離婚後に公正証書を作ることは可能?いつまでに?条件、手順は?

  • 離婚後でも公正証書を作ることはできますか?
  • 作るには何をすればいいですか?
  • 作成の流れを知りたい
  • 公正証書はいつまでに作ればいいですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

まず、結論を申し上げると、離婚後でも公正証書を作ることは可能です。

本来は、離婚前に公正証書を作っておくことが理想です。しかし、中には、

・勢いで離婚した

・何を話し合うべきかわからなかった

・公正証書を作るまでの時間的、精神的な余裕がなかった

・子どもの転園、転校の時期が迫っていた

など、さまざまな事情から、公正証書を作成することなく離婚したという方もおられるでしょう。ただ、ご安心を。これから解説することがクリアできれば、離婚後でも公正証書を作ることは可能です。この記事では、離婚後に公正証書を作るための条件や手順、作らなければならない期限などについて詳しく解説していきます。

離婚後に公正証書を作成するには?

公正証書を作成するには、作成することについて相手の同意が必要です。また、公正証書に盛り込む内容について相手と話し合い、合意する必要もあります。これは離婚後でも離婚前でも同様です。

一方、離婚前と離婚後の決定的な違いは相手と話し合える状況にあるかどうかです。離婚後は、相手が住所や連絡先を変える可能性もあり、普段から連絡を取り合っていないといつの間にかコンタクトがとれない状況になることも考えられます。

また、相手とすれば、あなたとの関係は「過去のこと」としてすでに清算している可能性もあります。そうすると、仮にコンタクトがとれたとしても、「何を今さら」という気持ちで、話し合いに応じてくれない可能性も考えられます。

このように、離婚後は離婚前とは異なる難しさがある点には注意が必要です。

離婚後に公正証書を作ることについて同意が得られない場合

万が一、離婚後に公正証書を作ることについて同意が得られない場合は公正証書を作ることはできません。ただ、公正証書の作成費用を負担する、公証役場を探す、申し込む、公証人と面談するなどの手続きは自分で行う、などの提案をしてみると、意外と同意してくれるかもしれません。

それでも同意してくれない場合は、公正証書の作成は諦め、合意書などの強制力のない書面を作ることに切り替えるか、家庭裁判所に対して調停を申し立てることも考えられます。調停が成立すれば、強制力のある調停調書という書面が作られるため、公正証書を作る必要はなくなります。

離婚後に公正証書を作成する手続きの流れ

離婚前も離婚後も、公正証書を作成する手続きの流れは同じです。話し合いや公正証書へのサインは夫婦で行う必要がありますが、それ以外の手続きはいずれか一方が行うことで足ります。手続きの流れなどは以下の記事でご確認ください。

離婚後の公正証書はいつまでに作成すればいい?

離婚後の公正証書をいつまでに作成すればよいかは、公正証書に盛り込む内容によります。以下のとおり、各項目には時効の起算点(時効期間がはじまる時点)や時効期間が設けられていますから、遅くとも時効期間が経過する前までには作成すべきといえます。

もっとも、前述のとおり、離婚から時間が経てば経つほど、相手と音信不通になったり、相手が話し合いに応じなくなる可能性がありますので、はやめに作成にとりかかることに越したことはありません。

 起算点時効期間
離婚慰謝料離婚成立時3年
財産分与(※1)離婚成立時2年
婚姻費用(※2)合意時5年
養育費(※2)請求できることを知った時5年
年金分割離婚成立時の翌日2年

※1 財産分与には時効期間ではなく除斥期間が適用されます。

※2 未払の婚姻費用、養育費を請求する場合の時効の起算点と時効期間です。

まとめ

離婚後でも公正証書を作ることは可能です。ただ、公正証書を作るには相手の同意や相手との話し合いが必要です。離婚後は離婚前に比べて、相手の同意を得ることや話し合いが難しくなる傾向にあります。

また、慰謝料などの時効にも注意が必要です。時効期間が経過している条件については公正証書に盛り込むことはできなくなります。公正証書を作ろうと思いたったらはやめに行動に移すことが大切です。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。