- 離婚協議に第三者を入れてもいいのでしょうか?
- 入れるとしたらどんな人を入れたらいいですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
離婚するにあたっては夫婦で様々なことを協議して取り決めておくことが理想です。しかしながら、離婚の協議をする段階では夫婦関係が悪化している夫婦も多く、冷静な協議ができないことも多いのが現実です。そんなときに、力を借りたいと思う相手が自分の親や親族、離婚経験者である親しい友人などではないでしょうか?
今回は、そもそも離婚協議に親などの第三者を入れていいのかについて解説した上で、夫婦だけで離婚協議を行うための工夫や第三者を入れてもいいケース、入れる場合の適任者について詳しく解説していきたいと思います。なお、今回の話は、離婚協議だけでなく、修復・再構築する場合にも当てはまる話と思いますので、修復・再構築を考えている方も参考にしていただければと思います。
この記事を書いた人
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離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚協議に第三者を入れていい?
まず、そもそも離婚協議に第三者を入れていいかですが、結論としては「入れない方がいい」、つまり、離婚協議は夫婦だけで行うことが原則です(法律には夫婦の離婚協議で離婚を認める規定があります。)
民法第七百六十三条
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
確かに、離婚しなければならないほど夫婦関係が悪化している中で、夫婦だけで離婚協議することは抵抗を感じる方は少なくないでしょうし、精神的に負担が大きいことは間違いありません。
しかし、離婚協議に第三者を入れることには次のようなデメリットがあります。
・第三者が一方に肩入れをしたばかりに、
→公平な協議ができなくなるおそれがある
→相手が協議に応じなくなるおそれがある
・第三者のアドバイスにより、余計に協議が混乱する可能性がある
・プライベートな情報が外部に流出してしまう可能性がある
あくまで離婚は夫婦の問題ですから、離婚協議もまた夫婦だけで行うのが原則です。夫婦問題の中には夫婦にしかわからない、夫婦でしか解決できない性質のものもあります。
第三者を間に入れたばかりにかえって協議が混乱したり、相手の感情を悪化させて離婚までの道のりを長引かせてしまう可能性もあります。DVなど一定の例外を除き、まずは夫婦だけで協議できないか検討してみましょう。
夫婦だけで離婚協議するための工夫
夫婦だけで離婚協議することによる精神的な負担を少しでも和らげるには、次の工夫をするとよいでしょう。
- 離婚準備を入念に行う
- 離婚の切り出し方、協議の進め方を工夫する
- 別居する
離婚準備を入念に行う
まず、相手に離婚を切り出す前に離婚準備を入念に行うことです。
離婚するにあたって相手と協議しなければいけないことは最大で13項目ほどあります。
①離婚の合意
②離婚届の提出者・提出時期
③親権
④養育費
⑤面会交流
⑥財産分与
⑦婚姻費用
⑧慰謝料
⑨年金分割
⑩通知義務
⑪禁止事項
⑫清算条項
⑬公正証書の作成
しかも、どれも多くの方にとって難しい内容のものばかりで、あなたも相手も何を、どう協議していいのかわからないことがほとんどではないでしょうか?
そのような状態で相手に離婚を切り出し、いざ離婚協議する!となっても夫婦だけで十分な協議をできるはずはなく、ならば弁護士などの第三者に依頼してみよう、という流れになるのは必然かと思います。
そのため、相手に離婚を切り出す前に、まずはあなたが離婚協議で協議すべき項目や内容について、あらかじめ情報収集して知識を蓄えておくことが非常に大切です。
もちろん、知識があっても第三者に頼らざるをえないケースも出てくるかもしれませんが、それでもまったく知識がないよりかは離婚協議がスムーズに進むはずで、そのためには入念な離婚準備が欠かせません。
離婚の切り出し方、協議の進め方を工夫する
次に、離婚の切り出し方、協議の仕方を工夫することです。
離婚準備を整え、相手に離婚を切り出す段階になったら、相手に口頭で切り出すのか、LINEなどの間接的な方法で切り出すのかを検討しましょう。
ほかにも、切り出すタイミング、切り出す場所(口頭で切り出す場合)の検討も必要です。切り出し方を間違えると、相手が協議に応じない、応じても協議にならない可能性がありますので、細心の注意を払う必要があります。
また、協議の進め方にも注意が必要です。協議では感情的になりがちなところをグッとこらえ、協議事項の協議だけに時間と労力を費やす意識で、淡々と協議を進めていくことが大切です。
相手の主張や言い分にも耳を傾け、うまく折り合いを付けながら話をまとめていきましょう。協議すべき項目が多くなればなるほど協議には時間がかかります。協議が終わるまでにはある程度の期間が必要だということを自覚しておきましょう。
別居する
次に、別居することです。
お互いに距離をとって生活することで、まずは気持ちを落ち着け、冷静に協議を進めることができるかもしれません。別居していれば、お互いに顔を合わすことなく、電話、あるいはLINE・手紙などでやり取りできる点もメリットといえます。
もっとも、別居するといっても、ただ単にどちらかが家を出ていけばいいわけではありません。別居するにあたっても離婚と同じように入念な準備が必要です。特に、家を出ていく場合は、家に戻れないこと、離婚後の生活のことを想定して準備を進めていく必要があります。
離婚協議に第三者を入れるべきケース
このように、離婚協議は夫婦だけで行うことが原則ですが、
- 相手からDV、モラハラを受けている場合
- 相手が暴力的な場合
- 相手が協議に応じてくれないことが明白な場合
- お互いが感情的になって協議にならないことが明白な場合
などは、例外的に相手に離婚を切り出す前から第三者を入れるべきです。
第三者を入れるべきなのに無理して夫婦だけで協議しようとすると話がこじれ、あとで第三者を入れたとしてもなかなか話がまとまらず、離婚までに時間がかかってしまうおそれがありますので注意しましょう。
離婚協議への同席を検討すべき第三者
離婚協議に第三者を入れるべきケースには当てはまらない。でも、どうしても第三者に間に入って欲しい。ここではそんなときに候補になりうる次の第三者についてご紹介していきます。
- 親
- 友人
- 行政書士・夫婦カウンセラー
- 弁護士
親
まず、親です。自分の親に同席してもらいたいと考える方は多くいます。親であれば離婚というプライベートなことでもあらかじめ相談しやすく、同席を頼みやすいでしょう。
もっとも、多くの親が、自分の子どもが一番かわいいと思っています。たとえ自分の子どもに非があって離婚することになったとしても、親は自分の子どもを味方するでしょう。
親を同席させると協議がこじれ、肝心な中身の協議すらできなくなるおそれがあります。そのため、双方の親を協議に同席させること、一方の親を協議に同席させること、いずれも避けた方が無難です。
※離婚にあたって親の「協力」が必要なことも多い
このように、離婚協議に親を同席させるべきではありませんが、これは離婚にあたって親の協力が必要ないということではありません。実際には、親の協力が必要となることはよくあります。たとえば、
✔ 今の家から出ていき実家に仮住まいするとき
✔ 子どもの面倒をみてもらいたいとき
✔ 離婚届の証人となってもらいたいとき
✔ 養育費の連帯保証人になってもらいたいとき
✔ 金銭的な援助をしてもらいたいとき
などです。
大切なことは、親を離婚協議などの離婚の中核的な手続きに関与させるのではなく、親と一定の距離を置きながら、上手に親を利用することではないでしょうか。そのためには、普段から親とコミュニケーションをとり、困ったときはいつでも頼ることができる関係を作っておくことが大切です。
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友人
次に、友人です。親しい間柄の友人であれば、親と同じかそれ以上に相談しやすく、同席を頼みやすいという人もおられると思います。
もっとも、親しい間柄であるからこそ一方に肩入れをしてしまい、公平な協議とならなくなってしまうおそれがあります。間に入れた第三者によっては、相手が協議に応じてくれなくなるおそれもあります。
もし、友人に間に入ってくれることを頼むのであれば、できれば夫婦共通の友人(できれば離婚経験者)、普段からお世話になっている会社の同僚、先輩、上司、結婚式の仲人などがよいかもしれません。頼むときは公平・中立な立場を貫いてくれるか、秘密を守ってくれるかの確認が必要です。
行政書士、カウンセラー、弁護士などの専門家には相談者、依頼者の秘密を守る守秘義務が課されています。一方、親や友人などには守秘義務は課されていません。相談する相手を間違えるとSNS等で情報を拡散されてしまう可能性もありますので注意が必要です。
行政書士・夫婦カウンセラー
次に、夫婦カウンセラーです。夫婦カウンセラーは夫婦問題の専門家として夫婦の間に入り、中立的な立場から夫婦が抱えている事情に沿ったアドバイスをしてくれます。弁護士よりも費用が安い点もメリットです。
もっとも、夫婦カウンセラーは弁護士のように、依頼者の味方になって相手と離婚交渉できる権限をもちません。話し合い自体は夫婦に任せられるため、二人で話し合いできない場合は夫婦カウンセラーに同席を頼むべきではありません。
また、離婚協議書や離婚公正証書の原案などの法的書面を作る権限ももたないため、こうした法的書面を作りたい場合は行政書士か夫婦カウンセラーの資格をもつ行政書士に作成を依頼する必要があります。
弁護士
最後に、弁護士です。弁護士は法律のプロフェッショナルです。相手との協議から調停、裁判の手続きなど、あらゆる場面で頼ることができます。「離婚協議に第三者を入れるべきケース」にあてはまる場合は弁護士に相談、依頼した方がよいでしょう。
もっとも、弁護士は依頼者の法的権利や希望を実現することには注力してくれますがカウンセラーではないため、法律問題以外の悩みや困りごとには親身に対応してくれない可能性もあります。また、費用が高額な点もネックです。費用面で弁護士に相談、依頼することへのハードルが高い場合は、
- 夫婦で協議できないかもう一度検討する
- 行政書士など他の専門家を活用する
- 法テラスを利用してみる
ことなどを検討してみるとよいでしょう。
まとめ
今回のまとめです。
- 離婚協議は夫婦だけで行うのが原則
- 第三者に頼る前に夫婦だけで行う工夫をしましょう
- 第三者を入れるべきときは積極的に入れましょう
- 親を間に入れることは避けましょう
- 専門家以外の人を間に入れるときは公平・中立な立場をとってくれるか、秘密を守ってくれるか確認しましょう