面会交流のルールの内容とは?作り方、決め方を詳しく解説します
- 面会交流ではどんなルールを決めたらいいですか?
- ルールはどうやって決めたらいいですか?
- 一度作ったルールは変更できますか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
お子さんがいる場合、離婚のときに夫婦で取り決めなければいけないことの一つに面会交流があります。
ただ、面会交流を行うにしても、どんなルールを決めたらいいのか、ルールはどうやって、どのような手順で決めたらいいのか迷われる
方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、あらかじめ決めておいた方がいい面会交流のルールの内容やルールの決め方、手順について詳しく解説していきたいと思います。
目次
決めておいた方がいい面会交流のルール①
それではさっそく、あらかじめ決めておいた方がいい面会交流のルールをご紹介していきます。
なお、面会交流の方法には、子供と直接会って交流する「(直接)面会」と、電話・メールなどの間接的な方法で交流する「間接交流」があります。ここでは面会を実施する場合のルールを解説します。
面会の頻度
まず、面会をどのくらいの頻度で行うかです。
「月に○回程度」、「年に○回程度」と決めることが多いです。「月に○回」と固定した回数を決めてしまうと柔軟性がなくなってしまうため、「程度」とある程度幅をもたせることがコツです。
また、面会の頻度について相手と折り合わない場合は、子供の成長などに応じて段階的に頻度を増やしていく方法をとることも考えられます。
面会の日時
次に、いつ面会をするかです。
あらかじめ日にちを決めておくことは難しいため、「(毎月)第2日曜日の午後2時~午後4時まで」と決めることが多いです。
もっとも、子供が面会したくないと言ったり、病気や怪我などでやむを得ず決めた日時に面会できないことも考えられます。
そうした事態に備えて代わりの日時を設けるのかも考えておく必要があります。
緊急時等の連絡方法
次に、緊急時等の連絡方法です。
面会交流を実施する場合は、離婚後も相手と連絡をとらなければいけません。面会のつど面会の方法を決めることにした場合は、面会のつど連絡をとる必要があります。
また、子供の体調不良などで急に面会ができなくなることも考えられます。そうした場合に、相手に連絡せずにいると面会を拒否されたと受け取られてしまう可能性もあります。相手としても緊急時の場合の連絡方法を取り決めておいた方が安心です。
面会の場所
次に、面会の場所です。
面会の場所は、天候や子供の年齢などによっても左右されますので、なるべくそのときどきで柔軟に対応できる方法にしていた方がよいでしょう。
特定の場所に決める場合は、ショッピングモールなどの天候に左右されない屋内を基本とし、屋外とする場合は雨天時の場所も決めておくと安心です。
引渡し場所・方法
次に、子供の引き渡し場所と引き渡し方法です。
引き渡し場所は面会の場所をどうするか決めてから決めることになるでしょう。具体的に決めることが大切です。
引き渡し方法は、監護親が非監護親に直接引き渡す方法もありますが、直接顔を合わせたくない場合は親などの第三者を介して引き渡す方法なども考えられます。
付添人の有無
次に、面会時の付添人をつけるかどうかです。
付添人をつける場合は、誰を、何名、いつの面会までつけるのか決めておく必要があります。もちろん、監護親(子供と一緒に暮らす親)自身が付き添ってもよいですが、非監護親と直接顔を合わせたくない場合や非監護親が抵抗を示す場合は、親などの親族を付添人とすることが多いです。適当な人がいない場合は、第三者機関の職員を付添人とすることも考えられます。
非監護親は付添人をつけずに面会したいと考えることが多いですので、「〇が〇歳となった後最初の3月まで」と付添人をつける期限を設けることも検討しておきましょう。
親族との面会
次に、非監護親の親などの親族との面会を認めるかどうかです。
子供との面会は非監護親のみならず、非監護親の親族も望むことがあります。非監護親の親族には面会交流を求める権利はないとの考えが主流ですが、もし、面会を認める場合は、誰を面会させるのか決めておく必要があります。
毎回の面会が負担と感じるようであれば、たとえば、子供の誕生日やクリスマスなど、特別な日のみ認めるという工夫をすることもできます。
旅行、宿泊
次に、旅行や宿泊を認めるか否かです。
面会といえば、通常、その日限りというイメージされることがほとんどですが、非監護親と明確な意思確認していないと、勝手に旅行や宿泊をされてしまう可能性もあります。
そこで、まずは、旅行や宿泊を認めるのか、認めないのか、相手はどのように考えているのか、お互いの意見をすり合わせておくことが大切です。もし、旅行や宿泊を認める場合は、日時、宿泊数、場所、方法など詳細なことを決めるのか、その都度話し合うのか決める必要があります。
禁止事項
最後に、面会中や面会交流を通してやってほしくないことです。
例をあげるとすれば、
・飲酒、喫煙
・飲食物の内容
・物(プレゼントなど)の授受
・子供の面前での監護親の中傷、非難
・写真、動画撮影、録音
・写真、動画のSNSなどへのアップロード
・面会中の子供と第三者(非監護親の親など)との連絡
・連れ去り、連れ去り企図
・住所、学校の詮索
などがあります。
これら以外にも、非監護親にやってほしくないことがあれば明確に伝え、書面に残しておくことが大切です。
決めておいた方がいい面会交流のルール②
続いて、間接交流を実施する場合のルールについて解説します。間接交流は、非監護親は子供との直接面会を希望しているものの、子供が非監護親との直接面会に抵抗を示しているような場合に有用です。直接面会と併用することもできます。
プレゼント、手紙
子供にとって負担の少ない方法としては、非監護親が監護親にプレゼントや手紙を送る方法です。もっとも、無制限にこれを認めると、監護親や子供の負担にもなりかねません。認めるにしても、回数や時期、内容などを細かく取り決めておくと安心です。
写真、動画
非監護親からのプレンゼントや手紙に対して、監護親から非監護親に子供の写真や動画を送るという方法も考えられます。もっとも、この方法でも、どんな内容の写真や動画を、どのタイミングでどれだけ送るのかなどをきちんと決めておくと安心です。
SNS、LINE、ZOOM、Skypeなど
直接面会に近い方法としては、SNSなどを使ったメール交換、LINE電話などを使った非対面の電話やZOOM、Skypeなどを使った対面での電話などがあります。
もっとも、これらの方法は、数ある間接交流の中でもっとも負担の大きい方法ですから、本当に子供のためになるのか、他の方法で代用できないかなど、しっかり検討する必要があります。仮に実施する場合は、頻度、曜日、時間帯などのルールを細かく決めましょう。
行事への参加
以上のほか、子供の学校行事(入園・入学式、卒園・卒業式、保育参観、授業参観、運動会、文化祭・発表会など)や習い事のイベント(大会、発表会など)に非監護親をどこまで参加させるのかも決めておく必要があります。
参加を認める場合は、どの行事・イベントに、どんな形での参加を認めるのかを決めておく必要があります。また、親同士で合意したとしても、保育園・幼稚園、学校側の都合などで非監護親が参加できないことも考えられますから、行事・イベントの日程等がわかったら、速やかに監護親から非監護親へ通知するようしておくことも大切です。
その他、面会を認めている場合は、行事・イベントへの参加を1回の面会としてカウントするのか、カウントせずに別に面会を認めるのかも決めておく必要があります。
決めておいた方がいい面会交流のルール③
あらかじめ決めておいた方がいい面会交流のルールの最後は、第三者機関の利用の有無です。
面会交流の第三者機関とは、親同士で面会交流を実施することが難しい場合に、面会交流ができるようサポートしてくれる機関です。公的機関のほか、民間の機関もあります。
第三者機関が提供するサービスには様々なサービスがあります。第三者機関を利用する場合は、どの機関を利用するかや面会の細かいルールはもちろん、どんなサービスを利用するのか、費用はどのように負担するのか、などをきちんと決めておく必要があります。
何をどこまで決めるかは夫婦しだい
ここまで面会交流のルールについてご紹介してきましたが、もちろんすべてのルールを離婚のときに取り決めておく必要はありません。あまりに細かく決めすぎると、あとで状況の変化が生じたときに、柔軟に対応しづらくなるという弊害もあります。
離婚後も夫婦で話し合える関係であれば、離婚前に面会の頻度だけを決めておき、詳細は面会のつど話し合って決めるという方法をとることが多いです。
一方、離婚前にすべて決めておきたい、離婚後に細かいことを話し合いたくない、という場合は面会の頻度以外のことも取り決めておく必要があります。
いずれの方法をとるかは夫婦の選択しだいとなります。
面会交流のルールの決め方(手順)
面会交流のルールは以下の手順で取り決めていきます。
①原案を考えておく
まず、相手に話し合いを切り出す前に、ご自分で面会交流のルールの原案を考えておきます。面会交流のことを考えるのであれば、面会交流以外の親権や養育費などについてもあらかじめ考えておく必要があります。
②夫婦で話し合う
離婚の準備が整ったら、相手に話し合いを切り出します。この段階であなたが考えた面会交流などの原案は、離婚協議書(原案)などの書面に盛り込んでいるはずです。
相手との話し合いは書面をたたき台にして行うとスムーズにいくでしょう。話がまとまったら離婚公正証書、あるいは離婚協議書を作成します。
②家庭裁判所に調停を申立てる
夫婦で話し合いができない、話し合っても話がまとまらない、という場合は、家庭裁判所に対して調停を申立てます。
離婚前、離婚を前提としない場合は「面会交流調停」、離婚を前提とする場合は「夫婦関係調整調停(離婚)(=離婚調停)」を申立てます。また、離婚後も調停を申立てることができます。その場合は「面会交流調停」を申し立てます。
調停では調停委員が当事者の間に入って話をまとめていきます。調停で話がまとまれば調停が成立し、調停調書が作成されます。一方、話がまとまらず「面会交流調停」が不成立となった場合は自動的に審判手続きに移行し、裁判官が面会交流のルールを決めます。
「夫婦関係調整調停(離婚)(=離婚調停)」が不成立となった場合は、裁判所の判断で「調停に代わる審判(審判手続きではない)」に移行することがあります。
調停、審判が成立すると、相手が面会交流のルールを守らなかった場合は、履行勧告や間接強制が可能となります。
参照:面会交流調停 | 夫婦関係調整調停(離婚)
面会交流のルールは修正することはできる?
一度相手と合意できた面会交流のルールはいつでも修正することができます。話し合いができれば話し合いを行い、話し合いが難しい場合は調停を申し立てます。
話し合いで話がまとまったら合意書面(公正証書でなくてもよい)を作ります。調停が成立した場合は調停調書が作成されます。そして、新しい書面で前回作った書面の内容を修正します。
まとめ
面会交流のルールは数多くあります。ただ、そのすべてを離婚時に取り決める必要はありません。面会のつど、夫婦で話し合える関係であれば、はじめざっくりとした内容を決めておき、面会のつど話し合うという形にしておいた方が柔軟な面会を行うことができます。
面会交流のルールははじめあなたで案を考え書面に取りまとめておき、離婚の準備を整え相手に話し合いを切り出したときに、書面をたたき台にして話し合います。話し合い自体が難しい、話し合いをしても話がまとまらない場合は調停を申し立てます。
投稿者プロフィール

- 離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。
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