離婚の切り出し方

  • 最適な離婚の切り出し方は?
  • LINEや手紙で切り出してもいいですか?
  • 切り出す前にやることはありますか?
  • 切り出した後は何をしたらいいですか?

離婚準備を整え、いざ相手に離婚を切り出すとなった場合、切り出し方やタイミングにも気をつけないと、のちのち相手ともめたりして離婚までに時間がかかってしまう可能性があります。

そこで、今回は、できる限りスムーズに離婚するためにどういう方法で相手に離婚を切り出したらいいのか、どんなタイミングで離婚を切り出したらいいのかといったことについて詳しく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
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離婚の切り出し方【方法編】

離婚の切り出し方は、大きく分けて

①口頭(電話も含む)

②LINE・手紙・メール

があります。

①の方法は、型にとらわれることなく、自分の想いを自由に直接相手に伝えることができる点がメリットです。一方、感情的になると相手に自分の想いを伝えることができないデメリットもあります。

②の方法は、自分の想いを整理した上で相手に伝えることができる点がメリットです。一方、あなたが相手に何を伝えたのか形として残ってしまい、あとで不利な証拠として使われる可能性もあります。内容には細心の注意を払う必要があります。

最適な離婚の切り出し方は?

①または②のどちらの方法が最適かは個別の事情によって異なりますので、ここで一概に「この方法がいい」と申し上げることはできませんが、まずは①の方法で切り出せないかを検討してみましょう

これから離婚する相手とはいえ一度は縁あって夫婦になったわけですから、離婚という別れの場面でも、やはり始めからきちんと向き合ってお互いのこれからのことを話し合っていって欲しいと思います。

もっとも、DVやモラハラが原因で離婚するときは、①、②いずれの方法によっても相手に想いが通じることはないと考えた方がよいでしょう。弁護士などの第三者を通して離婚を切り出してもらう以外に方法はありません。

離婚を切り出すタイミング

相手に離婚を切り出すのは、離婚の意思を固め、離婚の準備を整え、離婚後の生活の不安が解消できたとき以後です。反対に、「離婚しようか迷っている」、「離婚の準備が整っていない」、「離婚後の生活の不安が解消できていない」という段階では相手に離婚を切り出すべきではありません。

なお、相手からDVを受けている、子どもが虐待を受けているなど、命や身体への危険が差し迫っている場合は、離婚の準備を整える前に一刻も早く身の安全を確保すべきです。

子どもがいる場合

乳幼児、幼児の子どもがいる場合は、子どもへの影響を考えると、子どもが離婚のことを理解できるようになる前(遅くとも小学入学前まで)に離婚を切り出した方がよいでしょう。

子どもが保育園や学校に通っていて、転園、転校を必要とする場合は、子どもが新年度(あるいは、新学期)から生活を始めることができるようにゴール(離婚成立日)を設定し、そこから逆算して離婚を切り出した方がよいでしょう。

離婚によってこれまでの生活パターンや環境を大きく変化させることは子どもにとって大きな負担となりますから、子どものことを最優先にしてゴールと離婚を切り出すタイミングを決めましょう。

相手が会社勤めの場合

相手が会社勤めの場合は、相手が会社を退職する数か月後、数年後を見計らって離婚を切り出すのも一つの方法です。

この段階に至ると、ある程度の資産を構築している場合も多く、財産分与、慰謝料などを名目にお金を払ってもらえる可能性があるからです。相手が退職金を受け取ることができる可能性が高い場合は、その一部を財産分与の対象とすることができます。

もう一つの理由は、子育てがひと段落し、子どもよりも自分に使える時間とお金が増えるからです。子どもが成人している場合は、離婚にあたって取り決める項目も少なく、離婚を切り出しやすいといえます。

※熟年離婚の場合は、離婚後に定期収入を確保できるかを検討しましょう。就職が必要(可能)かどうか、年金分割できるかどうか、将来受け取る年金額はいくらになるか確認しておきましょう。

離婚を切り出す前に離婚の準備を

先ほども述べましたが、相手に離婚を切り出す前は離婚の準備を入念に行いましょう

一度相手に離婚を切り出すともはや後戻りはできません。相手に離婚を切り出したことを後悔しないよう、相手に離婚を切り出す前に本当に離婚の選択肢で間違っていないのか、離婚で後悔することはないか時間をかけて考えることが必要です。

また、離婚の準備にはお金の準備をはじめ様々な準備があり、すべて整えるには時間が必要です。準備不足のまま離婚を切り出すと、話し合いが中途半端なまま離婚してしまい、離婚したことに後悔してしまう可能性もあります。

ある程度気持ちの余裕がある今の時期に、離婚するにあたってどんなことが必要か情報収集しながら離婚の準備を進め、準備が整った後に相手に離婚を切り出すべきです。

離婚の準備が整ったら検討すべきこと

離婚の準備を整えた後は、相手に離婚を切り出す前に次のことを検討します。

離婚の切り出し方

まず、相手にどうやって離婚を切り出すか、すなわち、離婚の切り出し方です。

具体的な切り出し方はすでに紹介しました。ここでは「口頭」による方法が向いているケース、「LINE・手紙・メール」による方法が向いているケースをあげてみましたので、参考にしていただければと思います。

【口頭による切り出し方が向いているケース】
・円満離婚が見込める場合
・相手が話し合いに向き合ってくれそうな場合
・相手があなたの話を聞いてくれそうな場合
・わだかまりなく離婚できそうな場合
・別居が短期間にとどまっている場合

【LINE・手紙・メールが向いているケース】
・相手に想いを伝えることに自信がない場合
・お互いが感情的になりそうな場合
・相手が話し合いに向き合ってくれそうにない場合
・相手があなたの話を聞いてくれそうにない場合
・別居が長期間にわたっている場合
・音信不通、コミュニケーションがとれていない場合

離婚を切り出すタイミング

次に、離婚を切り出すタイミングです。

先ほど解説したタイミングは離婚全体の流れを俯瞰したときのタイミングですが、ここでのタイミングとは、「いざ相手に離婚を切り出す」となったときのタイミングです。

口頭で切り出すときは、相手があなたの話に耳を傾けてくれるタイミングを見計らって切り出しましょう。相手が忙しいとき、疲れているとき、喧嘩した直後などは避けましょう。

子どもの目の前で離婚の話し合いをするのは避けた方がよいため、子どもがいないときに切り出しましょう。難しい場合は近くの親に子どもを預かってもらうなどして工夫しましょう。

離婚を切り出す場所

次に、離婚を切り出す場所です。口頭で切り出す場合はもちろん、LINE・手紙などで切り出す場合も、切り出した後に話し合いを予定している場合は検討しておくべきです。

自宅は第三者の目が届かないため、どうしてもお互いが感情的になりやすくなり話し合いにならないおそれがあるためおすすめできません。また、親や親族、知人の自宅は、相手に威圧感を与えてしまい、のちのち話がこじれる原因にもなりかねませんから、相手の同意がない限り、避けた方がよいでしょう。

おすすめは、カフェやレストランなどの第三者の目が届きやすく、かつ、プライベートもある程度確保できるような場所です。事前に候補となる場所を下調べしておきましょう。

間に入ってもらう人

最後に、話し合いの間に入ってもらう人です。

離婚の話し合いは夫婦だけで行うのが原則ですが、夫婦だけで話し合うことに自信がない場合、不安を感じる場合は間に入ってもらう人を検討しておきましょう。

まずは、親や親族、友人(できれば、離婚経験者)に入ってもらえないか検討することをおすすめします。ただ、話し合いはあくまで公平に進めなければいけませんので、あなたに一方的に肩入れするような人は適任とはいえません。

身近に適任者がいない場合は弁護士、カウンセラー資格をもつ行政書士などの専門家への依頼を検討しましょう。費用はかかってしまいますが、話し合いがスムーズにいく可能性があります。

離婚の切り出し方【文例編】

離婚を切り出す準備も整ったら、タイミングを見計らって離婚を切り出します。ここでは口頭で切り出す場合とLINE・手紙で切り出す場合の文例をご紹介します。

なお、どの方法で切り出す場合も、相手に対する不満やこれまでため込んできた感情はいったん横に置き、「離婚したい」という気持ちを相手に端的に伝えることが大切です

口頭で伝える場合

いきなり「離婚」というワードを出すと相手が身構え感情的にさせてしまうおそれがありますから、はじめに相手に対する感謝や労いの意を表してワンクッション置くことがポイントです。

これまで一緒にいて(私(俺)と結婚して/私を選んで/俺についてきて)(家族(私(俺)(子どもたち))のために働いて)くれてありがとう。本当に感謝しています。ただ、今の二人の関係を考えると、これからも一緒にいることは二人(家族)の人生にとってよくないと思います。今までいろいろと考え、このままの関係でいた方がいいのか離婚した方がいいのか悩んだけど、二人(家族)のこれからの人生のためには、お互い別々の道を進んだ方がいいと思います。離婚の方向で話し合いを進めていきませんか?」

はじめから離婚を切り出すことに抵抗を感じる場合は、まずは「話がしたい」、「話を聞いてもらいたい」という気持ちを伝えてみてもよいでしょう。あわせて希望する話し合いの日時・場所を伝え、相手と調整しましょう。

「電話でごめんなさい。面と向かって言う勇気がなかったので、電話で伝えさせてもらいます。今度、二人にとって大切な話をしたいと考えています。話し合いの場所は〇〇と考えています。忙しいところ申し訳ない(恐縮)けど、〇〇(日時)に〇〇(場所)まで来てもらえませんか?もちろん、日時(日程)は調整できます。よろしくお願いします。」

LINE・手紙・メールで伝える場合

LINE・手紙・メールで伝える場合は、「離婚という大事なことをどうして直接言ってくれないのか」という相手の疑問、不満に応えるため、はじめになぜLINEなどで伝えることにしたのかを書くことが大切です。

大切な話があり連絡させてもらいました。本来であれば直接伝えるべきですが、私の性格上、直接だと緊張してうまく想いを伝えることができないためにLINEで伝えさせてもらうことにしました。大切な話とはこれからの二人(家族)の人生のことです。別居してからこれまでの間、どうすることが二人(家族)にとってベストなのかいろいろ考えましたが、私(俺)の中では離婚することが二人(家族)にとってベストな選択という結論に至りました。もし、話し合いに応じてもらえるなら、今後についてきちんと向き合って話し合っていきたいと考えています。あなたの考えも聞かせてください。お返事待ってます。」

離婚を切り出した後にやること

相手に離婚を切り出した後、相手が話し合いに応じるときは離婚に同意するか、親権や養育費、財産分与などの離婚条件をどうするかについて話し合います。ただ、実際は、離婚条件をすり合わせながら離婚の同意を得ていくことになるでしょう。

話し合いでは、はじめに離婚準備の段階であなたが考えておいた希望を相手に伝えます。次に、相手の意見にも耳を傾け、譲歩できる点は譲歩し、うまく折り合いをつけながら話し合いを進めていくことが協議離婚を成立させるためのコツです。

話がまとまったら口約束だけで終わらせず、離婚協議書を作って合意内容を書面に残しておきましょう。養育費や慰謝料などの金銭を分割で受け取っていく合意をした場合は、未払いを防止するために離婚公正証書を作っておくことをおすすめします。

一方、相手が離婚に合意しない、あるいは離婚には合意するものの離婚条件で話し合いがまとまらない場合は別居するか、弁護士などの第三者を間に入れることを検討します。離婚調停を申し立て、調停委員を間に入れて話し合いを進めていく方法もあります。

まとめ

今回のまとめです。

  • 離婚の切り出し方には「口頭」と「LINE・手紙・メール」がある
  • 口頭で切り出すのが基本ですが、どちらが最適かはケースバイケース
  • 相手に離婚を切り出すのは離婚準備を整え、離婚後の生活の不安を解消できてから
  • 子どもがいる場合は新学期、新年度に照準を合わせて切り出そう
  • 離婚の準備が整ったら、切り出し方、タイミング、切り出す場所、間に入ってもらう人も検討
  • 離婚を切り出した後は離婚に合意できることを確認した上で離婚条件について話し合う