• みんなどんな理由で離婚していますか?
  • 離婚するには理由が必要ですか?
  • 「○○」の理由で離婚できますか?
  • 相手や子どもに離婚理由を伝える必要はありますか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

夫婦にはいろいろな「形」があるように、離婚に至った理由や原因も夫婦により様々です。100組の夫婦がいれば100通りの離婚理由があるといっても過言ではありません。ただ、裁判所が公表している統計などをみてみると、離婚理由に一定の傾向があるようです。

そこで、今回は、他の夫婦がどんな理由で離婚しているのか、今後離婚の手続きを進めていく上で離婚理由がどのように関係してくるのか、離婚するにあたって明確な離婚理由をもっていた方がいいのかなど、離婚理由に関して詳しく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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【最新】離婚理由ランキング

裁判所が公表している司法統計(令和3年度司法統計 | 第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別ー全家庭裁判所)を、男女別に申立人数の多い順に整理し直した表が以下です。

離婚理由(夫)
離婚理由(夫編)
離婚理由(妻)
離婚理由(妻編)


この表から、男女ともに「性格が合わない(性格の不一致)」を離婚理由の1位にあげていることがわかります。また、1位ではないものの、男女ともに「異性関係」を上位にあげていることも特徴的です。

男女別にみると、男性が「精神的に虐待する(モラハラ)」を離婚理由の上位にあげていること、女性はDV(「暴力を振るう」)やモラハラ(「精神的に虐待する」)のほか、お金や借金(「生活費を渡さない」、「浪費する」)を上位にあげていることが特徴的です。

離婚するには離婚理由が必要?

離婚するにあたっては誰しも一つや二つ、何らかの離婚理由をもっていると思いますが、実は、離婚方法によっては離婚理由が必要な場合と必要でない場合があります。

離婚方法には、大きく分けて、「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」がありますが、協議離婚、調停離婚では離婚理由は必要とされておらず、法律上必要とされているのは裁判離婚だけです。

協議離婚は、夫婦で離婚することに合意し、子どもがいる場合は親権者を決め、役所に離婚届を提出し受理されれば離婚は成立します。離婚届に離婚理由を書く欄などありませんし、役所で離婚理由を聞かれることもありません。

調停離婚でも、夫婦で離婚やその他の離婚条件(養育費、面会交流、慰謝料、財産分与など)に合意し、調停が成立すれば離婚は成立します。調停で離婚理由を明確にする必要はありません。

離婚理由は明確にしておく

このように、協議離婚、調停離婚では離婚理由は必要でないとはいえ、離婚理由は明確にしておきましょう

協議離婚、調停離婚を目指す場合は相手が離婚に合意しなければいけません。相手も離婚するつもりなら別ですが、そうでない場合はあなたがなぜ離婚を望んでいるのか、相手を納得させるだけの理由を持ち合わせていないと相手が離婚に合意しないかもしれません。

また、離婚理由が曖昧だと気持ちにブレが生じ、相手に離婚を切り出した後に「やっぱり切り出さなきゃよかったと」心変わりするかもしれません。ただ、いったん相手に離婚を切り出すと元の関係に戻ることはほぼ不可能です。

相手に対する気持ちや相手との関係に一区切りつける意味でも、あなた自身の中で離婚理由を明確にしておく必要があるといえます。

離婚理由を上手に伝えるコツ

相手に離婚を切り出した後は、まずは相手に「離婚したいこと(離婚意思)」と「離婚理由」を伝える必要があります。相手に離婚を切り出す際はまずは相手の感謝や労いの言葉を伝えワンクッション置くと、相手の緊張した気持ちも和らぎ、あなたの話を聞いてくれるようになるでしょう。

相手を非難しない、責めない

相手に離婚理由を伝える上で大切なことは相手を非難したり、責めたり、相手が嫌がるようなことを言わないことです。ここで、相手を非難したり、責めたり、相手が嫌がるようなことを言うと、相手もあなたに応戦して話し合いにならなくなります。あなたがまず目指すべきは話し合い(協議)による離婚ですが、そのためには相手に話し合いのテーブルについてもらわなくてはならないことを忘れてはいけません。

離婚を決定づけた具体的エピソードを伝える

あなたが相手に伝えるべきことはあなたに離婚を決意させた決定的な出来事です。単に性格・価値観が合わない、考え方が違う、生活がつまらないなどと抽象的なことを言っても相手に伝わりません。具体的なエピソードを交えながら伝えると相手に伝わりやすくなります。離婚理由は離婚意思を伝えるための補助的なものにすぎず、相手と離婚理由について議論しても意味がありません。あれもこれもと伝えようとせず、本当に伝えたいことだけに絞って伝えるよう心がけてください。

相手にもメリットがあることを伝える

離婚理由を伝えるときは、あわせて離婚することが相手にもメリットがあることを伝えるのも一つの方法です。たとえば、子どもと離れて暮らすことで自分の時間が増え、これまで以上に趣味や仕事に没頭できる、新しいパートナーを探すことができるなどです。このように具体的に言わないにしても、離婚がお互いの人生にとってよいことと考えたので離婚を決めた、という風に伝えると相手に悪い気を起こさせずに、今後の話し合いにスムーズにつなげることができるのではないでしょうか。

子どもに離婚理由を伝える必要はある?

「子どもに離婚理由を話すと子どもを傷つけるのではないか?」、「子どもの成長によくないのではないか?」、「話しても理解できないのではないか?」このような考えから、子どもに離婚理由を話す必要はないと考える方もおられます。しかし、子どもの年齢や発達具合によってどこまで詳しく話すかは考える必要があるものの、子どもときちんと向き合って話す必要はあるでしょう。

大人が思っている以上に子どもは大人の話を理解する力を身につけています。はじめから話すことを放棄すると、子どもは自尊心を傷つけられ、それが親への不信に変わってしまう可能性があります。子どもを一人の人間として尊重しながら、子どもが理解できる範囲で離婚理由を丁寧に説明することが、今後の親子関係にも大きく影響します。

別れる相手であっても子どもからみれば自分の親ですから、子どもの目の前で相手を非難したり、相手の悪口を言うことは、子ども自身を傷つけることにつながりますので絶対にやめましょう。不貞、不倫、浮気などデリケートな離婚理由については、子どもの年齢、発達具合等をみながら慎重に言葉を選んで説明するよう心がけましょう。

裁判で必要な5つの離婚理由

協議離婚、調停離婚と異なり、裁判で離婚するには、離婚を請求する側が次のいずれかの離婚理由があることを証拠により証明する必要があります。

①不貞
②悪意の遺棄
③3年以上の生死不明
④重い精神病にかかり、回復の見込みがない
⑤婚姻を継続し難い重大な理由

①不貞

不貞とは、相手がその自由意思で、あなた以外の第三者と肉体関係をもつことをいいます。つまり、肉体関係を伴う不倫・浮気が不貞です。肉体関係を伴う必要がありますから、二人きりの食事やデート、あるいは、キスをしただけとか、親密な関係、お互いに好意をもっている関係というだけでは不貞とはいえません。

もっとも、肉体関係を伴わない行為であっても、それが繰り返されれば、された側は不貞と同じように傷つき、苦しめられます。そのため、肉体関係を伴わなくても⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたることを理由に離婚が認められることがありますし、慰謝料請求の対象となることもあります。

別居した後に相手と肉体関係をもっていたことが判明した場合は判断がわかれます。肉体関係をもっていた時点ですでに婚姻関係が破綻していた場合は不貞にはあたりません。一方、別居する前から肉体関係をもっていた場合、別居した後の肉体関係でも別居期間が短くまだ婚姻関係が破綻していないと認められる場合は不貞にあたります。

②悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、正当な理由がないのに、相手が次のいずれかの義務をはたさないことをいいます。

・同居義務:夫婦が同じ屋根の下で生活する義務
・扶助義務:お互いが同じレベルの生活を送れるように生活費を負担し合う義務
・協力義務:力を合わせて暮らしを維持する義務

悪意の遺棄というためには単なる「遺棄」、すなわち上記の義務に違反しただけでは足りず、「悪意」、すなわち、あなたが困るとわかっている、婚姻生活が破綻してもかまわないと知りつつ義務に違反したといえることが必要です。

・同居義務違反:勝手に別居する、家出する、同居を拒む など
・扶助義務違反:生活費を入れない、看病しない など
・協力義務違反:家事・育児の放棄 など

③3年以上の生死不明

3 年以上の生死不明とは、それなりの調査を尽くしてもなお生存の証明も死亡の証明もできない状況が3年以上継続した状態のことをいいます。

相手がどこで何をしているかわからないけど相手との連絡はつく、という状態は行方不明の取り扱いとなります。行方不明の場合は、②の「悪意の遺棄」か、⑤の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を離婚理由として離婚請求することができます。

3年以上の生死不明を理由に離婚する場合は、相手が協議に応じること、調停に出席することが期待できないため、いきなり裁判を起こすことが認められています。

④重い精神病にかかり、回復の見込みがない

「重い精神病」にあたる病気としては、

・統合失調症
・双極性障害
・偏執病
・初老期精神病
・早期性痴呆
・麻痺性痴呆
・認知症
・アルツハイマー病
・重度の身体障害

などがあります。

もっとも、相手が重い精神病をわずらっていることのみをもって離婚できるわけではありません。重い精神病をわずらうのは不可抗力でもあり、夫婦は互いに扶助義務を負っています。そのため、相手が重い精神病をわずらっていることに加えて

  • 回復の見込みがないことを診断書などの客観的な証拠によって証明すること
  • 長期間にわたって治療が続いていること
  • これまで回復に向けて献身的に看病してきたこと
  • 離婚しても相手が生活に困らないようサポート体制を整えること

が必要とされています。

一方、アルコール依存症、薬物依存症、ヒステリー、神経症、ノイローゼなどは重い精神病にはあたらないと考えられていますが、⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由」を離婚理由として離婚請求することも考えられます。

⑤婚姻を継続し難い重大な事由

婚姻を継続し難い重大な事由とは、夫婦が婚姻の目的である共同生活を達成しえなくなり、その回復の見込みがなくなった状態と解されています(最高裁判所昭和62年9月2日)。

①から④も「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたりますが、実際問題、離婚理由は①から④に限られるわけではなく、むしろ①から④以外の理由で離婚する夫婦の方が多いといえます。

もし、①から④の場合にしか離婚を認めないとなると、夫婦や家族の将来にとってもいいことではありません。そこで、離婚理由が何であれ、夫婦関係が破綻していて回復の見込みがない場合には離婚を認めます、というのが⑤ということになります。

5号にあたる離婚理由としては、

① 相当期間の別居
② DV、モラハラ
③ 犯罪行為、受刑
④ 浪費、ギャンブル、借金
⑤ 疾病、心身の障害、薬物・飲酒依存
⑥ 宗教へののめり込み
⑦ 親族との不仲
⑧ セックスレス
⑨ 性格の不一致

などがありますが、⑤で離婚する場合は離婚理由よりもどれだけ夫婦関係が破綻しているか、回復の見込みがないかが問われます。

夫婦関係が破綻しているかどうか、回復の見込みがないかどうかは、これまでの経緯、婚姻中の夫婦の関係性、婚姻を継続する意思、別居の有無、別居期間、子供の有無、などの様々な諸事情を総合的に勘案して判断されます。

離婚原因を作った相手からの離婚請求

不貞した相手に対する離婚請求は認めらます。では、不貞した相手(有責配偶者)からあなたに離婚請求することは認められるのでしょうか?

この点、請求すること自体は可能ですが、あなたが離婚を拒否し続け、相手が裁判を起こした場合に離婚が認められることは原則としてない、というのが答えです。このような場合にまで離婚を認めると、裁判所が不貞などの違法行為を認める形になってしまうからです。

もっとも、有責配偶者からの離婚請求が絶対に認められないかといえばそういうわけでもありません。以前は、裁判所は有責配偶者からの離婚請求は認めないとの立場をとっていましたが、昭和62年(1987年)に有責配偶者からの離婚請求を認める判例が出て以降、有責配偶者からの離婚請求を認める裁判例が出てきています。

まとめ

今回のまとめです。

  • 離婚理由の第1位は男女とも「性格が合わない(性格の不一致)」
  • 協議離婚、調停離婚では離婚理由は必要とされない
  • 裁判離婚では法律上の離婚理由を証明できなければ離婚できない
  • 離婚原因を作った側からの離婚請求は原則認められない