• 離婚届の証人を誰にするか迷っています
  • 証人になってくれる人がいない場合はどうしたらいいですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

婚姻届と同じく、離婚届にも証人がサインする欄があります。しかし、そもそも誰に証人になってもらうか、誰が証人になれるのか、あるいは、証人になってくれる人がおらず、お悩みの方もおられると思います。

そこで、今回は、離婚届の証人はどんな人がなれるのか、もし周りに証人になってくれる人がいない場合はどうしたらいいのかについて詳しく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
行政書士・夫婦カウンセラー:小吹 淳
離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚届の証人が必要な場合・不要な場合

あとで述べるように、協議離婚する場合は離婚届の証人が必要です。証人の欄が空欄のまま離婚届を提出しても役所が受理してくれず、協議離婚は成立しません。

協議離婚の場合に離婚届の証人が必要とされているのは、離婚することに慎重であって欲しいからです。すなわち、離婚届の証人が不要で、夫婦の合意だけで離婚できるとすれば、一時的な感情だけで離婚に進み、離婚した後、後悔してしまうことにもなりかねません。

そこで、離婚届に証人(のサイン)を必要とすることで、本当に離婚という選択肢で後悔がないのか今一度夫婦に考えさせるきっかけを与えようとした、というのが離婚届の証人の制度だと言われています。

証人に離婚届へのサインをお願いするときに、離婚の理由や経緯などを話すことになるでしょう。証人に離婚の理由や経緯などを話すことで、離婚という選択肢が間違っていないかどうかを自らに問いかけるきっかけにもなりえます。

一方、協議離婚以外の方法、すなわち、調停、審判、裁判で離婚する場合は、離婚届の証人は不要です。調停、審判では裁判所という公的機関が夫婦の離婚意思を確認しますし、裁判では裁判所が強制的に離婚を成立させるため、証人の必要性がないからです。

離婚届の証人は両親以外でもなれる?

では、協議離婚するとなったときに、誰に証人になってもらえるのでしょうか?

この点、法律上は次の2つの条件のみ満たせばよいとされています。

  • 成年(満18歳以上の者)であること(※)
  • 夫婦以外の第三者であること

通常、両親に証人になってもらう方がほとんどです。ただ、18歳以上であれば、両親に限らず、兄弟姉妹、職場の上司・同僚、友人・知人やご自分の子どもでも証人になってもらうことができます。

※2022年(令和4年)3月31日までは、民法上、20歳以上の人が「成年」でしたが、同年4月1日以降は、18歳以上の人が成年となりました。

離婚届の証人を探す前の前提知識

次に、離婚届の証人を探す前に次のことを把握しておきましょう。

夫婦それぞれから証人を出す必要はない

まず、夫婦それぞれから証人を出す必要はないということです。

離婚届の証人は2人必要ですが、夫婦それぞれが証人を立てなければならないとなると、相手が非協力的な場合、離婚届を提出することができなくなってしまいます。そこで、離婚届の証人は、夫婦のいずれか一方が2人の証人を選んでもよいことになっています。

離婚届の証人には離婚意思を確認する義務がある

次に、離婚届の証人には離婚当事者の離婚意思を確認する義務があるということです。

「離婚届の証人が必要な場合・不要な場合」の箇所でも触れたとおり、離婚当事者が勢いで離婚してしまわないよう本当に離婚する意思があるのかどうか離婚当事者に意思確認するのが証人の役割といえます。

㊟過去には、証人がこの離婚意思の確認義務を怠ったとして、証人に損害賠償命令を下した裁判例(東京地裁平成21年1月14日判決)があります。

離婚届の証人欄にサインしてもらう際の注意点

離婚届の証人の欄

せっかく離婚届の証人を探すことができても、離婚届の証人の欄に誤りがあると離婚届が受理されず協議離婚は成立しません。そうしたことがないよう、以下では、証人に離婚届にサインしてもらう際の注意点について解説したいと思います。

証人の「署名」欄は証人が自筆する

まず、離婚届の証人の「署名(氏名)」欄は証人に自筆で書いてもらわなければなりません。間違ってもあなたが証人の代わりに書くことだけはやめましょう。

正しい方法で修正する

次に、証人が氏名を間違え、修正が必要な場合は次の方法で修正します。修正液・テープは使ってはいけません。

印鑑は不要

お使いになる離婚届の様式によっては証人の「署名」欄に印鑑を押す箇所が設けられているかもしれません。しかし、今は押印は任意です。つまり、押しても押さなくてもよいことになっています。

離婚届の証人が見つからない場合の対処法

万が一、離婚届の証人になってくれる人が見つからない場合はどうすればいいでしょうか?

専門家に依頼する

まず、行政書士、弁護士などの専門家に依頼することが考えられます。

中には離婚届の証人だけのサービスをもうけている専門家もいます。ホームページなどでよく確認しましょう。仮にもうけていない場合でも、依頼をしたついでに証人になってくれないか相談してみてもよいでしょう。別に費用が発生するか、発生しないかは専門家しだいとなります。

代行業者に依頼する

そのほか、代行業者に依頼するという方法もあります。

通常、「代行業者に依頼→離婚届を代行業者に郵送→代行業者がサインして返送」という流れとなります。費用は「4,000円~10,000円」が相場です。ただし、専門家と異なり、代行業者には法律上の守秘義務が課されていません。本籍、住所等の個人情報を載せている離婚届を、顔が見えず、守秘義務が課されていない代行業者に渡すことは慎重になるべきでしょう。

まとめ

今回のまとめです。

  • 協議離婚の場合は離婚届の証人が必要
  • 離婚届の証人は「18歳以上の人」、「夫婦以外の人」であれば誰でもなれる
  • 夫婦それぞれが証人を選んでもよいし、夫婦の一方が証人を選んでもよい
  • 離婚届の証人が法的義務を負わされることはない
  • 証人への危害を避けるには相手に知らせない対策をとろう
  • 証人が見つからない場合は行政書士などの専門家や代行業者に依頼することができる