離婚するなら自動車保険の見直しも | 7つのチェックポイントを解説

離婚後も今の車に乗り続けたいけど

  • 自動車保険は見直す必要がありますか?
  • いつ手続きした方がいいですか?
  • どこを見直せばいいですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

財産分与で離婚後も今の車に乗り続けたい場合、検討しなければいけないことが自動車保険です。そのままにしておくと、万が一のとき、保険が適用されず、生じた損害すべてを自己負担しなければならないという事態にもなってしまいかねません。

そこで、今回は、離婚後も今の車に乗り続ける場合に、自動車保険を見直すべきタイミングや契約内容について詳しく解説していきたいと思います。

離婚後も車に乗り続けるなら自動車保険の手続きを

離婚後も今の車に乗り続ける場合、自動車保険の手続きが必要かどうかは保険証券などで確認する必要があります。もし、離婚後に車に乗り続ける人と自動車保険の記名被保険者(意味はあとで解説します)、契約者などが一致しない場合は手続きが必要です。

自動車保険の手続きをするのは離婚前

では、自動車保険の手続きが必要な場合、いつ手続きを行えばいいのでしょうか?

それは、離婚前です。

これは、離婚後に手続きを行うと、離婚前の等級(※)が引き継がれず、保険料が割高になってしまうためです。

記名被保険者の等級を引き継ぐには、

・記名被保険者の配偶者

・記名被保険者の同居親族

・記名被保険※者の配偶者の同居親族

である必要がありますが、離婚後はいずれにも該当しないため、自動車保険の手続きは離婚前に行って記名被保険者の等級を引き継いでおく必要があります。

※等級とは

一部の自動車共済を除き、1等級から20等級まであり、等級が高くなればなるほど保険料が安くなります。初めて自動車保険を契約する場合は6等級からはじまり、自動車保険を使わなかった場合は、契約日(更新日)から1年後に1等級繰り上がります。反対に、事故などで自動車保険を使うと等級が下がり、保険料が高くなります。

車の名義変更も済ませておく

離婚後も今の車に乗り続ける場合、自動車保険の見直しのほかに必要な手続きが車の名義(所有者、使用者)の変更です。

名義変更しなければ、罰則(50万円以下の罰金)を科される可能性がありますし、何より名義人でなければ、将来、車を売るなどの処分ができません。また、あとで解説しますが、車の名義に合わせて自動車保険の「所有者」も変更させる必要があります。

ローンを完済している場合は所有者の変更を、ローンを返済中の場合は使用者の変更手続きをとる必要があります。

自動車保険で手続きする箇所は7つ

自動車保険で優先的に手続きしなければいけない箇所は次のとおりです。

記名被保険者

まず、記名被保険者です。

記名被保険者とは自動車保険の対象となる人のことです。契約時に設定しますが、通常は、主に車を運転する人を設定しますので、普段車を運転する人が記名被保険者だと考えておけば十分です。保険証券でも確認できます。

契約者

次に、契約者です。

契約者は保険料を払う義務を負う一方で、保険金を請求したり、契約を変更・解約する権利をもっています。記名被保険者と契約者は異なる点に注意が必要です。

記名被保険者と契約者を別々に設定することもできますが、保険金を請求する際、契約者の同意が必要となりますので、一致させた方がよいでしょう。

所有者

次に、所有者です。

所有者は文字通り、車の所有権をもっている人、すなわち、持ち主です。所有者は車検証を見ればわかります。ローンを返済中の場合はローン会社が所有者ですが、その場合はローンの借り主を所有者とします。

所有者と契約者は同一でなければ保険契約できないことがほとんどですので、車の名義の変更も速やかに行いましょう。

運転者の範囲

次に、車を運転する人の範囲です。

たとえば、夫、妻、子供(未成年者)の3人家族の場合、離婚前の運転者は夫(記名被保険者)と妻(記名被保険者の配偶者)に設定されている方も多いと思います。一方、離婚後、妻だけが車に乗り続けるというのであれば、妻のみを運転者に設定すればよいはずです。

運転者の範囲を狭くすれば保険料を安く抑えることができますから、一度検討してしましょう。

年齢条件

次に、車を運転する人の年齢条件です。

自動車保険の保険料は、車を運転する人の年齢を制限することでも安く抑えることができます。

たとえば、離婚前は、子供が運転するときのことも考えて、すべての年齢を補償対象としていたため保険料が割高になっていたところ、離婚後は自分(夫)しか運転しないため自分の年齢に合わせた内容とすると保険料が安くなる可能性があります。

車の使用目的

次に、車の使用目的です。

離婚前は、主に夫の通勤で使っていたという場合でも、離婚後は、通勤で使うことはなくなったという場合、あるいはその反対の場合もあるでしょう。

使用目的が変わった場合は保険会社に告知する義務があり、これを怠るといざというとき保険金が支払われないことがあります。また、使用目的によっては保険料が安くなる場合もありますので、保険会社に正確な情報を告知するようにしましょう。

走行距離

最後に、走行距離です。

自動車保険によっては、実際の走行距離、あるいは予定走行距離によって保険料が変わる保険があります。

このうち、予定走行距離によって保険料が変わる自動車保険の場合は、離婚後の生活スタイルによって保険料が変わる可能性がありますので、一度見直しを検討した方がよいでしょう。

まとめ

離婚後も今の車を乗り続ける場合は自動車保険の契約内容の見直しが必要かどうかも確認しておきましょう。見直しが必要な場合は、記名被保険者や契約者などの情報を離婚前に済ませておくことが必要です。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。