• 離婚公正証書を作るまでの流れを教えてください

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

多くの方にとって離婚公正証書を作るという経験は、人生に一度あるかないかの出来事だと思います。そのため、離婚公正証書をどのような流れで作るのかわからない、あらかじめ把握しておきたい、と思われる方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は、夫婦で離婚公正証書を作る手続きをとる場合の流れ、行政書士などの専門家に離婚公正証書の作成手続きを任せる場合の流れについて解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
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離婚公正証書を作成するまでの流れ

夫婦で離婚公正証書を作る手続きをとる場合の基本的な流れはこちらです。

①離婚の準備をする
・離婚協議書の原案(※)を作成する
※離婚協議書は離婚公正証書の原案となります
・必要書類(証拠資料)を集める

②話し合いをする → 調停?

③原案を完成させる

➃必要書類を準備する

⑤公証役場に作成を依頼する
・公証人との面談
・必要書類の提出

⑥公証人が離婚公正証書の原案を作成する

⑦公証役場で離婚公正証書にサインする

①離婚の準備をする

まず、離婚を思い立った段階で、相手に離婚を切り出す前に離婚の準備にとりかかります

今現在、相手の収入に頼って生活している方は自力で稼いでいくための準備や離婚後の住まいを検討することが先決です。また、離婚するにあたって、相手とどんなことを話し合えばよいのか情報収集した上で、離婚公正証書の原案となる合意書面も作成しておきましょう。準備不足のまま相手に離婚を切り出すと、切り出したこと、離婚したことを後悔してしまう可能性がありますので注意が必要です。

②話し合いをする

次に、離婚の準備が終わり、離婚後の生活の不安を取り除くことができ、離婚しても後悔しないと決心できた段階で相手に離婚を切り出します

相手に離婚を切り出した後は離婚の話し合いをはじめます。相手が話し合いに応じる場合は、離婚と養育費などの離婚条件について話し合い合意を目指します。離婚の切り出し方、話し合いの進め方にも注意が必要です。一方、相手が話し合いに応じない、話し合いはできても話がまとまらない場合は調停を申し立てることを検討しましょう。

③原案を完成させる

相手との話し合いで離婚と離婚条件について合意できたら、合意内容を書面にまとめます

離婚準備の段階で離婚協議書の原案を作っている場合は、話し合いの結果を繁栄した離婚協議書に修正します。この離婚協議書は離婚公正証書の原案の作成に使うものであるためサインは必要ありませんが、不安であれば念のためサインしていてもよいでしょう。なお、離婚公正証書を作るには夫婦の合意が必要ですので、原案にはその旨も忘れずに盛り込んでおきます。

④必要書類を準備する

また、③と同時に公証役場に提出する必要書類を準備します

①の離婚準備の段階で集めておくことが理想ですが、集めることができていない場合は公証役場に作成を依頼するまでに準備しておきます。どんな書類を準備すべきなのかわからない場合は事前に公証役場に問い合わせて確認しておくと安心です。必要書類は公証人との面談のときにもっていくのが理想ですが、準備できない場合は面談後に追加で提出することもできます。

⑤公証役場に作成を依頼する

③、④が終わりましたら公証役場に電話し、公証人との面談の予約を入れます

公証役場によっては、メールまたはFAX送信により作成の依頼を受け付けてくれるところもありますので確認しておきましょう。離婚公正証書はどの公証役場でも作成することが可能ですが、夫婦で手続きする場合はお互いにとって利便性が高い公証役場を選ぶことになるでしょう。

参照:公証役場一覧 : 日本公証人連合会

行政書士こぶき
行政書士こぶき

⑤や公証人との面談は夫婦そろって行う必要はありません。

⑥公証人が離婚公正証書の原案を作成する

公証役場に離婚公正証書の作成を依頼後、公証人が③、④や面談時の聴取結果をもとに離婚公正証書の原案を作成します

依頼の申込みから原案の作成までにははやくて1週間以内、長くて1週間~2週間前後かかります。公証人が離婚公正証書の原案を作ると、メールまたはFAXで原案が送られてきますので内容を確認します(原案は相手にも送られています)。修正してもらい点がある場合は、公証人にその旨申し出ます。

⑦公証役場で離婚公正証書にサインする

夫婦それぞれが離婚公正証書の原案を確認し内容に合意できる場合は、公証役場で離婚公正証書にサインする日(調印日)を調整します。また、公証役場から離婚公正証書の作成費用を伝えられます。費用は調印日に現金で支払います。

調印日になったら夫婦ともに公証役場へ出向き、公証人と一緒に離婚公正証書に書かれている内容に誤りがないかどうか確認し、サインします。サインした後は、お金を請求できる権利者が正本と送達証明書(※)を、払う義務がある義務者が謄本を受け取ります。

原本は公証役場で原則20年間保管されます。

※正本(謄本)は原本の写しで、原本と同じ内容・効力を有します。送達証明書は、相手(義務者)に謄本が送達されたことを証明する書面です。夫婦でサインした場合は、義務者にその場で送達する交付送達という手続がとられます。

【調印時にもっていくもの】
=①または②+③
①実印(身分証明書として印鑑登録証明書(発行日から3か月以内のもの)を使用した場合)
②認印(身分証明書として印鑑登録証明書以外のもの(運転免許証等)を使用した場合)
③作成費用(あらかじめ公証役場から金額が伝えられます)

離婚公正証書の作成を専門家に依頼する場合の流れ

ここまで夫婦で離婚公正証書を作成する場合の流れを解説してきましたが、手続きを行政書士や弁護士などの専門家に依頼する場合も基本的には同じ流れとなります。

ただし、専門家に離婚協議書の作成や離婚公正証書の手続き(公証役場への作成依頼、公証人との日程調整、公証人との面談など)を任せることができますから、夫婦で手続きするよりかは負担が軽くなるのは間違いありません。

夫婦の一方が専門家に任せる場合は、任せない方は調印日に公証役場に出向いて離婚公正証書にサインする必要がありますが、夫婦それぞれが代理人に任せる場合はその手続きも必要ありません。

離婚届の提出のタイミングは?

協議離婚は公正証書を作った段階ではなく、離婚届を役所に提出し受理された段階で成立します。公正証書の作成と離婚届の提出のいずれを先にすべき、との決まりはありませんが、通常は先に公正証書を作成し、その後に離婚届を提出します。

この流れだと、「離婚」という夫婦の共通目標があるため、夫婦で協力して公正証書の作成手続きをとりやすいというメリットがあります。一方、逆の流れだと、「離婚」というゴールが達成されているため、相手の協力を得られにくいというデメリットがあります。

もし、離婚届を提出した(協議離婚を成立させた)後に公正証書を作る場合、公正証書の作成途中に離婚届を提出した場合は、公正証書に盛り込む内容や文言が変わってしまう可能性があるため、あらかじめ公証人に伝えておいた方がよいでしょう。