【2023年最新版】離婚届 | 書き方、入手方法、提出先【完全マニュアル】
- 離婚届の書き方を教えて欲しい
- 離婚届の提出先など、離婚届に関する知識を手に入れたい
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
離婚届はただ単に書いて役所に提出すればいいというわけではありません。一定のルールに従って書き、提出しなければ役所に受け付けてもらえず、離婚が成立しないこともあります。
そこで、今回は、離婚届の書き方を分かりやすく、詳しく解説します。また、記事の後半では、離婚届の提出先など、離婚届に関して必ず押さえておきたいポイントについても解説します。
この記事を読めば、離婚届の書き方から提出方法まですべてマスターしていただけます。ぜひ最後までご一読いただければと思います。
目次
離婚届とは
離婚届とは離婚の事実を役所に届け出ることです。
協議離婚の場合は、結婚のときに婚姻届を役所に提出したのと同じように、離婚届という書面を使って届け出を行わなければならず、離婚届が受理されてはじめて離婚という効果が発生します。
一方、調停離婚、審判離婚、裁判(和解、認諾、判決)離婚の場合は、役所に離婚届を提出しなくても離婚の効果は発生しますが、事後的な報告の意味で、役所に離婚届を提出しなければならないことになっています。
離婚届の入手方法
離婚届を入手する方法は次のいずかです。
役所の担当窓口で受け取る
役所の市民課、住民課などの担当部署に入手できます。持っていくものなどありません。身分確認もされません。間違えた場合に備えて複数枚持ち帰るとよいと思います。
仕事等で平日の開庁日に行けない場合は、平日の時間外または休日に受け取ることができないか問い合わせてみてもよいかもしれません。
インターネットからダウンロードする
もう一つは、インターネットからダウンロードする方法です(※)。ただし、離婚届はA3用紙にプリントアウトする必要があります。A3用紙を印刷できるプリンタをお持ちでない場合は、コンビニのプリンタを使う手もあります。
※現在、札幌市、仙台市、東京都江東区、品川区、新宿区、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市、福岡市等が書式をアップしています。書式は全国共通でどの自治体の書式を使ってもよいと思いますが、中にはお住いの自治体の書式でなければ受け付けてくれない自治体もあるようです。また、あらかじめ「宛名」が印字されていますので、離婚届を宛名と異なる自治体に提出したい場合は、一度提出先の役所に問い合わせてみることをおすすめします。
離婚届の書き方に関する注意点
離婚届に書き方に関する注意点は次のとおりです。
消えないインクのボールペンを使う
まず、離婚届を書く際は消せないボールペンを使いましょう。鉛筆や消せるタイプのボールペンを使ってはいけません。
訂正方法は手順通りに
次に、訂正箇所を訂正する場合は次の手順に従って訂正しましょう。修正液、修正テープは使ってはいけません。
【手順】
①ボールペンで訂正箇所を二本線で消す
②線の真ん中あたりに印鑑を押す
③上の余白に正しい内容を書く
シャチハタは使わない
後述するように、印鑑の使用は任意となりましたが、もし使う場合はシャチハタではなく認印、できれば実印を使いましょう。
【項目別】離婚届の書き方
それでは、ここからは、離婚届の書き方について各項目別に詳しく解説していきます。
届出日
届出日は離婚届の提出方法によって異なります。
①離婚届を窓口に「提出する日」を書く
・離婚届を役所へ直接もって行って提出する場合
・代理人(使者)に任せて提出する場合
②離婚届をポストに「投函する日」を書く
・離婚届を郵送で提出する場合
なお、①の場合は、その場で離婚届が受理された場合も離婚届を訂正して提出しなおした場合も「離婚成立日=提出した日」となります。
一方、②の場合は「離婚成立日=ポストに投函した日」ではなく、「離婚成立日=受理された日」となります。郵送の場合は、役所から届出人に受理通知書が発送されます。
宛名
宛名は離婚届を提出する「提出先の市区町村名」を書きます。離婚届の提出先は
- (離婚前の)本籍地がある役所
- 提出者の住所地の役所
のいずれかです。
離婚届の提出先が東京都新宿区の役所であるならば、「東京都新宿区」と書きます。あらかじめ印字されている市区町村と異なる市区町村に提出する場合は、ボールペンを使って二重線で消し(二重線の上の印鑑は不要)、その上に提出先の市区町村名を書きます。
氏名、生年月日
氏名は離婚前の氏名を、住民票(あるいは、戸籍謄本)の記載通りに書きます。生年月日は西暦ではなく、和暦(昭和●●年、平成●●年)で書きます。夫婦それぞれが書く必要はなく、どちらかが他方の氏名、生年月日を書いてもかまいません。
住所
住所も住民票(あるいは、戸籍謄本の附票)上の住所を書きます。今現在、住民票(あるいは、戸籍の附票)上の住所とは異なる住所に住んでいる場合でも、住民票(あるいは、戸籍の附票)上の住所を書きます。
住所が「●●丁目●●番地●●」などとなっている場合は「●●-●●-●●」と省略してはいけません。アパート、マンション名も省略してはいけません。
本籍、筆頭者の氏名
本籍、筆頭者の氏名も離婚前のものを書きます。夫婦で夫の姓を名乗っている場合は夫が筆頭者、妻の姓を名乗っている場合は妻が筆頭者となります。
本籍がどこか、筆頭者が誰か自信のない方は、役所から住民票か戸籍謄本を取り寄せ、確認しながら書いた方が間違えずに安心です。
本籍の地番等も、住所と同じく、戸籍謄本に記載されている通りに書いてください。
父母の氏名、続き柄
夫婦それぞれの実父母の氏名と続き柄を書きます。
父母が婚姻していて同じ姓を名乗っている場合は母の姓は書かず名だけを書きます。父母が離婚している場合、(双方又はいずれか一方が)死亡している場合でも、父母の氏名を書く必要があります。離婚していて異なる姓を名乗っている場合は、それぞれの姓を書きます。
普通養子縁組している場合は、実父母の氏名と実父母との続き柄を書き、養父母の氏名と続き柄は「その他」の欄に書きます(役所によっては養父母との続き柄を書くこと求められることがあります)。
一方、特別養子縁組している場合は、養父母の氏名と養父母との続き柄を書きます。実父母の氏名は書きません。父に認知されている場合は認知した父と母の氏名を書き、認知されていない場合は母の氏名のみ書きます。
続き柄については、「次男、次女」ではなく「二男、二女」と漢数字で書きます。
離婚の種別、離婚成立日
離婚の種別は
□協議離婚
□調停
□審判
□和解
□請求の認諾
□判決
の中から選択します。
また、協議離婚以外は離婚成立日を書く欄が設けられています。協議離婚の離婚成立日は役所側で把握することができますが、協議離婚以外の離婚方法の離婚成立日は役所側で把握することができないからです。協議離婚以外の離婚方法の離婚成立日は、調停調書謄本(調停離婚の場合)等の書面を見ることで確認できます。
婚姻前の氏にもどる者の本籍
「婚姻前の氏にもどる者」とは旧姓に戻る者という意味です。女性が該当するケースが多いと思います。
旧姓に戻る場合は、
□ もとの戸籍にもどる
□ 新しい戸籍をつくる
かのいずれかを選択します。いずれを選択しても、離婚後の本籍を書きます。
一方、旧姓に戻らない場合は何も書く必要はありません。ただ、この場合、役所に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する必要があります。届出は離婚届と同時にすることも可能です。
また、離婚成立日から3か月以内であれば可能ですが、一度、提出してしまうと3か月以内であっても原則として取り消すことはできませんので注意しましょう。
子どもの戸籍はどうなる?
注意しなければいけないのは子どもの戸籍です。子どもの戸籍は親の離婚によっても変わりません。たとえば、今現在、子どもの戸籍が夫を筆頭者とする戸籍に入っている場合、離婚後に妻が子どもの親権をもったとしても、子どもの戸籍は夫の戸籍に入ったままです。
「子どもの戸籍を夫の戸籍から外したい」という場合は、「□新しい戸籍をつくる」を選択する必要があります。「□もとの戸籍」を選択して、たとえば自分の親の戸籍に自分と子どもの戸籍を入れることは、戸籍法の定めに反することになるためできません。
新戸籍の本籍地は自由に設定できますが、戸籍謄本など本籍地でしか取り寄せることができない書類を取り寄せるときのことを考えると、新しい住所を本籍地と設定する方が多いと思います。
子どもの戸籍を新しい自分の戸籍に入れるには、家庭裁判所に対して「子の氏の変更許可」を申し立てます。その後、裁判所に許可されると、家庭裁判所から「審判書謄本」という書面がご自宅に送達されてきます。この「審判書謄本」をもって役所へ行き、子どもの入籍届を行えば、子どもの戸籍は新しい自分の戸籍に入ります。
未成年者の子の氏名
ここには「夫が親権を行う子」、あるいは「妻が親権を行う子」の氏名を書きます。
親権は、養育費、面会交流などの他の離婚条件と異なり、役所に離婚届を提出する前に取り決めておかなければいけません。空欄のままでは離婚届が受理されません。
子どもの氏名はフルネームで書きます。未成年者とは18歳未満(20歳未満ではない)の子のことです。子供が複数いる場合は、一方の親に子どもの親権をもたせることが多いですが、子どもごとに親権を分けることも可能です。
同居の期間
「同居を始めたとき(年月)」には結婚式を挙げた年月、あるいは同居を始めた年月のいずれかはやい年月を書きましょう。一方、「別居したとき(年月)」には別居した年月を書きますが、別居歴がないか、離婚届を提出する際に別居していない場合は空欄でかまいません。
年月の記憶が曖昧な場合はおおよその年月でかまいません。諸事情で同居期間がない場合は、「同居の期間」を空欄にしたまま、離婚届の「その他」の欄に「同居期間なしのため、空欄」と書いておくとよいでしょう。
別居する前の住所
離婚届を提出する際に別居している場合は、最後に同居していたときの住所を書きます。別居してない場合は空欄のままでかまいません。
別居する前の世帯の主な仕事と夫妻の職業
1~6の該当する箇所にチェックを入れます。「夫妻の職業」は国勢調査がある年にだけ書けば大丈夫です。
その他
その他には、
- 養父母の氏名と続き柄
- 同居期間がないこと
- その他必要な特記事項
を書きます。
届出人の署名
届出人とは離婚する夫婦のことです。夫、妻それぞれが自筆で書く必要があります。相手署名は、相手に無断で書いくことはもちろん、頼まれても書いてはいけません。
古い書式だと署名の横に印鑑を押す「㊞」のマークがあるかもしれませんが、印鑑を押すかどうかは任意(押しても、押さなくてもよい)です。
なお、夫婦双方の署名が必要なのは協議離婚の場合だけです。調停離婚、審判離婚、裁判離婚の場合は、夫婦の一方が署名すれば足ります。
連絡先
連絡先には、離婚届の訂正等が必要となったときに対応できる人の電話番号・携帯電話番号を書いておきます。
証人
証人の欄は協議離婚の場合のみ書きます。証人は18歳以上(20歳以上ではない)の者で、かつ、夫婦以外の人であれば誰でもなることができます。証人の署名は証人自身に書いてもらう必要があります。押印は「届出人」と同じく任意です。
離婚届の提出先
離婚届の提出先は
- (離婚前の)本籍地の役所
- 提出者の住所地がある役所
のどちらかです。
本籍地の役所に提出する場合は戸籍謄本の提出が不要です。
離婚届の必要書類
離婚届を提出する際は、離婚届のほかにも書類が必要です。離婚方法、離婚届の提出方法によって必要なものが異なります。不備があると離婚届が受理されませんので提出前にしっかり確認しておきましょう。
離婚届の提出方法
離婚届の提出方法は、
- 役所に直接もっていく(持参)
- 郵送
- 代理人にもっていてもらう
の3通りです。
それぞれのメリット、デメリットをよく把握した上で、ご自分にとって最適な方法を選択しましょう。
離婚届の提出期限
協議離婚の場合、提出期限はありません。一方、調停・和解・認諾離婚の場合は成立の日を含めて10日以内、審判・判決離婚の場合は確定日を含めて10日以内に離婚届を提出しなければいけません。
離婚届を提出する時間帯
平日の開庁時間帯はもちろん、役所によっては平日の開庁時間外や休日でも受け付けています。役所のホームページなどで確認しておきましょう。
誰が離婚届を提出する?
夫婦のどちらでもかまいませんが、離婚届が提出されず離婚が成立しないという事態を防ぐため、
- 離婚を強く希望する方
- 離婚によってプラスの効果を受ける方(※)
が提出した方がよいでしょう。離婚協議書や離婚公正証書を作る際は、離婚届の提出者や提出期限に関する条項を盛り込んでおくとよいでしょう。
※親権を得る、養育費・慰謝料等を受け取る方
離婚届を勝手に提出できる?
協議離婚では、離婚届に相手のサインが必要ですので、離婚届を相手に無断で提出することはできません。
もし、あなたが離婚届の「届出人」欄に相手の名前を書いて提出した場合、相手の離婚意思を欠きますから、離婚は無効です。また、万が一あなたが書いたことが発覚した場合は次の罪に問われる可能性がありますから、相手の名前を書いて提出することは絶対にやめましょう。
・相手の名前を書いた行為について
→有印私文書偽造罪(刑法159条1項)
・偽造した離婚届を提出した行為について
→偽造有印私文書行使罪(刑法161条1項)
・戸籍に事実とは異なる事実を記載させた行為について
→公正証書原本不実記載罪(刑法157条)
なお、
- 相手に勝手に名前を書かれて離婚届を出されそう
- 勢いでサインした離婚届を相手に預けている
- いつ出されるか不安
という方は、役所に離婚届不受理申出をしておきましょう。
離婚届を提出する前にもう一度チェックを
離婚届は記載内容、必要書類に不備があると受理してもらえません。また、協議離婚の場合は、離婚届が受理されないと離婚は成立しません。
離婚届に不備があると、内容によっては持ち帰って訂正したり、後日、役所に足を運んで訂正したりと時間と手間をとられてしまいます。
そこで、役所に離婚届を提出する前に、今一度、次の点をチェックして完璧な状態に整えてから離婚届を提出するようにしてください。
□ 鉛筆、消せるボールペンで書いてないか?
□ 修正液、修正テープは使っていないか?
□ 内容は正確か?
□ 記載内容に漏れはないか?
□ 役所の担当者が見ても書いている文字がわかるか?
□ 必要書類はすべてそろっているか?
投稿者プロフィール

- 離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。
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