023/09/2-3-1024x576.jpg)
離婚方法のまとめ【比較表あり】
協議離婚、調停離婚、裁判離婚の特徴を表にまとめると次のとおりとなります。
協議離婚 | 調停離婚 | 裁判離婚 | |
全体の割合 | 88.3% | 8.3% | 2.2% |
離婚理由 | 問われない | 問われる | 厳格に問われる |
離婚・条件の合意 | 必要 | 必要 | 不要 |
手続きの費用 | かからない | 2000円程度 | 2万円程度 |
離婚までの時間 | 数日~数か月 | 数か月~1年 | 1年~2年 |
第三者の関与 | なし | あり | あり |
書面の強制力 | なし(※1) | あり | あり |
離婚届の提出 | 必要 | 必要(※2) | 必要(※2) |
※1 強制執行認諾文言付公正証書には金銭の未払いに対する強制力が付与されます
※2 協議離婚と異なり、離婚の成立要件ではありませんが、離婚成立日から10日以内の提出が必要です。相手の署名、証人の署名は不要です。
離婚を思い立ったら離婚準備を
ここまで離婚方法について解説してきましたが、どの方法で離婚するにせよ、共通していえることは「離婚を思い立ったら、相手に離婚を切り出す前に離婚準備をしましょう」ということです(ただし、DV被害を受けているなど一定の場合を除きます)。
相手に離婚を切り出す前にしっかりとした準備をしておけば、どんな方法で離婚するにせよ、離婚での苦労を必要最小限に抑えることができます。反対に、準備不足のまま離婚を切り出してしまうと苦労し、離婚を切り出したこと自体に後悔してしまう可能性があります。
離婚までの手続きをスムーズに、有利に進めるため、後悔のない離婚とするためにも、離婚を決意した段階から離婚の準備を進めていきましょう。
まとめ
今回のまとめです。
- 離婚方法には協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚がある
- 日本の離婚全体の約9割が協議離婚
- それぞれの離婚方法にメリット・デメリットがある
- どの離婚方法で離婚するにせよ、離婚を思い立ったら離婚準備をはじめる