【離婚慰謝料と不貞慰謝料との違い】不倫相手にも請求できますか?
・離婚慰謝料って何ですか?
・不貞慰謝料って何ですか?
・離婚慰謝料と不貞慰謝料との違いは何ですか?
この記事では、このような疑問や悩みにお応えします。
慰謝料と一言でいっても様々な呼び方をされることがありますが、多くの方が明確に区別できていないと感じます。今回は、離婚慰謝料と不貞慰謝料をピックアップし、それぞれの意味や違いなどについて詳しく解説していきたいと思います。
目次
離婚慰謝料とは
離婚慰謝料とは、配偶者の不貞などの有責行為によって離婚をやむなくされたことにより受けた精神的苦痛に対する賠償金です。離婚自体慰謝料とも呼ばれます。
離婚慰謝料では、たとえば、不貞という一個の不法行為を慰謝料請求の対象とするのではなく、配偶者の有責行為から離婚に至るまでの一連の経緯のすべての不法行為を慰謝料請求の対象とします。
不貞慰謝料とは
一方、不貞慰謝料とは、配偶者の不貞によって受けた精神的苦痛に対する賠償金です。離婚慰謝料と異なり、不貞という有責行為そのものを慰謝料請求の対象とするのが不貞慰謝料です。不倫慰謝料、浮気慰謝料などとも呼ばれます。
配偶者と不倫相手とが連帯してあなたに支払う義務を負うのが不貞慰謝料です。そのため、あなたは配偶者に全額慰謝料を請求することも、不倫相手に全額慰謝料を請求することもできます。
離婚慰謝料と不貞慰謝料との違い
離婚慰謝料と不貞慰謝料との違いは次のとおりです。
慰謝料の発生原因
まず、慰謝料の発生原因です。
離婚慰謝料は「離婚」したことが発生原因ですが、不貞慰謝料は「不貞」が発生原因です。
時効期間の起算点
次に、時効期間の起算点(期間が進行開始する時点)です。
離婚慰謝料は離婚によって慰謝料が発生すると考えることから起算点は離婚成立時ですが、不貞慰謝料は不貞時です。なお、時効期間はともに3年です。
不倫相手に対する請求の可否
次に、不倫相手に対する請求の可否です。
離婚慰謝料は特段の事情(※)がない限り、不倫相手に請求することができません。一方、前述のとおり、不貞慰謝料は不倫相手にも請求できます。
※判例(最高裁判所平成31年2月19日)は、「不倫相手が夫婦を離婚させることを意図して、その婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がある場合」は、不倫相手に離婚慰謝料を請求することが可能と述べています。
離婚慰謝料と不貞慰謝料のQ&A
最後に、離婚慰謝料と不貞慰謝料に関するよくある疑問にお応えします。
不倫相手に離婚慰謝料を請求できる?
前述のとおり、原則として、不倫相手には離婚慰謝料を請求することはできません。
配偶者に不貞慰謝料を請求できる?
前述のとおり、請求できますが、離婚しない場合は配偶者に請求しても、配偶者と家計をわけていない限り実質的な利益を得ることができないことから、不倫相手にのみ請求することが一般的です。
配偶者に離婚慰謝料を請求した後、不倫相手に不貞慰謝料を請求できますか?
請求自体は可能です。ただし、離婚慰謝料の金額によっては請求が認められない可能性もあります。たとえば、事案の状況に照らして離婚慰謝料の額としては200万円が妥当なケースの場合、配偶者から200万円を払ってもらった場合は、不倫相手にあらためて不貞慰謝料を請求することは認められない可能性があります。
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