性格の不一致で離婚するには?

  • 性格の不一致で離婚できるの?
  • 性格の不一致で慰謝料を払わせることはできるの?


この記事ではこのような悩み、疑問にお応えします。

裁判所が公開している司法統計をみても、性格の不一致(性格が合わない)は離婚理由の第1位のようです。この記事をお読みの方の中にも性格の不一致を理由に離婚を検討されている方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は、そもそも性格の不一致を理由に離婚できるのか、性格の不一致を理由に離婚する場合はどのような点に気をつければいいのかといったことについて詳しく解説していきたいと思います。

離婚理由で多い「性格の不一致」とは?

性格の不一致とは、文字通り読めば、「性格が合わない」ということだと思いますが、人は一人一人性格が違って当然ですから、単に性格が合わないという理由だけで離婚する夫婦は珍しいでしょう。なのに、性格の不一致がすべての離婚理由の中で第1位なのは、「性格の不一致」の「性格」の中には、性格のほかにも

  • 価値観
  • 生活習慣
  • 金銭感覚
  • マナー
  • 子育てに関する考え方
  • 教育方針
  • 友人、親・親族との付き合い方
  • 宗教観

などいろいろな意味が含まれており、様々な要因が折り重なって離婚に発展してしまうことが多いからだと考えられます。

「性格の不一致」という言葉が、夫婦が抱えている悩みや問題を集約している言葉だとすれば、性格の不一致が離婚理由の第1位であることはある意味当然という感じがします。

性格の不一致で離婚できる?

性格の不一致を理由に離婚できるかどうかは、どのような方法で離婚するかによって異なります。

協議、調停なら可能

まず、協議や調停で離婚する場合は可能です。

協議離婚とは夫婦間の話し合いで離婚する方法、調停離婚とは裁判所を介した話し合いで離婚する方法ですが、協議離婚、調停離婚では離婚理由が何であるかは問われないからです。離婚と離婚条件(親権、養育費、財産分与など)について合意できさえすれば、離婚理由が何であるかを問わず離婚できます。

裁判なら離婚事由にあたるかどうか

一方、裁判で離婚する場合は、以下の「裁判上の離婚事由」がなければ離婚裁判を起こせませんし、仮に起こせたとしても、裁判官に裁判上の離婚事由があると判断されない限り離婚できません

①不貞
②悪意の遺棄
③3年以上の生死不明
④強度の精神病、かつ、回復の見込みがない
⑤婚姻を継続し難い重大な事由


このように、性格の不一致が裁判上の離婚事由として明確に規定されているわけではありませんが、それでも性格の不一致を理由に裁判で離婚したい場合は⑤を理由に離婚裁判を起こすことが考えられます。

⑤を理由に離婚したい場合は、裁判で「婚姻関係が修復しがたいほどに夫婦関係が破綻していること」を証明する必要があります。夫婦関係の破綻を証明するには、一定期間別居したり、夫婦関係が破綻したことを証明する証拠を集めておく必要があります。

また、不倫、DV・モラハラ、悪意の遺棄など、他の裁判上の離婚事由があることを証明することによって夫婦関係の破綻を証明する、という方法もあります。

性格の不一致で離婚するまでの流れ

性格の不一致で離婚する場合もその他の理由で離婚する場合も、離婚までの流れは基本的に同じです。

修復できないか検討する

まずは、いきなり離婚を切り出すのではなく、修復できないか検討してみましょう

相手に対する愛情が少しでも残っている場合は、修復の余地はあるといえます。一度は好きになった相手ですから、その気になってこれまでの自分を変えることができれば相手も変わり、これまで以上の関係を築くことができるかもしれません。離婚を決断するのは、相手に対する愛情が完全になくなってから、修復が見込めないとわかってからでも遅くはありません。

離婚準備をする

相手に対する愛情がなくなった、あるいは修復が見込めないことがわかり、離婚のことを考えたら離婚準備を進めましょう

真っ先にやることは「お金の準備」と「住まいの確保」です。離婚するにも様々な費用がかかりますし、離婚してからは、基本的には自分一人の経済力で生活していかなければいけません。経済力がないまま離婚すると、離婚後途端に生活に困る可能性があります。他にも様々な準備があります。離婚後の生活の不安を取り除けるまでは、相手に離婚を切り出さないことがポイントです。

離婚の話し合いをする

離婚の準備が整い、離婚後の生活の不安を取り除けた後、相手に離婚を切り出します

離婚を切り出した後の話し合いをスムーズに進めるためにも、離婚の切り出し方、切り出すタイミング、切り出す場所などもあらかじめ考えておきましょう。二人で話し合うことに自信がない場合は間に第三者に入ってもらうか、入ってもらう場合は誰が適任かも考えておきましょう。切り出した後は、養育費などの離婚条件について話し合っていきます。

書面を作成する

相手の話し合いの末、離婚と離婚条件について合意できたら、あとで言った・言わないのトラブルになることを防止するためにも書面を作りましょう

離婚準備の段階で原案を作り、原案をベースに話し合いを進め、相手の意見や要望も取り入れて適宜修正を加えながら最終的な書面を作っていくことが理想です。養育費などの金銭的な取り決めをした場合は離婚公正証書を作りましょう。あらかじめ離婚協議書を作っておけば、公証人に離婚公正証書に盛り込んで欲しい内容を漏れなく伝えることができます。

執筆者
執筆者

離婚協議書、離婚公正証書の作り方でお困りでしたら、ぜひ一度ご相談ください。「お問い合わせ」よりご相談いただけます。

離婚届を提出する

書面を作った後は役所に離婚届を提出します(書面を作る前に離婚届を提出することもできなくはありませんが、その場合は書面の書き方に注意する必要があります)。

協議離婚の場合は離婚と離婚条件に合意しただけでは離婚は成立しません。離婚届を役所に提出し、受理されてはじめて離婚が成立します。提出の方法は「持参」、「郵送」、「代理」があります。平日の開庁時間外や休日でも提出することができますので、都合がつかない方は検討してみましょう。

性格の不一致で慰謝料を請求できる?

性格の不一致を理由に離婚したい場合、相手に慰謝料を請求したいと考える方も多いと思います。しかし、性格の不一致を理由に慰謝料を請求することはできません

なぜなら、そもそも慰謝料は不貞、DVなどの相手の責任ある行為によって精神的苦痛を受けたからこそ発生するものですが、性格の不一致の場合は、どちらに責任がある一方的に決めつけることはできないからです。

慰謝料という言葉を使うと、相手に「自分の責任で離婚することになった」という印象を与えかねませんので、もし相手が慰謝料という言葉を使うことに抵抗を示している場合は、慰謝料の代わりに「解決金」という言葉を使ってお金の支払を請求することがあります。

まとめ

今回のまとめです。

  • 性格の不一致は離婚理由の第1位
  • 性格の不一致の「性格」には様々な意味が含まれている
  • 協議、調停では性格の不一致でも離婚できる
  • 裁判では「夫婦関係が破綻しているかどうか」が争点となる
  • 性格の不一致で離婚したくなっても、まずは修復の道を探ってみる
  • 離婚に踏み切る場合は入念な離婚準備からはじめる
  • 性格の不一致を理由に慰謝料は請求できない
  • 解決金名目でお金の支払いを請求することはある

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚や夫婦問題を中心に取り扱う行政書士です。 離婚や夫婦問題でご相談ご希望の方は「お問い合わせ」よりご連絡いただきますようお願いいたします。