面会交流の第三者機関とは? | 種類、支援内容、利用手順、注意点

  • 面会交流の第三者機関って何ですか?
  • どこに、どんな機関がありますか?
  • どんな支援を受けることができますか?
  • 利用するにはどんな手順を踏めばいいですか?
  • 注意点はありますか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
もし、面会交流することに負担を感じている場合に検討していただきたいことが、面会交流の第三者機関を利用することです。
第三者機関を利用すれば、今まで感じていた面会交流の負担を大きく軽減させることだけでなく、子供の成長にもつながる可能性があるからです。
今回は、この面会交流の第三者機関について簡単に解説した上で、利用できる支援の内容、利用するまでの手順、利用上の注意点について解説していきたいと思います。

面会交流の第三者機関とは

面会交流の第三者機関とは、子供と一緒に暮らす親(同居親)と子供と離れて暮らす親(別居親)同士で面会交流を実施することが難しい場合に、面会交流をスムーズに実施できるよう、当事者の間に入って面会交流を支援してくれる機関です。

第三者機関の種類

面会交流の第三者機関には自治体が運営主体となっている機関民間の機関が運営主体となっている機関があります。
自治体による第三者支援事業は、厚生労働省の母子家庭等就業支援・自立支援事業の一環として行われているもので、利用条件を満たせば無料で利用できるのが特徴です。
2019年(令和元年)現在、千葉県、東京都、富山県、静岡市、浜松市、明石市、高松市、北九州市、大分県、熊本市の10つの自治体が支援事業を実施しています。
一方、民間の第三者機関は、有料ではあるものの自治体のような厳格な利用条件がないのが特徴です。どこに、どんな機関があるかお知りになりたい方は、法務省が公表している「面会交流支援団体等の一覧」をご覧ください。

第三者機関の支援内容

第三者機関の支援内容は大きく

  • 付き添い型
  • 受け渡し型
  • 連絡(日程)調整型

の3種類があります。
なお、利用する第三者機関によって、上記以外の支援内容を実施している機関、上記のいずれかの支援内容を実施していない機関など様々です。
第三者機関を利用するにあたっては、どんな支援内容を実施しているのか、よく内容を確認しておくことが大切です。

付き添い型

付き添い型は、第三者機関の支援員が別居親と子供との面会交流の場に付き添うものです。付き添い型には次の受け渡し型、連絡(日程)調整型による支援も含まれていることもあります。
付き添い型は、たとえば、

  • 別居親が面会時に子供に暴力を振るったり、連れ去ったりしないか心配
  • 別居親がきちんとルールを守って面会交流してくれるか心配

など、同居親が別居親に不信感を抱いている場合に利用するメリットがあります。一方、3種類の支援型の中で費用が最も高額となります。

受け渡し型

受け渡し型は、面会交流の日時・場所の調整とともに、支援員が受け渡し場所において、子供の受け渡しをするものです。付き添いまでは行いません。
受け渡し型は、たとえば、

  • 受け渡し時に別居親と直接顔を合わせたくない
  • DV、モラハラ、浮気・不倫されていた
  • 子供が単独で別居親と一定時間で過ごすことができる年齢に達している

などという場合に利用するメリットがあります。一方、費用では付き添い型の次に高額となります。

連絡調整型

連絡調整型は、親同士が相互に連絡を取り合うことが困難な場合に、代わりに支援員が双方と連絡を取り合って面会交流の日時、場所等を調整するものです。付き添い、子の受け渡しは行いません。
連絡調整型は、相手と直接の連絡は取りたくないものの、

  • 子どもが単独で別居親との待ち合わせ場所まで行くことができ、かつ、別居親と一定時間過ごすことができる

という場合は利用するメリットがあります。費用は3つの型の中では一番低額となります。

第三者機関を利用するまでの手順

面会交流の第三者機関を利用するまでのおおまかな流れは次のとおりです(※ご利用機関や状況により異なります)。

 第三者機関を探す

② 話し合う、書面を作成する

③ 支援申し込み&事前面談

④ 契約(支援決定)

面会交流実施 

① 第三者機関を探す

まずは、お住いの自治体が事業を実施していないか、実施していない場合は利用できそうな民間の機関はないか探してみましょう。
機関によって方針、特徴が異なり、独自のルールを定めていますので、事前にホームページを見たり、直接問い合わせするなどして情報収集し確認しておきましょう。
お住いの近くに第三者機関がなく、遠方の第三者機関を利用せざるをえない場合もあります。子供への負担、費用のことも考えながら、第三者機関を利用するか否か、利用するとしてどの第三者機関を利用するか、面会交流の方法・頻度はどうするか検討する必要があります。

② 話し合う、書面を作成する

次に、話し合いの機会を設け、第三者機関を利用することについて相手と合意しておく必要があります。話し合いができない、あるいは合意できない場合は調停を申立て、調停で合意を目指すこともできます。
合意ができたら、

・ 面会交流の頻度 
・ 面会交流の日時 
※ ただし、第三者機関に委ねることもあります。
・ 利用する機関
・ 利用する支援内容
・ 費用負担 

について話し合って取り決めます。
もっとも、第三者機関の都合もありまですので、何をどこまで取り決める必要があるのか、利用する第三者機関に確認しておいた方がよいでしょう。
話し合いで話がまとまった場合は書面(別居の場合:面会交流契約書、離婚の場合:離婚協議書、あるいは離婚公正証書)を作成します。一方、調停で話がまとまった場合は調停調書という書面が作成されますから、その謄本を裁判所から取り寄せる必要があります。(調停が成立せず審判に移行し、審判が確定した場合は「審判書謄本」が自宅に送られてきます)。

③ 支援申込み&事前面談 

次に、②と並行して、あるいは②の後に第三者機関に連絡を入れ、支援を申し込みます。

ほとんどの第三者機関で夫婦それぞれが、援助開始前に、事前面談を受ける必要があります。事前面談には費用(3,000円~1万1000円程度)がかかる場合がありますが、夫婦各自で負担します。
合意内容をまとめた書面が手元にある場合は事前面談の際にもっていきましょう。事前面談の後に書面を作成した場合は、速やかに第三者機関へ送付しましょう。

④ 契約(支援決定)

第三者機関が、提出された書類や夫婦それぞれから聴き取った内容から、利用条件をクリアしており、支援することが相当と判断した場合は、父・母・第三者機関の3者間で契約を締結します。利用期間は第三者機関にもよりますが1年とすることが多いです(当事者の合意があれば更新も可能)。
契約締結後は合意内容や第三者機関の指示にしたがって面会交流を実施します。

第三者機関を利用する場合の注意点

最後に第三者機関を利用する際の注意点について解説します。

条件やルールに従う必要がある

まず、第三者機関を利用するには条件やルールに従う必要があることです。
自治体の支援を受けるには条件をクリアする必要があります。民間の機関の支援を受けるには、機関独自のルールに従う必要があります。
夫婦で第三者機関を利用することに合意できても、条件やルールに従えない場合は支援を受けることはできません。

利用するには費用がかかる

次に、民間の第三者機関を利用するには費用がかかることです。
次のとおり、支援の内容や利用する機関によって費用が異なりますので、事前に確認しておきましょう。また、同居親、別居親のどちらが負担するのかも明確にしておく必要があります。

  • き添い型:15,000円前後~25,000円前後
  • 受け渡し型:10,000円前後~15,000円前後
  • 連絡調整型:1万円未満(3000円程度

利用期間に制限がある

最後に、利用する第三者機関によっては利用期間に制限を設けていることです。
多くの第三者機関が、最終的には当事者同士で面会交流を実施できることを目標としていますから、いつまでも第三者機関を利用できるわけではありません。
利用期間は何年か、月何回利用できるか、利用期間に制限が設けられている場合、更新は可能かなど、利用する前にしっかりチェックしておきましょう。

まとめ

面会交流の第三者機関とは、親同士で面会交流を実施することが難しい場合に、間に入って面会交流をスムーズに実施できるよう支援してくれる機関です。
支援の内容は「付き添い型」、「受け渡し型」、「連絡調整型」などがあります。自治体の支援は条件を満たせば無料で利用できますが、民間の支援は有料です。利用期間の制限はあるか、利用できる支援内容は何か、どのような手順、ルールが決められるかなど、しっかり下調べし、面会交流のルールや費用負担などしっかり取り決めてから利用する必要があります。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。