離婚公正証書と代理人 | 手続きを任せることはできる?注意点など解説

  • 離婚公正証書の作成を代理人に任せることはできる?
  • 代理人に任せるメリット・デメリットは?
  • 代理人は誰に頼めばいいの?
  • 任せる場合の手続きの流れは?

この記事では上記のような疑問、悩みにお応えします。

離婚公正証書への調印日(離婚公正証書に署名・押印する日)には、夫婦それぞれが公証役場に行き調印するのが原則です。ご夫婦それぞれが「離婚」という人生の中でも重要な選択をするときに、離婚の意思と合意した離婚条件に誤りがないことを、あらためて本人自ら確認した上で離婚公正証書に調印する必要があると考えられるためです。

一方で、配偶者と顔を合わせたくない、公証役場に行く時間がない、公証役場が遠方で行けない、などの理由から「代理人に手続きを任せたい」というご要望が多いのも事実です。そこで、今回は、離婚公正証書の作成を代理人に任せることはできるのか?任せるメリット・デメリットは何か?任せる場合はどんな手続きが必要か?などについて詳しく解説していきたいと思います。

離婚公正証書の手続きを代理人に任せることはできる?

離婚公正証書の手続きを代理人に任せることができるかどうかは公証人の判断しだいです。公証人が代理手続きを認める場合は可能ですし、認めない場合はご夫婦で手続きを行う必要があります。

公証人が代理手続きを認めない理由

では、代理手続きを認めない公証人は、どのような理由から代理手続きを認めないのでしょうか?

離婚が身分行為だから

まず、離婚が身分行為だからというのが大きな理由です。身分行為とは、離婚をはじめ、婚姻、養子縁組などのように、法律上の身分関係を取得・変動させる行為のことをいいます。この身分行為を行うにあたっては、その行為を行う本人の意思が最も重要視されなければなりません。この点、代理では本人の意思(離婚では離婚意思があるのかどうか)すら確認できないため、代理手続きに対して消極的となってしまうのです。

偽造の可能性も否定できないから

次に、離婚公正証書を偽造される可能性も否定できないことも理由の一つです。代理手続きをするには、本人が委任状にサインして実印を押し、その印鑑登録証明書を代理人に渡す必要があります。ところが、この手続きを本人のあずかり知らないところで、他方配偶者が勝手にしてしまう可能性もないとはいえません。公証役場とすれば必要な書類さえそろっていれば、本人の代理意思を確かめることはしません。そうすると、離婚公正証書が偽造されてしまう可能性があるのです。

代理人に任せるメリット・デメリット

離婚公正証書の手続きを代理人に任せるメリットは調印日に公証役場に行かずに済み、相手と顔を合わせる必要がないことです。離婚公正証書の代理は

  • 夫婦の一方が代理を任せる場合(一方代理)
  • 夫婦の双方が代理を任せる場合(双方代理)

の2種類がありますが、いずれの場合でも顔を合わせることなく離婚公正証書を完成させることができます。

一方、デメリットは、離婚公正証書に対する関心が低くなりがちで、内容や重要性をよく理解しないまま離婚を成立させてしまう可能性があることです。①の場合は代理を任せる側、②の場合は夫婦双方にその傾向がみられ、離婚後にトラブルとなるケースも散見されます。

また、夫婦で調印すれば、調印日に離婚公正証書がそれぞれに交付送達され、送達証明書(※)を受け取ることができますが、代理の場合は、欠席した方が後日、行方不明になるなどした場合に送達証明書を受け取ることができないおそれがあります

※送達証明書
公証役場から離婚公正証書が送達されたことを証明する書面。相手の給与などの財産を差し押さえる手続きをとる際に必要となります。

代理人は誰に頼む?

以上のメリット・デメリットを踏まえた上で、それでも離婚公正証書の手続きを代理人に任せてみたいと思った場合、次に浮かぶ疑問が「誰に代理人を任せた方がいいのか?」ということではないでしょうか?

ただ、この点に関しては、専門家に依頼することをおすすめします。そもそも離婚公正証書の作成がご夫婦の将来の法的な権利義務を定める契約書を作成する重要な手続きですし、その手続きを進めていく上で専門的な知識が必要となるからです。

以下では、一般的な依頼先として多い行政書士に依頼するメリット・デメリット、弁護士に依頼するメリット・デメリットをみていきましょう。

行政書士

行政書士を代理人に指定するメリットは、離婚公正証書の手続きを代行してくれることのほか、離婚公正証書の文案も作成してくれることです。また、弁護士との比較においては、費用が安い点もメリットといえるのではないでしょうか。

一方、デメリットは、弁護士と異なり、一方当事者の代わりに相手と話し合いを行うことができないことです。相手との話し合いが難しい場合は弁護士に依頼するか、調停手続きを利用することを検討する必要があります。

以上から、行政書士を代理人に指定することができるのは、ご夫婦で話し合いができ、離婚と離婚条件についてある程度話をまとめることができる場合といえます。

弁護士

弁護士に代理人を指定するメリットは、相手との話し合いから離婚公正証書の手続きの代行まで、すべてを任せることができることです。相手と直接話し合う必要がないという点は、精神的にかなりの負担軽減になるはずです。

一方、デメリットは、相手との話し合いまで任せた場合は費用が高額となることです。また、弁護士に依頼したからといって、必ずしも満足のいく結果を得られるとは限りません。

以上から、弁護士を代理人に指定すべき場合とは、相手と直接話し合うことができない場合や話がまとまらない場合といえます。

離婚公正証書を代理で作成する場合の流れ

では、ここからは離婚公正証書の手続きを行政書士に任せる場合の流れをみていきましょう。

離婚公正証書の原案作成まで

まず、離婚公正証書を作成するまでの一般的な流れは以下のとおりです。

  • 離婚に合意する
  • 離婚条件について話し合う
  • 書面(離婚公正証書の文案)を作成する
  • 必要書類を準備する
  • 公証役場にコンタクトを取る
  • 公証人が離婚公正証書の原案を作成する
  • 公証役場で離婚公正証書に調印する

離婚公正証書の作成を代理で任せるとはいっても、①、②については、ご夫婦の一方、あるいは双方が弁護士に依頼しない限り、ご夫婦で行っていただく必要があります。

③の書面は行政書士が依頼者からお話をお聴きした上で作成していきます。また、同時に準備していただきたい必要書類もご案内しますので、依頼者の方で必要書類をご準備いただきます(ご準備が難しい場合は、⑤以降でご準備いただくことも可能です)。

ご夫婦それぞれで③の書面をご確認いただき修正等なければ、行政書士が公証役場とコンタクトをとり作成の手続きを進めていきます(⑤)。公証人が離婚公正証書の原案を作成したら、行政書士に原案を送ってきますので、行政書士から依頼者に原案をお送りいたします。

原案作成から調印まで

ご夫婦それぞれで原案をご確認いただき修正等がなければ、行政書士が委任状の作成にとりかかります。委任状は離婚公正証書用と年金分割合意書用の2種類があります。離婚公正証書用の委任状には、委任状の書式に離婚公正証書の原案を添付します。

行政書士が委任状を作成したら委任者宛に委任状を送ります。委任状は依頼者を通じて委任者に送るか、直接委任者に送るか選択いただけます。委任者において委任状を確認し、委任状に署名・押印していただきます。

その後、一方代理の場合は、代理を任せない方が、調印日に委任状やこれまでに公証役場に提出できなかった書類など(委任者の委任状やご夫婦それぞれの印鑑証明書など)をお持ちいただき、行政書士とともに離婚公正証書に調印します。他方、双方代理の場合は、委任状などを行政書士にご返送いただき、行政書士がそれぞれの委任状等をもって公証役場で調印します。

まとめ

離婚公正証書を作成するには、夫婦それぞれが調印日に公証役場まで足を運び、離婚公正証書の内容に間違いがないか確認した上で調印するのが原則です。もっとも、調印日当日に相手と顔を合わせたくない、都合により公証役場に足を運ぶことができないなどの理由から代理を希望される方がおられるのも事実です。そこで、公証役場の中には代理による調印を認めるところもあります。

行政書士に代理を依頼する場合は、調印の代理のみならず、離婚公正証書の文案の作成から離婚公正証書の作成手続きを任せることができます。離婚公正証書の文案作成、離婚公正証書の作成及び調印の代理をご希望される方は、お気軽に「お問い合わせ」よりご連絡いただければと思います。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。