- 一度作った公正証書は変更できますか?
- 離婚後、養育費、親権については変更できますか?
- 公正証書、養育費、親権を変更する方法を教えて欲しいです
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
一度公正証書を作ったとしても、離婚後は養育費を払う側(義務者)の失業、収入減、もらう側の再婚、児童虐待、育児放棄など、様々な事情の変化が起こり得ます。そして、その事情の変化に合わせて公正証書の内容を変更しなければならない場合も出てくるでしょう。
そこで、今回は、数ある離婚条件の中でも、特にご質問が多い養育費、親権に絞り、公正証書に盛り込んだ養育費や親権の内容を離婚後に変更することができるかどうか、できるとしてどのような手順を踏めばよいか、などについて詳しく解説していきたいと思います。
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公正証書は変更できる?
まず、一度作った公正証書の内容を変更できるかどうかは、養育費や親権に関する取り決めを変更できるか否かによります。養育費や親権に関する取り決めを変更できる場合は、養育費や親権に関する公正証書の内容を変更できますし、変更できない場合は養育費や親権に関する公正証書の内容を変更することはできません。
養育費について変更できる(できない)場合
そこで、いかなる場合に変更できるかが問題となります。まずは、養育費について変更(増額・減額)できる場合とできない場合をみていきましょう。
変更について合意できる場合
まず、養育費の変更について親同士で合意できる場合は変更することができます。反対に、合意できない場合は養育費について変更できませんから、公正証書の内容も変更できません。
事情の変更が認められる場合
ただし、親同士で合意できなくても、「事情の変更」があったと認められる場合は変更することが可能です。ただし、この場合は、養育費の変更調停(あるいは、審判)を申し立てて調停(あるいは、審判)で解決を図る必要があります。
事情の変更があったというためには、「合意の前提となっていた事情に変更が生じたこと」、「事情の変更が重要な事情の変更をいえること」、「合意時に事情の変更を予測することができなかったこと」、「現在の合意内容を維持することが、著しく公平に反すること」が必要です。
【養育費の増額変更が認められやすい場合】
・子供に多額の学費がかかるようになった
・子供が大病を患った、大けがをした
・権利者(養育費を請求できる親)の収入が減った
・義務者の収入が増えた
【養育費の減額変更が認められやすい場合】
・義務者が再婚した
・権利者が再婚した
・義務者の収入が減った
・権利者の収入が増えた
公正証書を変更する方法・手順
養育費の変更について親同士で合意できる場合は、養育費の変更に関する公正証書を新たに作成します。そして、新しく作った公正証書で、前の公正証書の内容を変更します。
変更の手続きは全国どこの公証役場でも可能です(以前作った公証役場以外の公証役場でも可能です)。変更の手順は以前公正証書を作ったときと同じです。公証人との面談時には、前の公正証書(の正本)をもっていきましょう。
その他、必要なものはあらかじめ公証役場に問い合わせて確認しておくと安心です。
養育費の変更について合意できない場合
親同士で合意できない場合は、家庭裁判所に対して調停(あるいは、審判)を申し立てます。
調停も合意形成の場であることに変わりありませんが、調停委員という第三者が間に入ることで、話し合いがスムーズに進むことが期待できます。
調停が成立した場合は調停調書という書面が作成され、調停調書によって前の公正証書の内容が変更されます(あらためて公正証書を作る必要はありません)。
一方、調停が成立しない場合は審判という手続に移行し、裁判官が養育費を変更するかどうか、変更するとしていくらの額にするのかなどを決めます。
親権を変更したい場合は?
ここまで養育費と公正証書の変更について解説してきましたが、親権についてはどうでしょうか?
まず、親権については、養育費と異なり、親同士の合意だけで親権者を変更することができません。新しい公正証書を作って、その公正証書で前の公正証書の内容を変更するということもできません。
親権者を変更するには、親権者変更について親同士で合意できているか否かに関わらず、必ず家庭裁判所に対して親権者変更の調停、あるいは審判を申し立てる必要があります。そして、家庭裁判所から「子どもの親権者を変更してもよい」という許可を得てはじめて、親権者を変更することができます。
まとめ
今回のまとめです。
- 離婚後に公正証書を変更できるかどうかは変更する対象(養育費、親権など)によって異なる
- 養育費については親同士で合意できれば変更できる
- 変更できない場合は調停を申し立てる
- 調停が成立したら、調停調書によって前の公正証書の内容を変更する
- 親権については親同士の合意だけでは変更することができない(必ず調停を申し立てる必要がある)