再婚したら面会交流を禁止・制限できる?子供が養子縁組した場合は?

  • 再婚したら面会交流を禁止できますか?
  • 子供と再婚相手が養子縁組した場合はどうですか?
  • 再婚相手が面会交流させたくないと言ったらどう対応すればいいですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

離婚後、再婚すると、「再婚相手との新生活を面会交流によって乱されたくない」、「子供を精神的に混乱させたくない」との思いから、面会交流を禁止してしまうおうと考える方も少なくありません。

そこで、今回は、再婚したら面会交流を禁止、制限できるのか、子供が養子縁組した場合はどうか、再婚相手が面会交流に反対した場合はどう対応すればいいのか、などについて解説していきたいと思います。

再婚したら面会交流を禁止・制限できる?

まず、監護親であるあなたの再婚のみをもって、面会交流を禁止・制限することはできません。これは、あなたが再婚しても、子供と非監護親との親子関係に何ら影響を与えないからです。非監護親が再婚した場合も同様です。

面会交流を一方的に禁止した場合のリスク

再婚したのみをもって一方的に面会交流を禁止すると

  • 養育費が支払われなくなる
  • 調停を申し立てられる
  • 履行勧告を受ける
  • 再調停を申し立てられる
  • 間接強制を受ける

といった問題に発展してしまう可能性があります。このような問題に対応するには手間・暇がかかりますので、対応を避けたいならば、面会交流を実施した方が無難といえます。

再婚後に面会交流を禁止・制限できるケース

このように監護親、非監護親の再婚のみをもって面会交流を禁止・制限することはできませんが、再婚後の面会交流が子供のためにならないと認められる場合には面会交流を禁止・制限できるとされています。

再婚後の面会交流が子供のためになるか、ならないかは、子供の年齢、発達の程度、非監護親の認識の程度、子供と非監護親とのこれまでの交流状況、子供と再婚相手との関係など諸般の事情を考慮し、ケースバイケースで判断されます。

なお、過去には、「再婚後の面会交流を認めることにより、監護親と再婚相手の葛藤に子を巻き込み、子の家庭の安定を害し、ひいては子の健全な育成を阻害するおそれがある」として面会交流を認めなかった裁判例(東京高裁昭和40年12月8日、大阪家裁昭和43年5月28日など)もあります。

養子縁組したら面会交流を禁止・制限できる?

では、あなたが再婚し、子供と再婚相手が養子縁組をした場合はどうでしょうか?

確かに、子供と再婚相手とが養子縁組をすると、子供と再婚相手との間に親子関係が発生しますから、面会交流を禁止・制限してもいいようにも思えます。しかし、養子縁組したからといって、子供と非監護親との親子関係が消滅するわけではありません。

したがって、子供と再婚相手とが養子縁組したことをのみをもって、面会交流を禁止・制限することはできません

養子縁組で注意すること

子供と再婚相手とが養子縁組する場合に注意したいのが養育費です。

子供と再婚相手とが養子縁組すると、子供に対して第一次的な扶養義務を負うのは非監護親ではなく再婚相手という考えがあります。そのため、非監護親が養子縁組の事実を知った場合は、非監護親から養育費の免除、あるいは減額を申し入れられる可能性があります。

もっとも、非監護親がこれまで通りの養育費を払うことは自由です。非監護親にこれまで通りの養育費を払う意思があるのに面会交流を禁止・制限してしまうと、養育費の免除・減額の問題にまで発展してしまう可能性がありますので注意が必要です。

再婚相手が面会交流させたくないと言ったら?

あなたは面会交流に前向きでも、再婚相手から反対されることが考えられます。

あなたが、面会交流を通して、新しい生活や子供と再婚相手との関係、子供の精神状態をかき乱されたくない、と考えていることと同じことを再婚相手も考えています。

しかし、再婚相手が面会交流に反対したからといって、その意思に従う必要はありませんし、従うべきではありません

面会交流はあくまで子供と非監護親のためにあるものです。子供のことを思うならば反対よりもむしろ、子供が心地よく面会交流をできるようサポートするのが再婚相手の役割でしょう。

もし、あなたが再婚前であれば、面会交流を実施していることをはっきりと伝え、理解を得ておくことが大切です。

面会交流のルールの見直しを

再婚する前、した後でもかまいませんので、できればはやい段階で面会交流のルールを見直しましょう

再婚したら、これまでの生活環境や子供の心境にも変化が生まれますから、それに伴って面会交流のルールも見直す必要があります。

詳細な取り決めをしていなかった場合は、詳細に取り決める必要があるかどうかから検討する必要があります。

詳細に取り決めている場合は、子供の視点に立って、どこをどう修正したら面会交流を実施できるかを検討する必要があります。

まとめ

再婚したことのみをもって面会交流を禁止、制限することはできません。子供と再婚相手が養子縁組した場合も同様です。もっとも、諸般の事情から再婚後の面会交流が子供のためにならない場合は禁止、制限できることがあります。

再婚する前、した後は、面会交流のルール作り、ルールの見直しが必要です。まずは話し合い、話し合いができない、話がまとまらない場合は調停で話をまとめていきましょう。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。