- 離婚慰謝料の時効の起算点はいつですか?
- 離婚慰謝料の時効期間は何ですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
相手に離婚慰謝料を請求しようと思っても、時効が完成していたら元も子もありません。そこで、離婚慰謝料の時効は何年か、いつ時効が完成するのか気になる方も多いと思います。理由はあとでわかりますが、離婚慰謝料の時効で注意しなければいけないのは、離婚した後に離婚慰謝料を請求する場合です。今回は、この離婚慰謝料の時効について詳しく解説していきたいと思います。
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離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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離婚慰謝料の時効の起算点と期間
まず、結論から申し上げると、離婚慰謝料の時効の起算点(時効期間の開始日)は離婚成立日の翌日で、時効期間は3年です。
たとえば、令和5年9月14日に協議離婚が成立した場合、時効の起算点は翌日の令和5年9月15日で、それから3年後の令和8年9月14日が時効期間の満了日、令和8年9月15日午前零時をもって時効が完成ということになります。
【離婚成立日】令和5年9月14日
【時効起算日】令和5年9月15日
【時効満了日】令和8年9月14日
【時効完成日】令和8年9月15日
なお、慰謝料には離婚慰謝料のほかに離婚原因慰謝料(請求原因が不貞の場合は不貞慰謝料・不倫慰謝料などとも呼ばれます)があります。離婚原因慰謝料の時効の起算点は離婚原因があった日の翌日(離婚原因が不貞の場合は不貞の日の翌日)で、時効期間は離婚慰謝料と同じく3年です。
時効の不安をなくすには?
離婚慰謝料の時効を不安をなくすには離婚前に慰謝料請求し、できれば離婚前に現金か一括の口座振り込みで慰謝料を受け取っておくことです。先ほど述べたとおり、離婚慰謝料の時効期間は離婚成立後から進行しますから、離婚前に慰謝料のことを解決しておけば時効について心配する必要はなくなります。
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時効期間経過後に慰謝料を請求できる?
離婚慰謝料も離婚原因慰謝料(不貞慰謝料)も3年の時効期間が経過すると時効が完成します。ただ、時効が完成したからといって、慰謝料を請求できなくなるわけではありません。
あなたの慰謝料請求権を消滅させるには、相手が「時効完成の援用」という手続をとらなければいけません。したがって、相手が時効の援用の手続きをとらない間は慰謝料を請求することができます。
また、相手が時効が完成したことを知らずに離婚慰謝料を払った場合は受け取ることができます。この場合、あとで相手が時効が完成していたことを知って離婚慰謝料を返すよう求めてきたとしても返す必要はありません(最高裁判例昭和41年4月20日)。
時効期間が迫っているときの対処法
3年の時効期間が迫っているときは「時効の完成猶予」あるいは「時効の更新」の方法をとることを検討しましょう。時効の完成猶予とは一定期間、時効完成までの期間を延長する方法、時効の更新とは時効期間を振り出し(0)に戻す方法です。
たとえば、時効の完成を猶予する方法の一つに「催告(内容証明郵便を使った離婚慰謝料請求)」がありますが、相手に催告すると催告があった日の翌日から起算して6か月間は時効が完成しないことになります。
たとえば、先ほどの例で、たとえば、令和8年8月12日に相手に催告した(催告日)という場合、時効満了日は令和9年2月11日、時効完成日は令和9年9月12日となります。
【離婚成立日】令和5年9月14日
【時効起算日】令和5年9月15日
【催 告 日】令和8年8月12日
【時効満了日】令和8年9月14日(×)
【時効完成日】令和8年9月15日(×)
【時効満了日】令和9年2月11日
【時効完成日】令和9年2月12日
一方、時効を更新する方法の一つに「債務の承認」がありますが、たとえば、令和8年8月12日に相手に対し離婚慰謝料を請求し、相手が離婚慰謝料の支払義務を認めたときは時効期間が振り出しに戻り、令和8年8月13日から新たに3年間の時効期間が進行します(時効満了(予定)日は令和11年8月12日)。
離婚慰謝料の時効に関するQ&A
最後に、離婚慰謝料の時効に関してよくあるご質問に回答します。
5年ほど前に一度不倫され、その後は不倫相手との関係は終わったようですが、この度離婚することになりました。離婚慰謝料を請求することはできますか?
離婚慰謝料の時効期間は離婚成立日の翌日から進行するため、時効は完成してないという点だけとらえると請求自体は可能です。もっとも、不倫相手との関係は終わっているとのことですので、不倫を理由とした離婚慰謝料は請求することはできないでしょう。離婚するからといって、必ず離婚慰謝料を請求できるわけではありませんので、今回のケースで離婚慰謝料を請求できるかどうかは、どのような理由で離婚慰謝料を請求するかにもよると思います。
7年ほど前に不倫され、現在も不倫相手との関係は続いているようです。離婚するにあたって離婚慰謝料を請求することはできますか?
上のケースと異なり、今回は、相手の不倫という明確な理由がある離婚慰謝料を請求しているものと思われます。また、離婚慰謝料の時効も完成していませんので、離婚慰謝料を請求することはできます。7年間という期間を考えると高めの離婚慰謝料を請求してもよいのではないでしょうか。
離婚してから4年が経って、元配偶者から「離婚前に不倫していた」と告白されました。離婚慰謝料を請求することはできますか?
離婚から3年以上が経過していますので離婚慰謝料を請求することは難しいかもしれません。もっとも、離婚原因慰謝料(不倫(不貞)慰謝料)の時効期間の起算点は「不倫の事実を知ったとき(から3年)」ですので、離婚原因慰謝料の時効は完成していません。不倫の事実を証明できる状態であれば、元配偶者や不倫相手に対して離婚原因慰謝料を請求することができます。
まとめ
今回のまとめです。
- 離婚慰謝料の時効の起算点は離婚成立時、時効期間は3年
- 離婚原因慰謝料、不貞(不倫)慰謝料の時効の起算点は離婚原因があった日、時効期間は3年
- 時効が完成しても、相手が援用しない間は権利は消滅せず慰謝料を請求できる
- 時効期間が迫っているときは、時効の完成猶予か時効の更新で対処する