- 離婚のメリット・デメリットは?
- 離婚に踏み切る前にやるべきことは?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
「離婚して、はやく今の状況から抜け出したい」、「楽になりたい」。このような気持ちの場合、離婚にはメリットしか感じないかもしれません。
しかし、離婚にもメリットのほかデメリットがあります。離婚のメリットだけに目を奪われて離婚すると、離婚した後に離婚のデメリットにはじめて気づき、離婚したことに後悔してしまうかもしれません。一方で、少し冷静になって離婚のデメリットまで目を向けてみると、「今は離婚しない方がいい」という判断になるかもしれません。
そのため、離婚の二文字が頭をよぎったら、離婚のメリットだけでなく、デメリットにもしっかり目を向けて、本当に離婚して後悔することはないかどうかきちんと検討することが大切です。
今回は、男女共通の離婚のメリット・デメリット、男性・女性特有の離婚のメリット・デメリットについて解説した後に、離婚に踏み切る前にぜひともやっていただきたいことについて解説します。今は離婚にメリットしか感じていない方も、まずはこの記事を読んでみて、離婚に踏み切るかどうか冷静に判断できるようになっていただければばいいなと思います。
この記事を書いた人
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離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚のメリット
それでは、さっそく男女共通の離婚のメリットからみていきましょう。
悩み・ストレスから解放される
まず、離婚の最大のメリットは悩み、ストレスから解放されることです。
離婚前は、不貞(不倫・浮気)、DV、モラハラ、虐待、価値観・生活習慣の違い、喧嘩、性生活、お金の問題、子育て、相手親族との付き合いなどで様々悩み、ストレスを抱えながら生活されてきたことと思います。離婚することでこうした悩み、ストレスから一気に解放され、精神的に楽になることは間違いないでしょう。
自由になれる
次に、自由になれることです。
離婚前はパートナーの価値観や生活習慣、予定に合わせて行動しなければならない場面もあったかと思います。パートナーの束縛に悩まされていた方もいるでしょう。しかし、離婚後は束縛に悩まされず、パートナーのために使っていた時間をあなたや子どものために使いながら生きていくことができます。
パートナーの浪費、ギャンブルなどで「なかなか貯金ができない」と悩まされてきた方、反対に、「パートナーがケチで自由にお金を使わせてもらえなかった」という方は、離婚後は、自分の思い通りに貯金したり、お金を使えるようになります。
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新しい人生を歩むことができる
次に、新しい人生を歩むことができることです。
先ほど述べたとおり、離婚すると離婚前に抱えていた問題や悩み、ストレスから一気に解放されます。また、離婚をきっかけにこれまで住んでいた場所・環境、仕事、人間関係を一変させ、身も心も心機一転、新しい人生をスタートさせることができます。離婚をきっかけに新しい仕事にチャレンジしてみたり、新しいパートナーを探して再婚することも自由です。
子どものためにもなる
次に、子どものためにもなることです。具体的には次のとおりです。
子どもをストレスから解放できる
大人が考えている以上に子どもは敏感です。会話のない生活、ケンカの絶えない暮らしが続けば子どもにもストレスを与えている可能性があります。離婚によって子どももストレスから解放され、離婚前よりのびのびと生きていけるようになります。
子どもの教育方針でもめなくて済む
離婚前は子どもに対するしつけ方や教育方針の違いに悩まされていた方も多いと思います。離婚後、あなたが子どもと一緒に生活する場合には、基本的にはあなたがやりたいようにすることができます。
子どもの身の安全を守ることができる
子どもがパートナーから虐待を受けている場合、あるいは子どもはパートナーから虐待を受けていなくても、あなたが子どもの目の前でパートナーからDV(面前DV)を受けている場合は、子どもの身の安全を確保する意味でも速やかに離婚すべきです。
子どもとの結束が強くなる
離婚後、子どもと一緒に生活する場合は、これまで以上に子どもに対して責任感をもって子育てできるようになります。子どもは離婚前よりも親からの愛情を強く感じるようになり、親子の結束がより強くなる可能性があります。
離婚のデメリット
次に、男女共通の離婚のデメリットをみていきましょう。
家族がいなくなる
まず、精神的な支えだった家族がいなくなることです。
気づかないだけで、これまで家族がいた、あるいは家族の支えがあったおかげで今日まで生きることができたといえる場面は多くあったと思います。しかし、離婚して離れ離れになるとパートナーとは赤の他人となります。子どもと離れて生活する場合は子どもとの精神的なつながりが徐々に弱くなっていき、孤独感にさいなまれたり、離婚したことに後悔してしまう可能性があります。
周囲の風当たりが強くなる
次に、周囲の風当たりが強くなる可能性があることです。
離婚は決してマイナスの出来事ではありませんが、周囲にはまだまだ離婚に対して否定的な見方をする人も少なからずいます。離婚したことで、あなたに対する周囲の見る目が変わり、これまでと同じような付き合いができなくなる可能性があります。また、あなた自身もこれまで支えてきてたくれた人に対して申し訳なく思い、離婚したことに後悔してしまう可能性があります。
子どもに悪影響を及ぼす
次に、子どもに悪影響を及ぼしてしまう可能性があることです。具体的には次のとおりです。
子どもに寂しい思いをさせてしまう
子どもにとってパートナーはいつまでも自分の親です。離婚を機に、子どもがパートナーや義父母などから愛情を受ける機会を奪ってしまい、子どもに寂しい思いをさせてしまう可能性があります。
子どもにストレスを与えてしまう
苗字の変更、転園・転校による友だちや今の環境と別れ、慣れない土地での生活、人間関係の構築などで、大人と同じように子どもにも大きなストレスがかかっており、それがやがては、子どもの健全な成長を阻んでしまう可能性があります。
子どもに満足のいく生活を送らせてやれない
離婚前よりも世帯収入が落ち込んでしまった場合は、子どもに欲しいものを買ってあげることができなかったり、子どもが受けたいと思っている習い事、教育を受けさせることができなくなってしまう可能性があります。
※内閣府が公表している「令和3年度子供の貧困状況と子供の貧困対策の実施状況」によると、ひとり親世帯のうち約半数の世帯が貧困状態に陥っていることがわかります。また、2022年12月に厚生労働省が公表した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告書」によると、母子家庭の平均就労年収は236万円とのことです。
離婚のメリット・デメリット【男性編】
次に、男性特有の離婚のメリット・デメリットをみていきましょう。
メリット
メリットは次のとおりです。
一家の大黒柱ではなくなる
離婚する前は一家の大黒柱として、家族を養うために無理してでも今の仕事を続けてきた、転職できずにいたという方も多いと思います。離婚した後は、一家の大黒柱としてのプレッシャーから解放され、自分の思い通りに仕事することができます。
デメリット
デメリットは次のとおりです。
養育費を払い続けなければならない
離婚を機に子どもと離れて暮らす男性は多いと思いますが、子どもと離れて暮らすからといって、養育費の支払義務が免除されるわけではありません。他の支出とあわせると経済的な負担が重くのしかかり、離婚した後の生活に影響する可能性があります。
身の回りのことを自分でする必要がある
離婚する前は、パートナーがやってくれていた料理、掃除、洗濯など自分の身の回りのことはすべて自分でやる必要があります。経験がない方にとってはストレスになり、パートナーのありがたみを感じたり、離婚したことに後悔してしまう可能性があります。
離婚のメリット・デメリット【女性編】
次に、女性特有の離婚のメリット・デメリットをみていきましょう。
メリット
メリットは次のとおりです。
自分の裁量で家事をやれる
離婚する前はパートナーの好みや生活リズムに合わせて料理を作ったり、掃除・洗濯などの家事をしなければならなずストレスになっていたと思います。離婚した後は自分の思い通りに家事をやることができます。
余計な付き合いをせずに済む
離婚する前はパートナーの義父母、親族、会社の関係者やその家族との付き合いで悩みを抱えていた方も多いと思います。離婚した後はあなたが面倒と感じる付き合いから一気に解放されます。
デメリット
デメリットは次のとおりです。
自力で稼いでいかなければならない
これまでパートナーの収入に頼ってきた方は、自力で稼ぐ力をつけない限り、離婚した後の生活に困ってしまう可能性があります。子どもが欲しいものを買ってあげられなかったり、満足のいく教育を受けさせることが難しくなる可能性があります。
苗字をどうするかで悩む
女性の場合は離婚を機に元の苗字に戻すのか、今の苗字を使い続けるかで悩む方も多いと思います。子どもと一緒に暮らす場合は、子どもの苗字・戸籍をどうするかも考える必要があります。
離婚で後悔しないためにやっていただきたいこと
このように離婚にはメリットのみならずデメリットもあり、メリットばかりに目を奪われて離婚に踏み切ると、のちのち離婚したことに後悔する可能性があります。そこで、離婚で後悔しないためにも、離婚前から以下のことを実践、検討してみることをおすすめします。
セルフチェックしてみる
まずは、以下の問に答えてみて、本当に離婚したいのか、離婚すべきなのか、離婚しないという選択肢はないのかもう一度考えてみるとよいでしょう。
□ 離婚理由ははっきりしていますか?
(はい・いいえ)
□ 離婚後は相手と会えなくても後悔しませんか?
(はい・いいえ)
□ 相手が恋愛したり、再婚しても恨んだりしませんか?
(はい・いいえ)
□ 離婚後はどんな生活を送りたいですか?
( )
□ 自力で稼いでいく自信はありますか?
(はい・いいえ)
□ 家賃・税金などをきちんと払っていけますか?
(はい・いいえ)
□ 一人で家事・育児をこなしていけますか?
(はい・いいえ)
□ 子育てに注力していけますか?
(はい・いいえ)
□ 自然災害時にも冷静に対処できますか?
(はい・いいえ)
□ これまで相手がやっていたことをやっていけますか?
(はい・いいえ)
□ 周囲に相談できる人、支えになってくれる人はいますか?
(はい・いいえ)
□ 周囲の批判、冷たい対応にも耐える自信はありますか?
(はい・いいえ)
□ 自分の心の支えはありますか?
(はい・いいえ)
□ 離婚についてきちんと子どもに説明できますか?
(はい・いいえ)
「いいえ」の数に関係なく、少しでも離婚に不安を感じるようであれば、いったん離婚に踏み切ることをやめ、以下で紹介するような別の道を探ってみてもよいのではないでしょうか?
修復できないか検討する
次に、夫婦関係を修復できないか今一度検討してみることです。
もともとはお互いを好きになって一緒になった仲です。お互いが少しでも相手に対する愛情を残しているのであれば修復する余地はあるといえます。修復する余地が残されているのに、修復にトライせずに離婚に踏み切ることはとてももったいないことです。
離婚はお互いがその気になりさえすればいつでもできます。人生を長いスパンで考えると、まずは修復を試みてそれでも修復が難しいという判断に至ったときにはじめて離婚を検討してみても遅くはないでしょう。
別居してみる
次に、別居を検討してみる、実際に別居してみることです。
別居は「離婚後の生活の予行演習」という意味もあります。別居することで離婚後の生活を具体的にイメージすることができ、離婚した方がいいのか、それとも修復の道を探った方がいいのかより現実的に考えることができます。
DVや虐待を受けているなど別居の緊急性が高い場合を除き、別居する際は、別居の目的や別居時のルールなどについてパートナーときちんと話し合ってから別居するようにしましょう。
離婚準備をしっかり行う
セルフチェックや修復、別居を検討・実践しても、やはり「離婚しかない」と考える場合にはじめて離婚に踏み切ります。
ただ、離婚に踏み切るといっても、しっかりとした事前準備が必要です。まずは、離婚までにどれだけのお金が必要か、離婚後の生活にどれだけお金がかかるのか計算した上で、お金に困らない程度のお金を貯めることが何より先決です。
その他、
- 離婚の証拠集め
- 養育費などの離婚条件に関する検討
- 離婚後の住まいの検討
- 子どもに関する準備
- 就職・転職、資格取得が必要かの検討
- 離婚後の手続きの確認
なども並行して行っていく必要があります。
離婚の準備には時間がかかります。また、離婚を切り出した後も、話し合いなどで時間がかかることがあります。離婚を決断したら、なるべくはやく準備にとりかかり、ある程度準備が進んできたら離婚時期も設定するようにしましょう。
まとめ
今回のまとめです。
- 離婚にはメリットだけでなくデメリットもある
- 離婚に踏み切る前にデメリットにも目を向けて
- 離婚に不安を感じる場合は離婚を思いとどまることも一つの方法
- 後悔のない離婚にするにはしっかりとした離婚準備が大切