離婚と保険証 | いつまでに、どんな手続きが必要?子供はどうなる?

離婚したら保険証はどうなるの?
健康保険はどうなるの?

この記事はこのような疑問、悩みにお応えします。

離婚後は保険証にも注意が必要です。今加入している公的医療保険と離婚後に加入する公的医療保険によっては保険証の切り替えが必要となります。また、保険証の切り替えは必要がない場合でも、苗字、住所を変更する場合は届出が必要です。
この記事では、状況別の保険証の切り替えや苗字、住所の届出方法などについて詳しく解説していきます。ぜひ今後の参考にしてみてください。

健康保険とは

健康保険とは会社員(被保険者)とその家族(被扶養者)が加入できる保険で、公的医療保険の一つです。公的医療保険には健康保険のほかにも国民健康保険(国保)、後期高齢者医療制度があります。

国民健康保険との違い

健康保険と国民健康保険との違いは、健康保険は会社員とその家族が対象者となるのに対して、国保は自営業者・個人事業主など健康保険に加入していない人とその家族が対象である点です。その他の主な違いは次のとおりです。

健康保険国民健康保険
保険者お住いの自治体協会けんぽ、組合健保
保険料の計算前年の所得等による給与額による
保険料の負担全額自己負担会社と折半
扶養の概念ありなし
出産手当金給付される給付されない
傷病手当金給付される給付されない

離婚で保険証の切り替えが必要な場合

離婚する場合に保険証の切り替えが必要な場合は次の2つのケースです。

①配偶者が加入している健康保険の被扶養者の場合
②配偶者が国民健康保険に加入しており、世帯主として保険料を払っている場合

ご自分が①に該当するのか②に該当するのかは、保険証の色で見分けることができます。すなわち、保険証の色が青色の場合は①に該当し、保険証の色が桃色の場合(令和4年8月1日以降)は②に該当します。それぞれの場合でどのような手続が必要なのかは、のちほど詳しく解説します。
なお、次の場合は保険証の切り替えは必要ありませんが、③の場合は苗字・住所を変更する手続き(離婚により苗字・住所を変更する場合)、➃の場合はあらたに国保に加入する手続きが必要です。この点ものちほど詳しく解説します。

③ご自身も会社員で健康保険に加入しており(配偶者の健康保険の扶養に入っておらず)、離婚後も会社員として働く場合
④上記の②に該当し、かつ、離婚後も自分を世帯主とする国保に加入し続ける場合

保険証の切り替えの選択肢と手続き①

それでは、ここからは、「①配偶者が加入している健康保険の被扶養者の場合」の保険証の切り替えの選択肢と手続きを詳しくみていきましょう。まず、この場合は次のいずれかの選択をする必要があります。


ア 親が加入している健康保険に加入する
イ 会社の健康保険に加入する
ウ 国民健康保険に加入する

以下、それぞれで必要な手続きをみていきましょう。

ア 親が加入している健康保険に加入する

この選択肢をとるのは、親がまだ会社員で健康保険に加入しており、かつ、ご自身で健康保険または国保に加入しない場合が考えられます。
この場合は、まず、あなたを配偶者の健康保険の扶養から外すため、配偶者に勤務先で「健康保険資格喪失届」を提出してもらい、「健康保険資格喪失証明書(以下「資格喪失証明書」といいます。)の発行手続きをとってもらう必要があります。同時に、あなたの保険証を会社に返す必要があります。
資格喪失証明書は配偶者を通じて、あるいは郵送で受け取ります。郵送で受け取りたい場合は、配偶者に郵送で送って欲しいことと、送り先の住所を伝えておきましょう。
その後、資格喪失証明書を親に渡し、親に手続きをとってもらいます。

イ 会社の健康保険に加入する

この選択肢をとるのは、これまで会社勤めしていたけど扶養の範囲内で働いていた場合、これまで無職だったけど、離婚後会社勤めする場合が考えられます。
この場合の手続きも上記とほぼ同様です。すなわち、資格喪失証明書を取得し、勤務先の会社に提出して健康保険への加入の手続きをとってもらいます。

ウ 国民健康保険に加入する

この選択肢をとるのは、これまで無職で離婚後も無職の場合(親の健康保険の扶養に入らない場合)、離婚後は自営業者、個人事業主として働く場合が考えられます。
この場合も資格喪失証明書を取得する必要があります。取得したら、離婚後にお住いになる自治体の役所で加入の手続きをとります。役所のホームページなどで、手続きに必要なものを確認しておきましょう。

保険証の切り替えの選択肢と手続き②

続いて、「②配偶者が国民健康保険に加入しており、世帯主として保険料を払っている場合」の保険証の切り替えの選択肢と手続きを詳しくみていきましょう。この場合は次のいずれかの選択をする必要があります。


ア 親が加入している健康保険に加入する
イ 会社の健康保険に加入する


まずは、アの場合は親に健康保険への加入の(親の扶養に入る)手続きをとってもらい、イの場合はご自分で健康保険へ加入する手続きをとります(会社の担当者に申請します)。
「健康保険証」あるいは「健康保険資格取得証明書」が発行されたら、加入から14日以内に、婚姻時に住んでいた自治体の役所で国保の脱退手続きをとります。
脱退手続きは世帯主に行ってもらうか、世帯主から委任状をもらって自分で手続きすることもできます。ご自分で手続きする場合は、必要なものをよく確認しておきましょう。

※注意
脱退の手続きをとらない限り、健康保険の保険料と国保の保険料とを二重に納付しなければなりません。忘れずに脱退手続きを済ませておきましょう。

保険法の切り替え以外の手続き

前述のとおり、今現在、ご自分で会社の健康保険に加入している場合(③の場合)や世帯主が国民健康保険に加入していて、離婚後もご自分を世帯主とする国保に加入し続ける場合(④の場合)は保険証の切り替えは必要ありません。ただ、離婚により苗字、住所を変える場合は変更手続きが必要です。

健康保険の場合(③の場合)

マイナンバーカードをもってない場合、マイナンバーカードと基礎年金番号が結びついていない場合は変更手続きが必要です。
手続きが必要かどうかは会社の担当者に確認するとよいでしょう。必要な場合は「健康保険 被保険者氏名・住所変更届」に必要事項を書いて、会社の担当者に提出します。

国保の場合(④の場合)

国保に加入し続ける場合は、

ア世帯主だけを変更する場合
イ世帯主と苗字を変更する場合
ウ同一市区町村内で住所を変更する場合
エ異なる市区町村へ住所を変更する場合

で手続きが異なります。
アの場合は役所の国保の担当部署で世帯主変更届が必要です。イの場合は世帯主変更届に加えて苗字の変更届が必要です。ウの場合は戸籍係で転居届が、国保の担当部署で世帯主変更届が必要です。
一方、エの場合は転出届に加えて、住所変更前の役所の国保の担当部署で資格喪失手続きを行い、引っ越し後の役所の国保の担当部署で加入手続きをとる必要があります。
いずれも変更の事由が生じた日から14日以内に手続きを済ませる必要があります。

離婚したら子供の保険証はどうなる?

子供の保険証は手続きをしなければ現状のままです。もっとも、子供の親権をもつ場合は、今後のためには、あなたの保険証に合わせる形をとった方がよいでしょう。
すなわち、子供も配偶者が加入している健康保険の扶養に入っている場合(①の場合)には、配偶者に子供を健康保険の扶養から外す手続きをとってもらう必要があります。そして、資格喪失証明書を取得した後、状況に応じた手続きをとる必要があります(①の㋐から㋒参照)。また、配偶者が国民健康保険に加入している場合(②の場合)も、子供を国保の加入者から脱退させる必要があります。
子供の苗字、住所が変更される場合も忘れずに届出を済ませておきましょう。

離婚と保険証Q&A

最後に、離婚と保険証でよくある疑問についてお答えします。

Q:配偶者が会社に「健康保険資格喪失届」を出してくれないのですが、どうすればいいでしょうか?

まずは役所の担当部署に相談してみましょう。役所が配偶者の会社に資格喪失の手続きをとるよう働きかけてくれる場合があります。資格喪失の手続きは年金事務所が担当していますから、年金事務所に相談すれば、あなたの請求により年金事務所が証明書を発行してくれることがあります。

Q:資格喪失証明書を受け取れていないのですが、どうすればいいでしょうか?

まずは、配偶者に届出を提出したのか聞いてみましょう。届出をしたのに証明書が発行されない場合は、ご自分で年金事務所に請求することで発行してもらえます。

まとめ

保険証の手続きでは、まずは今の保険証が何の保険証なのかを確認しましょう。健康保険か国民健康保険かによって手続きが異なります。また、離婚後の就職の有無などによっても手続きが異なります。離婚後のケースごとに手続きを確認しておきましょう。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。