• 離婚届は郵送できますか?
  • 離婚届を郵送するときに気をつけることはありますか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

「仕事、家事・育児で忙しくて役所に離婚届をもって行く時間がない」という場合に、離婚届を郵送できないか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は、離婚届を郵送で提出できるのか、郵送するメリット、デメリットは何か、郵送する際はどんな点に気をつければよいのか、詳しく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚届は郵送できる?

まず、結論から申し上げると、離婚届は郵送でます

離婚届の書式は役所で受け取るほか、インターネットからダウンロードして手に入れることもできますから、離婚届の作成から提出まで、一度も役所に足を運ばずに離婚を成立させることも可能です。

不受理申出を出している場合は郵送できない

ただし、離婚届の提出に先立ち、役所に離婚届不受理申出をしている場合は離婚届を郵送することはできません(代理による提出もできません)。離婚届不受理申出をしている場合は、申出をした本人が役所側の窓口において離婚届を提出しなければ、離婚届を受理してもらえないためです。

離婚届を郵送するメリット

離婚届を郵送するメリットは次のとおりです。

役所に行く手間、時間を省ける

まずは、役所に行く時間と手間を省けることです。

仕事や家事・育児で忙しい、近くに役所がない、という方にとっては大きなメリットといえます。なお、離婚届は代理人(使者)による提出も可能です。役所によっては、平日の開庁時間外(夜間)、土日祝日でも離婚届の提出を受け付けています。郵送によるデメリットをお感じの方は、これらの方法で離婚届を提出してみてもよいでしょう。

誰とも会わず、見られずに離婚届を提出できる

次に、誰とも会わず、誰にも見られずに離婚届を提出できることです。

離婚届を提出するため役所に行った際は、離婚届を提出する場面を知り合いなどに見られてしまう可能性もないとはいえません。はたからみて「離婚届を提出している」ということはわからないかもしれませんが、それでも「できれば提出する場面を見られたくはない」というのが本心ではないでしょうか。離婚届を郵送すれば、誰とも会わず、誰にも見られず提出できるため、心理的に楽です。

戸籍謄本の取り寄せが不要になる

最後に、戸籍謄本の取り寄せが不要になることです。

本籍地以外の役所に離婚届を提出する場合は、戸籍謄本(全部事項証明書)も一緒に提出する必要があります。自宅から本籍地の役所が遠い場合は、本籍地以外の役所に離婚届を提出せざるをえない場合もあるでしょう。この点、離婚届を郵送する場合は、自宅から役所までの距離に関係なく、本籍地の役所に提出できますから本籍地から戸籍謄本を取り寄せる手間を省くことができます。

離婚届を郵送するデメリット

一方、離婚届を郵送するデメリットは次のとおりです。

修正できない

まず、離婚届に不備があっても直ちに修正できないことです。

離婚届の記入内容や必要書類に不備があると離婚届を受理してもらえず、協議離婚は成立しません。役所に離婚届をもって行った場合は、軽微な不備であればその場で修正して受理してもらえます。しかし、郵送の場合はそれができません。離婚届を郵送する場合は、離婚届の記入内容や必要書類に不備がないかを入念にチェックして上で郵送する必要があります。 

離婚後の手続きをとれない

次に、離婚後の手続きをとれないことです。

役所に離婚届を提出した後、人によっては転出届(異なる市区町村に引っ越す場合)、印鑑登録、子ども関連の手続きなどが役所で必要となります。離婚届を役所にもって行けば、離婚届を提出したついでに手続きをとれますが、郵送の場合はあらためて役所に足を運ぶ必要があります。

離婚届を郵送する方法

離婚届を郵送する際の郵送先と必要書類は次のとおりです。

郵送先

郵送先は次のいずれかです。

①夫婦の本籍地のある役所
②居住地(※1)、所在地(※2)のある役所
※1 住民票上の住所地
※2 一時的に滞在している場所

繰り返しになりあすが、①に提出すれば戸籍謄本の取り寄せが不要です。

必要書類

離婚届を郵送する際に、同封する書類は離婚の方法によって異なります。

協議離婚・・・離婚届
調停離婚・・・離婚届、調停調書の謄本
審判離婚・・・離婚届、審判書の謄本、確定証明書
和解離婚・・・離婚届、和解調書の謄本
認諾離婚・・・離婚届、認諾調書の謄本
判決離婚・・・離婚届、判決書の謄本、確定証明書

これら以外にも、離婚届を本籍地以外に郵送するときは戸籍謄本が必要です。離婚届以外の書類の取り寄せ方などは以下の記事で詳しく解説しています。

離婚届を郵送する際の注意点

最後に、離婚届を郵送する際の注意点について解説します。

事前に役所に問い合わせを

まず、そもそも郵送で受け付けてくれるかどうか、受け付けてくれる場合は離婚届のほかにどのようなものが必要か、あらかじめ役所に問い合わせて確認しておくと安心です。

郵送先は本籍地のある役所へ

次に、離婚届は本籍地のある役所に郵送しましょう。離婚届は本籍地のある役所で処理されますので、本籍地以外の役所に郵送した場合、処理が終わるまでに1週間~2週間程度かかってしまう可能性があります。

離婚届には連絡先を書いておく

次に、離婚届の「連絡先」の欄には、日中連絡がつく連絡先を必ず書いておきましょう。万が一、離婚届に不備があったときに役所があなたと連絡をとる際に必要となります。連絡先が書かれていないと、離婚届が不受理となってしまう可能性もありますので注意が必要です。

封印前に入念なチェックを

次に、離婚届を封筒に入れ封印する前に、離婚届を入念にチェックしておきましょう。先ほど述べたとおり、離婚届に不備があると離婚届を受け付けてもらえません(協議離婚の場合は離婚が成立しません)。

離婚成立日は投函日ではなく到達日

協議離婚の離婚成立日は離婚届をポストに投函した日ではなく、役所に離婚届が到達した日(受理日)です。離婚届に不備があり後日訂正した場合でも、受付日が離婚成立日となります。なお、離婚届に不備がないかどうかのチェックは役所の業務時間内(平日の開庁時間内)に行われます。したがって、たとえば、金曜日に離婚届を郵送し、仮に土曜日に役所に離婚届が届いたとしても、不備がないかどうかのチェックは翌週の月曜日に行われ、受理された場合は土曜日が離婚成立日となります。

離婚受理通知が送達される

離婚届を郵送した場合(役所の担当者が窓口で本人確認できなかった場合)は役所から受理通知が送達されます。なお、受理通知書の送付先は住民票上あるいは戸籍附票に記載されている現住所で、かつ、転送不要郵便物で送付する扱いとなっています。住民票上あるいは戸籍附票上の住所と異なる住所に住んでいる場合は受理通知書を受け取ることができない可能性がありますので注意が必要です。