• 離婚後でも公正証書を作ることはできますか?
  • 作るには何をすればいいですか?
  • いつまでに作ればいいですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

公正証書は離婚成立前に作っておくことが理想です。離婚前であれば、夫婦の間に「離婚成立」という共通のゴールがあるため、相手の協力を得られやすく公正証書を作りやすいからです。一方で、離婚後はあなたとの関係が切れ、心機一転、新しい生活をスタートさせているため、相手の協力を得られにくく、公正証書を作ることが難しくなってしまう可能性があります。

ただ、そうはいっても、中には、

  • 勢いで離婚した
  • 何を話し合うべきかわからなかった
  • 公正証書を作るまでの時間的、精神的な余裕がなかった
  • 子どもの転園、転校の時期が迫っていた

など、さまざまな事情から、離婚前に公正証書を作ることなく離婚したという方もおられるでしょう。

そこで、この記事では、離婚後に公正証書を作ることができるのか、どういう手順で作ればいいのか、相手が拒否した場合はどうしたらいいのか、といったことについて詳しく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚後に公正証書を作ることは可能?

まず、結論から申し上げると、離婚後でも公正証書を作ることは可能です。

数ある離婚条件の中で、唯一離婚前に決めなければいけないのは親権だけです(お子さんがいる場合)。親権以外の養育費、面会交流、慰謝料、財産分与などについては離婚後でも話し合って話を取りまとめ、公正証書を作ることはできます。

ただし、あとで述べるように、公正証書に盛り込む項目によっては請求期限が設けられているものがありますので、公正証書を作るタイミングによっては公正証書に盛り込めないものがあります。また、離婚前に清算条項を盛り込んだ書面にサインしている場合、公正証書を作ることができない場合があります。

離婚後に公正証書を作るには?

離婚後に公正証書を作る手順は、離婚前に公正証書を作る場合とほぼ同じです。

①公正証書に盛り込む内容を考える

②話し合いをする

③原案を完成させる

➃必要書類を準備する

⑤公証役場に作成を依頼する

⑥公証人が公正証書の原案を作成する

⑦公証役場で公正証書にサインする

まずは、相手に話し合いを切り出す前に、公正証書に盛り込みたい内容を考えておきます(①)。また、同時に公正証書の原案(離婚協議書)を作っておくことで、その後の話し合いをスムーズに進めることにつながります。

話し合いでは、相手から公正証書を作ることに対する同意を得る必要があります。相手が同意する場合はあなたの希望を伝え、相手の意見とも折り合いをつけながら話をまとめ、最終的な原案を完成させます(②・③)。

話をまとめた後、公証役場に公正証書の作成を依頼します(➃~)。公正証書へのサイン(⑦)は夫婦で行うのが原則ですが、代理人に依頼することもできます。

離婚後に公正証書を作ることを拒否された場合

離婚後に公正証書を作ることについて相手に拒否された場合は公正証書を作ることはできません

ただ、簡単に諦めるのではなく、なぜ拒否するのか理由を尋ねてみましょう。「面倒くさい」ということだけが理由であれば、公正証書の作成費用を負担する、公正証書の作成手続きは自分で行う、などの提案をしてみるのも一つの方法です。

それでも同意してくれない場合は公正証書の作成は諦め、強制力のない書面の作成に切り替えるか、家庭裁判所に対して調停を申し立てることも考えられます。調停が成立すれば、強制力のある調停調書という書面が作られるため、公正証書を作る必要はなくなります。

離婚後の公正証書はいつまでに作成すればいい?

冒頭の「離婚後に公正証書を作ることは可能?」でも述べたように、公正証書に盛り込む項目の中には表のとおり、請求期限が設けられているものがありますので注意が必要です。期限を過ぎると、内容を公正証書に盛り込むことができません。

なお、離婚から時間が経てば経つほど、相手と音信不通になったり、相手が話し合いに応じなくなるリスクが生じやすくなりますので、思い立った段階ではやめに作成にとりかかった方がよいでしょう。

 起算点時効期間
離婚慰謝料離婚成立時3年
財産分与(※1)離婚成立時2年
婚姻費用(※2)合意時5年
養育費(※2)請求できることを知った時5年
年金分割離婚成立時の翌日2年

※1 財産分与には時効期間ではなく除斥期間が適用されます。
※2 未払の婚姻費用、養育費を請求する場合の時効の起算点と時効期間です。

まとめ

今回のまとめです。

  • 離婚後に公正証書を作ることは可能
  • 公正証書を作るには相手の同意が必要
  • 相手に拒否された場合は調停を申し立てることを考える
  • 離婚慰謝料など請求期限がある項目には注意が必要