
- 面会交流って何ですか?
- 面会交流って何をするのですか?
- 実施するにあたってどんなルールを作ればいいですか?
- どんな手順で決めていけばいいですか?
- 面会交流を拒否することはできますか?
- 第三者機関とは何ですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
別居するときには婚姻費用などと、離婚するときには親権、養育費などと並行して検討しなければいけないことが面会交流です。ただ、面会交流とは何か、何をどう取り決めればいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、面会交流とは何か、どんなルールをどうやって決めればよいのか、といったことについて詳しく解説します。この記事をお読みいただければ面会交流で必要なことがすべてわかります。ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
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面会交流とは
面会交流とは、離婚後、親権者・監護権者になれなかった親、あるいは離婚前に別居して子どもと離れて暮らす親(以下、両者のことを「非監護親」といいます)が、子どもと直接会ったり、電話やメール、手紙をやり取りするなどして交流をはかることをいいます。
面会交流の目的
面会交流は子どもの健やかな成長を目的としています。
本来であれば、子どもは母親からも父親からも愛情を受けながら育てていくことが理想といえます。しかし、離婚(別居)した後は物理的にそれが難しくなります。
面会交流は子どもが非監護親と触れ合い、非監護親から愛情を受けることができる大切な機会です。また、定期的に面会交流を行うことで、養育費の未払いを防止することにもつながります。
面会交流の期間
面会交流の期間に関する法律上の定めはありません。まずは、いつまで面会交流を行うのか、夫婦の話し合いにより決めるべきでしょう。
また、面会交流は子どものために行われるものです。親だけでなく、子どもの意思も十分尊重しながら、柔軟に取り決めることが大切です。なお、面会交流の目的に鑑みて、子どもが成年(18歳)に達するまでを一応の目安とするとよいでしょう。
面会交流の種類
面会交流には、
- 直接面会
- 間接交流
の2種類があります。
直接面会は子どもと非監護親とが直接会って交流を図るもの、間接交流は電話やメール、手紙のやり取りなどの間接的な方法で交流を図るものです。
監護親と非監護親、子どもと非監護親との仲が比較的良好な場合は直接面会による交流が図られることが多いです。一方、監護親や子どもが直接面会を行うことに負担を感じるような場合は間接交流からはじめ、様子を見ながら徐々に直接面会に移行することもできます。
面会交流のルールの例~直接面会
直接面会に関するルールは上の10項目をあげることができます。ただ、すべてについて話し合って決めておくべきというわけではありません。監護親と非監護親との仲がある程度良好で、離婚した後もが面会のつど連絡を取り合って話し合える状況であれば「面会の頻度」のみ合意しておくことが多いです。
面会の頻度
まず、面会をどのくらいの頻度で行うかです。
通常、「月に○回程度」、「年に○回程度」と決めることが多いです。「月に○回」と固定した回数を決めてしまうと柔軟性がなくなってしまうため、「程度」とある程度幅をもたせた方がよいでしょう。面会の頻度について相手と折り合わない場合は、そもそも頻度について決めないか、子どもの成長に応じて段階的に頻度を増やしていけないか検討してみましょう。
面会の日時
次に、いつ面会をするかです。
あらかじめ日にちを決めておくことは難しいため、「(毎月)第2日曜日の午後2時~午後4時まで」と決めることが多いです。もっとも、子どもが面会日当日に面会したくないと言ったり、病気や怪我などでやむを得ず面会できないことも考えられます。そうした事態に備えて代わりの日時を設けるのかも考えておく必要があります。
緊急時等の連絡方法
次に、緊急時等の連絡方法です。
面会交流を実施する場合は、離婚した後も相手と連絡をとらなければいけません。どのような手段(電話、メール)で連絡をとるのか、連絡手段に変更があった場合はいつまでに相手に連絡するか、子どもの体調不良などで急に面会できなくなったときはいつまでに連絡するのか、などについて取り決めておく必要があります。
面会の場所
次に、面会の場所です。
面会の場所は、天候や子どもの年齢などによっても左右されますので、なるべくそのときどきで柔軟に対応できる方法にしていた方がよいでしょう。特定の場所に決める場合は、ショッピングモールなどの天候に左右されない屋内を基本とし、屋外とする場合は雨天時の場所も取り決めておくと安心です。
引渡し場所・方法
次に、子どもの引き渡し場所と引き渡し方法です。
引き渡し場所は面会の場所の決め方にも左右されます。引き渡し方法は親同士で直接引き渡してもよいですが、直接顔を合わせたくない場合は第三者に頼んで引き渡すことも検討しましょう。面会開始時だけでなく、終了時の引き渡し場所、方法についても忘れず取り決めておきましょう。
付添人の有無
次に、面会時に付添人をつけるかどうかです。
付添人をつける場合は、誰を、何名つけるのか取り決めます。もちろん、監護親が付添人となることもできますが、希望しない場合や非監護親が抵抗を示す場合は第三者に頼むことも検討しましょう。本来、面会は非監護親と子どもだけで行うのが望ましいため、いつの面会まで付添人をつけるのかも取り決めておくとよいでしょう。
親族との面会
次に、非監護親の親などの親族との面会を認めるかどうかです。
非監護親の親族には面会交流を求める権利はないとの考えが主流ですが、もし、面会を認める場合は、誰を、いつ面会させるのか決めておく必要があります。面会が負担と感じるようであれば、たとえば、子どもの誕生日やクリスマスなど、特別な日のみ面会を認めるという方法をとることもできます。
旅行、宿泊
次に、旅行や宿泊を認めるか否かです。
この点に関して非監護親とはっきりと意思確認していないと、非監護親の都合で勝手に旅行や宿泊をされてしまう可能性もありますので注意が必要です。もし、旅行や宿泊を認める場合は、日時、宿泊数、場所、方法などの詳細を決めるのか、その都度話し合うのか決める必要があります。
費用負担
次に、誰が、どんな費用を負担するかです。
面会交流を行うにあたっては、引き渡し場所まで行く際の交通費、面会交流中の食費、交通費など様々な費用がかかります。これらの費用負担いついてきちんと取り決めておかないと、あとでトラブルとなる可能性が高いです。お金にかかわることで一度トラブルになると、面会交流を続けていくことを難しくしてしまうおそれもありますので注意が必要です。
禁止事項
最後に、面会中や面会交流を通してやってほしくないことです。
たとえば、
・飲酒、喫煙
・飲食物の内容
・物(プレゼントなど)の授受
・子供の面前での監護親の中傷、非難
・写真、動画撮影、録音
・写真、動画のSNSなどへのアップロード
・面会中の子供と第三者(非監護親の親など)との連絡
・連れ去り、連れ去り企図
・住所、学校の詮索
などについて相手と話し合って決めておくことが考えられます。
このほかにも、非監護親にやってほしくないことがあれば明確に伝え、書面に残しておくことが大切です。
面会交流のルールの例~間接交流

次に、間接交流に関しては上の4項目をあげることができます。こちらもすべて話し合って取り決めておくべきというわけではありません。子どもや非監護親の希望、子どもと非監護親との関係性などをみながら、負担の少ないものからはじめてみるのも一つの方法です。
プレゼント、手紙
子どもにとって負担が軽い方法は、非監護親が監護親に子ども宛のプレゼントや手紙を送ることです。もっとも、無制限にこれを認めると、監護親や子どもの負担にもなりかねません。認めるにしても、回数や時期、内容などを細かく取り決めておくと安心です。
写真、動画
非監護親からのプレンゼントや手紙に対して、監護親から非監護親に子どもの写真や動画を送る方法もあります。非監護親の子どもに対する関心、愛情を継続でき、養育費をきちんと払ってくれることもにつながります。
SNS、LINE、ZOOM、Skypeなど
面会に近い方法としては、SNSなどを使ったメール交換、LINE電話などを使った非対面の電話やZOOMなどを使った対面での電話などがあります。もっとも、これらの方法は間接交流の中で一番負担が大きい方法です。子どものためになるか、他の方法で代用できないかなど、しっかり検討する必要があります。仮に実施する場合は、頻度、曜日、時間帯などのルールを細かく取り決めましょう。
行事への参加
以上のほか、子どもの学校行事(入園・入学式、卒園・卒業式、保育参観、授業参観、運動会、文化祭・発表会など)や習い事のイベント(大会、発表会など)に非監護親をどこまで参加させるかも取り決めておく必要があります。
参加を認める場合は、どの行事・イベントに、どんな形での参加を認めるのかを取り決めておく必要があります。また、親同士で合意したとしても、保育園・幼稚園、学校側の都合などで非監護親が参加できないことも考えられます。行事・イベントの日程等がわかったら、速やかに監護親から非監護親へ通知するようしておくことも大切です。
そのほか、面会を実施することにする場合は、行事・イベントへの参加を1回の面会としてカウントするのか、カウントせず、行事・イベントへの参加とは別に面会を認めるのかも取り決めておく必要があります。
面会交流の取り決め方
面会交流の取り決め方は次のとおりです。
①原案を考える
↓
②夫婦で話し合う → 調停?・調停調書
↓
③書面にまとめる
【別居の場合】・別居合意書or面会交流合意書
【離婚の場合】・離婚協議書or離婚公正証書
①原案を考える
まず、相手に別居・離婚の話し合いを切り出す前に、ご自分で面会交流のルールを考えておきます。面会交流のことを考えるのであれば、面会交流以外の婚姻費用や養育費のことなどについてもあらかじめ考えておく必要があります。
②夫婦で話し合う
別居・離婚の準備が整ったら、相手に話し合いを切り出します。この段階であなたが考えたことは、離婚協議書(原案)などの書面に盛り込んでいるはずです。相手との話し合いは書面をたたき台にして行うとスムーズにいくでしょう。
③書面を作る
話がまとまったら離婚前は別居合意書か面会交流合意書を、離婚後は離婚協議書か離婚公正証書を作ります。なお、調停が成立した場合に作成される調停調書と違い、離婚協議書や離婚公正証書には強制的に面会交流を実施する効力はありません。
④家庭裁判所に調停を申立てる
一方、話し合いができない、話がまとまらないという場合は、家庭裁判所に対して調停を申立てます。
離婚前、離婚を前提としない場合は「面会交流調停」などの調停(※)で、離婚を前提とする場合は「夫婦関係調整調停(離婚)(=離婚調停)」を申立てます。離婚後は「面会交流調停」を申し立てることができます。
調停では調停委員が当事者の間に入って話をまとめていきます。調停で話がまとまれば調停が成立し、調停調書が作成されます。一方、話がまとまらず「面会交流調停」が不成立となった場合は自動的に審判手続きに移行し、裁判官が面会交流のルールを決めます。
調停、審判が成立すると、監護親が面会交流に応じない場合の履行勧告や間接強制が可能となります。
※離婚前の調停には、ほかにも「婚姻費用の分担調停」や「夫婦関係調整調停(円満)」があります。相手が応じる限り、これらの調停でも面会交流について話し合うことができますが、状況によっては面会交流調停を申し立てなければならない場合もあります。
面会交流Q&A
最後に、面会交流でよくある質問にお答えします。
離婚(別居)後でも話し合うことはできますか?
はい、できます。
ただし、先ほど述べたとおり、できれば離婚(別居)する前に相手と話し合って決めておいた方が安心です。なお、一度取り決めたルールはいつでも変更することができます。
面会交流は拒否できますか?
原則として、拒否できません。
子どもが非監護親から虐待を受けていた、あなたが非監護親からDVを受けていたなどの特殊な事情がない限り、面会交流を拒否することはできません。面会交流を実施することで養育費の未払いを防止できる可能性もありますので、前向きに検討してみましょう。
再婚した後は面会交流を拒否できますか?
再婚したからといって当然に拒否できるわけではありません。
子どもの年齢、発達の程度、子どもと非監護親とのこれまでの交流状況、子どもと再婚相手との関係などの事情を考慮し、面会交流を継続することが子どもにとってよくないと認められる場合に限り、面会交流を禁止・制限できます。
面会交流を行わない取り決めは可能ですか?
子どもの年齢や意向を踏まえて、そのような取り決めをすることは可能です。
しかし、面会交流の重要性を考えると、一生涯行わないとするのは子どものためによくありません。仮に、このような取り決めをする場合でも期間を設け、期間経過後は、子どもの成長や意向等を踏まえて実施していくという取り決めをしていた方がよいでしょう。
自分たちだけで面会交流する自信がありません・・
その場合は第三者機関の利用を検討してみましょう。
第三者機関とは面会交流をスムーズに実施できるよう支援してくれる機関で、自治体が主体の機関から民間の機関まで全国にあります。支援内容は付き添い型、受け渡し型、連絡調整型など様々です。まずは情報収集からはじめてみましょう。