- 胎児の養育費は請求できますか?
この記事ではこのような疑問にお答えします。
妊娠中の離婚を考える場合、胎児の養育費を請求できるのか、妊娠中から胎児の養育費を請求できるのか、胎児の養育費はどうやって決めたらいいのか気になる方も多いと思います。そこで、今回は、胎児の養育費について詳しく解説したいと思います。
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離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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胎児の養育費は請求できる?
胎児は、
- 不法行為に基づく損害賠償請求
- 相続
- 遺贈
の場合を除き、法律上の権利主体になることができません。
そのため、胎児自身はもちろん、母親が胎児の(法定)代理人として養育費を請求することもできません。仮に妊娠中に離婚したとしても、胎児の養育費は請求することはできません。もっとも、出生を見越して、出生前から胎児に関する養育費の取り決めを行うことは可能です。
妊娠中に離婚した場合の親権は?
妊娠中に離婚し、離婚後に出生した子どもの親権は母親がもちます。ただし、離婚後300日以内に出生した子どもは元夫の子どもと推定される(嫡出推定が及ぶ)ため、話し合いにより父親に親権をもたせる(親権者を母親から父親に変更する)こともできます。親権でもめたときは調停等で決めることになりますが、乳幼児については母性優先の原則が働くため、母親が親権をもつことが多いでしょう。
一方、離婚後300日以降に出生した子どもに対しては嫡出推定が及ばないため、父親が親権を望む場合は認知の手続きが必要です。その上で、話し合いで親権者を母親から父親に変更することは可能ですが、母親が変更することに合意しない場合は調停等で決めることになります。ただし、上記のとおり、乳幼児の親権については母親が有利です。
養育費は請求できる?
仮に、妊娠中に離婚し、離婚後に出生した子どもの親権を母親がもつとして、元夫に養育費を相手に請求できるかどうかは、子どもが出生したタイミングによります。
離婚後300日以内に生まれた場合
離婚後300日以内に子どもが生まれた場合は嫡出推定が及ぶため、子どもは「元夫の子ども」と推定され、元夫と子どもとの間に法律上の親子関係が成立し、元夫は子どもを扶養する義務を負います。したがって、元夫に対して養育費を請求することができます。
離婚後300日以後に生まれた場合
一方、離婚後300日以後に生まれた場合の子どもは「元夫の子ども」とは推定されません。したがって、元夫は子どもを扶養する義務を負いません。元夫に法的に養育費の支払義務を負わせるには認知の手続きが必要です(ただし、認知を経なくても請求自体は可能で、元夫が任意で払う分は問題ありません)。
胎児の養育費の決め方
胎児の養育費は、胎児を(0歳~14歳の)子一人としてカウントすれば大丈夫です。
たとえば、出生後の子が一人の場合は、養育費算定表の「(表1)養育費・子供1人表(子0~14歳)」の表で示された金額を基準とし、0~14歳の兄姉が1人いる場合は「(表3)養育費・子供2人表(第1子及び第2子0~14歳)」の表で示された金額を基準として金額等を決めます。
相手と養育費の金額等について合意できた場合は離婚公正証書を作る手続きをとります。ただし、公証人によっては胎児の養育費に関する条項を公正証書に盛り込んでくれない方もおられるようです。公証役場に離婚公正証書の作成を依頼する前に、作ってくれるかどうか確認した方が安心です。
中絶、死産の場合は?
まだ、胎児に関する取り決めをしていない場合は特段やることはありません。一方、取り決めをし、相手と離婚協議書や離婚公正証書を取り交わしている場合は、養育費の減額に関する話し合いと以前作った書面を修正する手続きが必要になります。
まとめ
今回のまとめです。
- 胎児の養育費は請求できない
- 出産前から胎児の養育費について話し合うことはできる
- 妊娠中に離婚した場合、離婚後に生まれた子どもの親権は母親がもつ
- 相手に養育費を請求できるかどうかは、離婚後子どもが生まれたタイミングによる
- 胎児の養育費も子ども(0歳児)一人として考える