【離婚の話し合い】では何を話し合ったらいい?
- 離婚の話し合いでは何を話し合うのですか?
- 何を決めたらいいのですか?
- 話し合った後は何をしたらいいですか?
- 話し合いができない、話がまとまらない場合はどうしたらいいですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
相手に離婚を切り出した後は、いよいよ離婚に向けた話し合いです。しかし、ほとんどの方にとって離婚は初めての経験です。そのため、「相手と何をどう話し合えばいいのかわからない」という疑問、悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、離婚の話し合いをやるまでの手順を簡単に解説した上で、実際に話し合いで話し合うべき内容や話し合った後にやるべきことなどについて詳しく解説していきたいと思います。
目次
離婚の話し合いを切り出す前に離婚の準備を
まず、相手に離婚の話し合いを切り出す前に、離婚の準備ができていない方は離婚の準備をすることをおすすめします。経済的な面で不安を抱えている方は、相手に離婚を切り出す前にお金の問題を解決しておきましょう。
また、離婚の話し合いをスムーズに進めるには、あらかじめ相手と何を話し合うかを頭に入れ、話し合う項目ごとにあなたの希望を考えておくとよいでしょう(話し合うべき内容はあとでご紹介します)。
相手に離婚の話し合いを切り出してから何を話し合うべきか考えていると話し合いがうまく進まず、中途半端な形で離婚してしまい、離婚後に後悔してしまう可能性がありますので注意が必要です。
離婚の切り出し方にも注意する
離婚の準備が終わったら相手に離婚を切り出しますが、切り出し方にも注意が必要です。切り出し方を間違えると話し合いがこじれたり、離婚までに時間がかかってしまう可能性もあります。
相手に離婚を切り出す前に、
- 切り出し方
- 切り出すタイミング
- 切り出す場所
- 間に入ってもらう人
などをしっかり考えておきましょう。
離婚の話し合いで話し合う項目・内容
相手に離婚を切り出した後はいよいよ中身についての話し合いです。これから離婚の話し合いで話し合った方がいい項目と内容について解説していきますが、もちろんすべて話し合わなければいけないというわけではありません。話し合う項目は離婚原因や子どもの有無、夫婦の希望などによって異なります。
①離婚に合意するかどうか
まず、相手が離婚に合意するかどうかです。
協議離婚するにはお互いが離婚に合意することが必要です。双方、あるいはどちらか一方が離婚に合意しなければ協議離婚は成立しません。相手が離婚に合意しない以上は②以下の離婚条件について話し合っても意味はありませんが、実際には離婚条件について話し合いをしつつ離婚の合意を目指していくことになるかと思います。
②離婚届の提出者など
相手が離婚に合意する場合は、誰が、いつ離婚届を提出するかを話し合っておくと安心です。
協議離婚は役所に離婚届を提出し受理されてはじめて成立します。離婚に合意しただけでは協議離婚は成立しませんから、確実に協議離婚を成立させるためにも、離婚届の提出者と提出時期について話し合っておきましょう。離婚届の提出者は離婚を強く希望する方、離婚の成立によって金銭的な給付を受ける方とした方がよいでしょう。
③親権
子どもがいる場合は親権についても話し合っておく必要があります。
子どもがいる場合は、親権を決めておくことも協議離婚の成立要件です。離婚届には親権について書く欄が設けられていますが、そこを空欄にしたまま離婚届を提出しても受理されず、協議離婚は成立しません。
④養育費
親権と異なり、養育費ついては話し合わなくても離婚できますが、できる限り離婚前に話し合っておいた方がいいでしょう。
金額ばかりに目が行きがちですが、金額のほか支払期間、支払い方法(分割か一括か、口座振り込みか手渡しか)、支払い期限などについても話し合っておく必要があります。子どもが複数いる場合は、混乱を避けるため子どもごとに話し合っておく必要があります。
⑤面会交流
面会交流も養育費と同じく、話し合わなくても離婚できますが、養育費とセットで話し合っておくべきです。
子どもと離れて暮らす親(多くは父親)に面会交流を認めると、離婚後も子どもに対する情が切れることなくきちんと養育費を払ってもらえるという効果を期待できます。負担が大きいと感じる場合は、負担が少ない間接交流からはじめてみる方法などもあります。
⑥財産分与
財産分与は共有財産を離婚時に夫婦で分け合う制度です。
原則として、共有財産を財産分与の対象とし、金銭で分与することが多いですが、夫婦で話し合って合意できれば特有財産を財産分与の対象としたり、金銭以外の方法
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⑦婚姻費用
婚姻費用とは夫婦生活で生じる費用(生活費)のことです。
別居から離婚までに生じた費用のうち、未払い分を離婚時に請求(清算)できます。ただし、過去に相手に婚姻費用を請求していたことが必要で、かつ、請求できるのは請求時点から離婚時までの費用になります。
⑧慰謝料
不貞やDVなどの相手の有責行為法が原因で離婚する場合は慰謝料についても話し合いましょう。
相手が支払義務を認める場合は金額のほかに、支払い方法(分割か一括か、口座振り込みか手渡しか)、支払い期限などについても話し合って取り決めておく必要があります。
⑨年金分割
年金分割は相手の厚生年金保険料の納付実績を離婚時に分割する制度です。
年金分割には「合意分割」と「3号分割」があります。合意分割できる場合は年金分割することに合意した上で、分割の割合について話し合って取り決めておく必要があります。一方、3号分割の場合は話し合い(合意)は不要です。
⑩通知義務
離婚した後も連絡を取り合う必要がある場合は、相手、あるいはお互いの連絡先などの通知義務について話し合っておくとよいです。子どもがおり、養育費、面会交流について取り決めする場合はセットで話し合っておくとよいと思います。
⑪禁止事項
SNSでの誹謗中傷など、離婚した後に相手に、あるいはお互いにやって欲しくないことがあれば話し合っておきましょう。ただし、社会常識に反するようなことは求めることはできませんので注意が必要です。
⑫清算条項
清算条項は離婚した後にお互いに金銭的な請求をしないことを確認し合う離婚条項です。離婚した後の金銭的なトラブルを避けたい場合は設けておくとよいでしょう。ただし、清算条項を設けても養育費は請求できます。
⑬公正証書の作成
最後に、公正証書を作成するかどうかを話し合います。作成するには夫婦で合意しておく必要があります。一方の意思だけで作成することはできません。養育費などのお金に関する取り決めをする場合は、請求する側にとっては作成しておいた方が安心といえます。
離婚の話し合いをスムーズに進めるためのコツ
離婚の話し合いをスムーズに進めるためには次の点に注意しましょう。
相手の話に耳を傾ける
まず、相手の話にも耳を傾けることです。
あなたに主張・言い分があるように、相手にも主張・言い分があります。あなたの主張・言い分だけを言いっぱなしだと話し合い自体が成立しません。相手の主張・言い分を受け入れるかどうかは別にして、相手の話を途中で遮らず、最後まで聞くという姿勢をとってください。
相手を責めない、非難しない
次に、相手に一方的な原因がある場合を除いて、相手を責めたり、非難しないことです。
性格の不一致など、どちらに非があると決めつけることができない理由で離婚する場合は、相手を責めたり、非難しても埒が飽きません。そこに労力と時間を使うよりも、離婚で必要なことに労力と時間を使った方が効率よく話し合いを進めることができます。過度に相手を非難したり、責めたりすると相手からも応戦され、話し合いが進まなくなる可能性もありますので注意が必要です。
譲歩すべきところは譲歩する
次に、譲歩すべきところは譲歩することです。
離婚の話し合いではアレもコレもと相手に要求しがちです。しかし、あなたの要求をすべて相手に飲ますことは現実的には不可能です。ここであなたが「一歩も引かない」という姿勢を貫いてしまうと話し合いは長期化し、最終的には望んでいなかった条件で離婚せざるをえなくなってしまいます。協議で離婚する以上は一定の譲歩は必要です。
一回では終わらない、終わらせようとしない
次に、話し合いは一回では終わりませんし、無理やり一回で終わらせようとしないことです。
まず、そもそも相手が離婚に合意してくれるまでに時間がかかる可能性があります。あなたが離婚を急いでいたとしても、相手が合意しない以上は離婚を成立させることができません。また、仮に相手が離婚に合意したとしても、親権や養育費、財産分与など話し合わなければならない条件が山ほどあります。お互いが納得のいく内容で合意するには、何度も話し合いを重ねる必要があります。
すぐに離婚できるわけではない
次に、相手に離婚を切り出したからといってすぐに離婚できないことです。
前述のとおり、相手が離婚に合意するまでに時間がかかる可能性がありますし、離婚に合意したとしても離婚条件の話し合いでさらに時間がかかる可能性があります。離婚の話し合いは長期戦を覚悟し、そのことを前提に離婚の準備を進め、相手に離婚を切り出すタイミングを考えておく必要があります。
話し合った後は合意内容を書面にまとめる
相手が離婚に合意し(①)、離婚条件(②~⑬)についても合意できたら、合意内容を離婚協議書等の書面にまとめることをおすすめします。書面は必ず作らなければならないというわけではありませんが、作っておけば、離婚後に言った言わないのトラブルへの発展を防止することにつながります。書面はあなた、あるいは夫婦共同で作ることもできます。
書面作成に困ったときは行政書士にご相談・ご依頼を
とはいえ、書面に法的に無効な内容や曖昧な内容が書かれてあると、書面を作ったことによってかえってトラブルとなる可能性もあります。これでは「離婚後のトラブルを防止する」という書面を作った意味がなく、本末転倒です。
そこで、もし、
- 書面の作り方がわからない
- 何を、どう書いたらいいのかわからない
- 書面をチェックして欲しい
などといったお悩みでお困りでしたら、書面作成の専門家である行政書士に相談、依頼してみるのも一つの方法です。専門家に相談すれば、様々な観点からアドバイスを受けることができますので、夫婦だけでは気づけなかったことにも気づくことができ、より完成度の高い書面を作ることができます。

ご相談、ご依頼をご希望の方は「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。
離婚の話し合いができない場合の対処法
相手に離婚を切り出したものの、
- そもそも相手が話し合いに応じてくれない
- 思うように話し合いが進まない
- 話がまとまらない
などというケースも出てくるかと思います。
そこで、最後に、こうした事態に直面したときの対処法について解説したいと思います。
第三者を間に入れる
まず、第三者を間に入れることです。
夫婦だけだとどうしても、これまでお互いがため込んできた感情が優先してしまって冷静に話し合いすることができないことも多いです。第三者を間に入れることで、第三者が感情の受け皿となり、冷静に話し合いができるようになるかもしれません。
もっとも身近な存在としては親・親族、離婚経験がある友人などが候補としてあげることができますが、あくまで話し合いは公平に行わなければいけませんので、一方的に肩入れするような人は適任とはいえません。
身近に適任者がいない場合は専門家である弁護士やカウンセラーに依頼することも検討してみましょう。弁護士はあなたの代わりになって相手と話し合いを進めることができます。
別居する
次に、離婚を前提に別居することです。
別居して距離と時間を置くことでお互いが冷静になることができます。子どもがいる場合は、子どもへの影響を考えると子どもがいる中で話し合いするわけにもいかず、思うように話し合いが進められないこともあるでしょう。
別居期間中の生活は離婚後の生活のシミュレーションという意味合いもあります。別居してはじめて、離婚するにはどんなことが必要か、どんなことが足りてないかが見えてくることもあります。
もっとも、別居すると一言でいってもいろいろと準備することがでります。離婚を前提に家を出ていく場合は、家に戻ってくる予定はないことを前提に準備を進めていかなければいけません。
離婚調停を申し立てる
最後に、離婚調停を申し立てることです。
離婚調停も話し合いによって離婚を目指す手続きですが、調停委員という第三者が間に入る点が話し合い(協議)との決定的な違いです。調停委員が間に入ることで話し合いがスムーズに進む可能性があります。
もっとも、離婚調停は一定のルールにしたがって進めていく必要があります。申立てや進行はご自分で行うことも不可能ではありませんが、わからない場合、自信がない場合は弁護士に依頼する必要が出てくることもあります。
まとめ
今回のまとめです。
- 相手と話し合いをする前に離婚の準備と切り出し方の検討を
- 離婚の話し合いで話し合わなければいけないことはたくさんある
- 話し合いでは相手の話にも耳を傾け、譲歩すべきところは譲歩する
- 話し合いを一回では終わらない、終わらせようとしない
- 離婚の話がまとまったら書面にまとめる
- 書面の作り方などで困ったら行政書士に相談、依頼する
- 離婚の話し合いができない場合は第三者を間に入れる、別居する、調停を申し立てる
投稿者プロフィール

- 離婚や夫婦問題を中心に取り扱う行政書士です。 離婚や夫婦問題でご相談ご希望の方は「お問い合わせ」よりご連絡いただきますようお願いいたします。
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