父親が親権をもつことは難しい?勝ち取るためにやるべき5つのこと
- 父親が親権をもつことはできますか?
- 父親が親権をもつことは難しいですか?
- 父親が親権をもつには何をやるべきですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
一般に父親が親権を得ることは難しいのが現実です。このことは、以下のような客観的なデータからも証明されています。
【表①】
年度 | 総数 | 父が全児の親権者 | 母が全児の親権者 | その他 |
2016 | 125,983 | 15,035 | 106,347 | 4,601 |
2017 | 123,418 | 14,558 | 104,440 | 4,420 |
2018 | 120,497 | 14,330 | 101,862 | 4,305 |
2019 | 118,664 | 14,156 | 100,242 | 4266 |
2020 | 111,335 | 13,126 | 94,291 | 3,918 |
【引用:2020年 厚生労働省 人口動態統計 「親権を行う子をもつ夫妻(夫―妻)別にみた年次離婚件数及び百分率」】
【表②】
総数 | 父が親権者 | 母が親権者 | 定めなし |
19,915 | 1,795(66) | 18,678(37) | 62 |
【引用:令和3年司法統計(家事事件編)「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち「子の親権 者の定め」をすべき件数―親権者別―全家庭裁判所】
( )は母又は父の監護者の数
また、親権を決めるにあたっては今の監護状況、これまでの監護実績等が重要視されますが、父親よりも母親よりの方が優っていることが多く、子供も母親との生活を選ぶ傾向にあります(0歳~5歳前後の乳幼児は「母性優先の原則」から基本的に母親が親権をもつことが多いです)。
そのため、上記のような疑問、悩みをもつ方もおられると思いますが、一方で、数は少ないとはいえ、親権をもつ父親がいることも事実です。
そこで、今回は、父親が親権をもつためにやっておくべきことや親権の決め方、万が一親権をもつことができなかった場合の対処法について解説していきたいと思います。
目次
父親が親権をもつためにやっておくべきこと
それでは、さっそく、父親が親権をもつためにやっておくべきことから解説していきます。
子育てに積極的に関わる
まず、子育てに積極的に関わることです。
たとえば、乳幼児に食事を与える、お風呂に入れる、休日に遊びに連れて行く、寝かしつけをする、保育園・幼稚園・塾・習い事への送り迎えをする、行事・イベントに参加する、お祝い事を主催するなど、できる限りのことは行っておきましょう。
冒頭でも述べたとおり、親権を決めるにあたっては、今の監護状況やこれまでの監護実績、子供(個人差はあるものの、おおむね10歳以上の子供)の意思等が重要視されます。
そのため、普段から子供に接し、密にコミュニケーションをとって、子供との精神的な絆を強めておく必要があります。
監護実績に関する証拠を残しておく
次に、これまでの監護実績を証明できる証拠を残しておくことです。
証拠としては、たとえば、写真・動画、日記、幼稚園・保育園の連絡帳などが考えられます。
父親であるあなたが親権を主張する場合、協議離婚できず、調停、場合によっては裁判まで手続きが進んでいく可能性があります。
調停では調停委員に、裁判では裁判官に監護実績があることを訴えていかなければいけませんが、あなたが今までいくら子育てに積極的に関わり、監護実績を作ってきたとしても、証拠がなければ証明できる手立てがありませんので意識して残しておく必要があります。。
離婚後の養育環境を整える
次に、離婚後の養育環境を整えることです。
離婚後は基本的に一人で子育てしていかなければいけません。仕事や病気で子供をみることができないとき、仕事中に子供が病気、怪我などで早退する必要が生じたときに、協力を得られる人(親、親族など)を探しておく必要があります。場合によっては、今の働き方を変える必要があるかもしれません。
また、離婚後に住む場所も大きなポイントです。子供が今の環境に慣れ親しんでいる場合は変えない方がいいですが、その場合は親、親族などのサポートを得ることができるのか、公的な支援、サービスはどうなっているかを確認しておきましょう。
もし、やむを得ず今の住まいを離れる場合は、これからの仕事のことや引っ越し先の養育環境についてもしっかり検討しておく必要があります。
子供と離れて暮らさない
次に、離婚前に子供と離れて暮らさないことです。
離婚前に別居する方もおられると思いますが、離婚時の親権のことを考えるのであれば、子供と一緒に別居するようにしてください。
前述のとおり、親権を決めるにあたっては今の監護状況を重要視されます。子供と離れて暮らしてしまうと、今の環境を変えるのは子供にとってよくないと判断され、相手に親権が渡ってしまう可能性が高いです。
子供の親権のことを考えるのであれば、自分の都合のみならず、子供のことも考えて別居するか否か判断する必要があります。
妻に不利な証拠を集めておく
最後に、妻に以下のような事実がある場合は、それを証明する証拠(写真、動画、日記・メモ、ボイスレコーダーなど)を集めておきましょう。
- 虐待(身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待)
- 不倫、浮気
- 家事放棄
- 浪費
一回や二回だけだと「しつけの一環」、「出来心でやった(だけで今後はしない)」などと反論されてしまう可能性があるため、長期間にわたって行ってきたことがわかるようにしておくことが大事です。
親権を決める上で大事な視点は、親権者として適任か、親権者になることが子供の利益になるかということです。妻側に上記のような事実が長期間にわたって認められる場合は、親権者として不適任、子供の利益にならないとして、父親が親権を獲得できる可能性が高くなります。
親権の決め方
親権は、まずは親同士の話し合いで決めます。ほとんどのケースで話し合いで決めることができますが、そもそも話し合いができない、話がまとまらないという場合は調停、調停が不成立となった場合は審判、裁判というふうに、段階を踏んで決めていくことになります。
親権をもつことができない場合にできること
冒頭でも確認したように、親権では父親が不利であることは事実ですから、結果的には親権をもつことができないかもしれません。そこで、ここでは、仮に親権をもつことができなかった場合にできることについて解説していきたいと思います。
親権と監護権を分ける
まず、親権を父親に、監護権を妻に(あるいは、その逆)というふうに、親権から監護権を分けることはできないか相手と話し合ってみることです。
もっとも、親権と監護権を分けることにはデメリットもあり子供に混乱を招く可能性があることから、親権と監護権を分けるケースは非常に稀です。
面会交流を実施する
次に、面会交流を実施することです。
面会交流とは、子供と離れて暮らす親が、子供と直接会うなどして交流することです。面会交流は子供の成長にとっても重要な機会と位置付けられていますから、相手は、原則として面会交流を拒否することはできません。
面会交流をめぐってトラブルとなりそうな場合は、離婚時に面会交流のルールを細かく決めておきましょう。
親権者変更の調停を申し立てる
最後に、親権者変更の調停を申し立てることです。
一度決めた親権者もあとで変更することができます。親権者を変更するには、必ず家庭裁判所に対して調停を申し立てる必要があります。
また、調停を申し立てたからといって、必ず親権者が変更されるわけではありません。相手が合意することに加えて、親権者変更することが子供のためになるとの裁判所の判断が必要です。
まとめ
相手と親権をめぐって争いとなった場合、父親であるあなたが親権を得ることは難しいのが現実です。
もっとも、まったく不可能というわけではありませんから、もし親権を希望する場合は事前にしっかりとした対策をとっておく必要があります。
また、親権をもつことが難しい場合は、面会交流や親権者変更の手段を取りうることもあわせて確認しておきましょう。
投稿者プロフィール

- 離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。
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