【離婚届の証人】は誰にする?条件は?候補がいない場合の対処法は?
- 離婚届の証人を誰にするか迷っています
- 証人になってくれる人がいない場合はどうしたらいいですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
婚姻届と同じく、離婚届にも証人がサインする欄があります。しかし、そもそも誰に証人になってもらうか、誰が証人になれるのか、あるいは、証人になってくれる人がおらず、お悩みの方もおられると思います。
そこで、この記事では、離婚届の証人はどんな人がなれるのか、もし周りに証人になってくれる人がいない場合はどうしたらいいのかについて詳しく解説していきたいと思います。
目次
離婚届の証人が必要な理由
後述するように、協議離婚する場合は離婚届の証人が必ず必要です。証人の欄が空欄のまま離婚届を提出しても役所が受理してくれず、協議離婚は成立しません。
協議離婚の場合に離婚届の証人が必要とされているのは、離婚することについて慎重であって欲しいからです。すなわち、離婚届の証人が不要で、夫婦の意思(合意)だけで離婚できるとすれば、一時的な感情だけで離婚に進み、離婚した後、後悔してしまうことにもなりかねません。
そこで、離婚届に証人(のサイン)を必要とすることで、本当に離婚という選択肢で後悔がないのか今一度夫婦に考えさせるきっかけを与えようとした、というのが離婚届の証人の制度だと言われています。
証人に離婚届へのサインをお願いするときに、離婚の理由や経緯などを話すことになるでしょう。証人に離婚の理由や経緯などを話すことで、離婚という選択肢が間違っていないかどうかを自らに問いかけるきっかけにもなりえます。
離婚届の証人の条件
では、離婚届の証人はどんな人がなれるのでしょうか?この点、離婚届の証人は、
- 成年(満18歳以上の者)であること(※)
- 夫婦以外の第三者であること
という二つの条件を満たしていれば誰でもなることができます。
通常、自分の親に証人になってもらうことが多いと思いますが、18歳以上であれば、親に限らず、兄弟姉妹、職場の上司・同僚、友人・知人やご自分の子供でも証人になることができます。
※2022年(令和4年)3月31日までは、民法上、20歳以上の人が「成年」でしたが、同年4月1日以降は、18歳以上の人が成年となりました。
離婚届の証人を探す前の前提知識
次に、離婚届の証人を探す前に次のことを把握しておきましょう。
夫婦それぞれから証人を出す必要はない
まず、夫婦それぞれから証人を出す必要はないということです。
離婚届の証人は2人必要ですが、夫婦それぞれが証人を立てなければならないとなると、相手が非協力的な場合、離婚届を提出することができなくなってしまいます。そこで、離婚届の証人は、夫婦のいずれか一方が2人の証人を選んでもよいことになっています。
証人が不要な場合がある
次に、離婚の方法によっては証人が不要な場合があることです。
すなわち、協議離婚の場合は証人が必要です。一方、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の場合は、裁判所という公的機関の手続きを通じて離婚が成立しますから、証人は不要となっています。
離婚届の証人が法的な責任を負うことはない
次に、離婚届の証人が法的責任を負うことはないことです。
証人と聞くと、法廷の証言台に立って証言する証人や借金の返済義務を負う連帯債務者のようなイメージをもつ方もおられるかもしれません。しかし、離婚届の証人は「夫婦の離婚の事実を知っている人」、「離婚を見届けた人」という程度の意味で、何らかの法的義務を負うことはありません。
証人への危害を避ける方法
このように、離婚届の証人が何らかの法的責任を負うわけではありません。とはいえ、離婚届の証人の意味を誤解した方が、証人に何らかの責任をとらせようと家に押しかけたり、コンタクトをとろうとすることも可能性としてないわけではありません。
こうしたトラブルに証人を巻き込ませないためには、相手に証人を知らせない対策をとることが一番です。すなわち、まず相手に離婚届の署名をしてもらい、あなたがその離婚届を預かり、あなたも離婚届に署名します。
その後は、あなたが二人の証人を探し、証人に署名してもらった後すぐに離婚届を提出すれば、相手は誰が離婚届の証人となったか調べようがありません。
離婚届の証人欄にサインしてもらう際の注意点
せっかく離婚届の証人を探すことができても、離婚届の証人の欄に誤りがあると離婚届が受理されず協議離婚は成立しません。そうしたことがないよう、以下では、証人にサインしてもらう際の注意点について解説したいと思います。
証人の「署名」欄は証人が自筆する
まず、離婚届の証人の「署名(氏名)」欄は証人に自筆で書いてもらわなければなりません。間違っても証人の代わりに書くことだけはやめましょう。なお、「住所」、「本籍」は証人以外の人が書いても問題はありません。
修正の際は修正テープ・ボールペンを使わない
次に、証人が氏名を間違え、修正が必要な場合は、
・修正箇所を二重線でひいて消す
・二重線の中央部付近に証人の印鑑を押す
・その上に正しい内容を書く
という方法で訂正します。修正液・テープは使ってはいけません。
印鑑は不要
お使いになる離婚届の様式によっては証人の「署名」欄に印鑑を押す箇所が設けられているかもしれません。しかし、今は印鑑は不要です。
離婚届の証人が見つからない場合の対処法
万が一、離婚届の証人になってくれる人が見つからない場合はどうすればいいでしょうか?
専門家に依頼する
まず、行政書士、弁護士などの専門家に依頼することが考えられます。
中には離婚届の証人だけのサービスをもうけている専門家もいます。ホームページなどでよく確認しましょう。仮にもうけていない場合でも、依頼をしたついでに証人になってくれないか相談してみてもよいでしょう。別に費用が発生するか、発生しないかは専門家しだいとなります。
専門業者に依頼する
他に、専門業者に依頼するという方法もあります。
通常、「業者に依頼→離婚届を業者に郵送→業者がサインして返送」という流れとなり、費用は4,000円~10,000円が相場です。
ただし、専門家と異なり、専門業者には法律上の守秘義務が課されていません。本籍、住所等の個人情報を載せている離婚届を、顔が見えず、守秘義務が課されていない業者に渡すことは慎重になるべきでしょう。
まとめ
- 協議離婚の場合は離婚届の証人が必要
- 離婚届の証人は「18歳以上の人」、「夫婦以外の人」であれば誰でもなれる
- 夫婦それぞれが証人を選んでもよいし、夫婦の一方が証人を選んでもよい
- 離婚届の証人が法的義務を負わされることはない
- 証人への危害を避けるには相手に知らせない対策をとろう
- 証人が見つからない場合は士業や業者に依頼することができる
投稿者プロフィール

- 離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。
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