• 相手が別居中に不貞行為をしていた場合、慰謝料を請求できますか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

別居中はお互いが窮屈な生活から解放され、ある意味自由な身になることができます。お互いの目も届きづらいことから、別居中に相手に不貞行為をされてしまう可能性も否定できません。

そこで、今回は、別居中に不貞行為された場合に慰謝料請求できるケース、できないケース、別居中に不貞行為されないための対処法などについて詳しく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

小吹 淳:R7司法書士試験合格者・行政書士
小吹 淳:R7司法書士試験合格者・行政書士
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別居中の不貞行為で慰謝料請求できるケース

別居中であっても夫婦はお互いに第三者と肉体関係をもってはいけない義務(貞操義務)を負っていますから、その義務に違反される(不貞行為される)と慰謝料請求できるのが原則です。このことを前提に、以下では、別居中に不貞行為をされた場合の中でも特に慰謝料請求が認められやすいケースをご紹介します。

別居して間もない

まず、別居してから間が空いてない場合です。

別居してから間が空いてない場合は、別居前から婚姻関係が破綻している場合を除き、まだ破綻していないことが多いと思われます。婚姻関係が破綻していなければ、夫婦はお互いに貞操義務を負っていますから、その間の不貞行為は慰謝料請求の対象になります。

別居中も交流が続いている

次に、別居中でも相手との交流が続いている場合です。

別居期間が比較的長期にわたる場合でも、普段から相手と連絡を取り合ったり、面会交流を定期的に行うなどして相手との交流が続いている場合は婚姻関係が破綻しているとは判断されづらいでしょう。そのような中で不貞行為をされた場合は、やはり慰謝料請求することができます。

別居前から不貞関係が続いていた

次に、別居前から不貞関係が続いていた場合です。

たまたま不貞関係が別居後にわかっただけで、不貞関係は別居前から続いていたということも考えられます。仮に、別居後は婚姻関係が破綻している状態でも、別居前の不貞行為については慰謝料請求できる可能性もあります。

一方的に別居された

次に、相手に一方的に別居された場合です。

相手に一方的に別居された場合も、あなたに修復の気持ちや見込みがある場合は婚姻関係が破綻しているとは言い難いからです。もっとも、長年別居状態を放置している場合には破綻状態を受け入れていると判断される可能性があり注意が必要です。なお、一方的な別居は悪意の遺棄にあたる可能性があります。

別居中の不貞行為で慰謝料請求できない場合

別居中に不貞行為されても慰謝料請求できない場合とは、不貞行為の時点ですでに婚姻関係が破綻している場合です。婚姻関係が破綻している状況では貞操義務を負わないからです。

もっとも、婚姻関係が破綻しているかどうかは、たとえば、

・離婚に向けた具体的な話し合いをしている
・別居期間が長い
・コミュニケーションがないなど夫婦としての実態がない

などの事情から判断されます。単に「破綻している」と思っているだけで、婚姻関係の破綻が認められるわけではありません。

別居中の不貞行為に対する慰謝料請求の流れ

慰謝料請求の流れは通常と同じです。すなわち、まずは証拠を集め、証拠を集めきった後相手に話を切り出します。話し合いの結果、合意できたら内容を離婚協議書などの書面にまとめます。不貞慰謝料は不倫相手にも請求できますが、離婚慰謝料は原則として請求することができません。

なお、別居中の不貞行為については、不貞の時期と婚姻関係が破綻した時期との前後関係がとても重要です。なぜなら、これまで述べてきたとおり、婚姻関係が破綻する前の不貞行為は慰謝料請求の対象となるのに対し、破綻後の不貞行為は慰謝料請求の対象とはならないからです。

不貞行為の証拠を集める際は、いつの不貞行為なのかについても明確にしておくことが重要です。不貞行為を証明する証拠は自分で集めることもできないわけではありませんが、尾行や張込みを必要とする調査が必要な場合は探偵に依頼した方がいいでしょう。

別居中に不貞行為されないための対策

別居中に不貞行為された場合の対処法の一つとしては慰謝料請求がありますが、そもそも別居中に不貞行為されないためにとれる対策はないのでしょうか?ここでは考えられる対策をご紹介していきたいと思います。

別居しない

まず、当たり前かもしれませんが、別居しないことが対策の一つといえます。

同居していればあなたの監視の目がとどきやすくなる分、相手も不貞行為をしづらくなるでしょう。また、別居してしまうと不貞行為につながる証拠を集めることが難しくなります。もし不倫の兆候が出始めているのであれば、黒か白かはっきりさせるまで別居してはいけません。

※別居してしまうと、相手から婚姻関係の破綻の主張をされてしまうおそれがあるため、別居しないことは相手に婚姻関係の破綻の主張をさせないための対策の一つにもなります。

別居の目的・期間について話し合っておく

次に、メリハリをつけた別居生活とするため、別居の目的・期間について相手と話し合い、認識を確認し合っておくことです。

もし、修復・同居の可能性が少しでもあるのなら、別居の期間(できれば短期間で)もはっきりと定めておくことが望ましです。別居の目的・期間を設定できたら別居合意書を作って書面化しておきましょう。

生活口座を管理する

次に、生活口座(パートナーの給料が振り込まれている口座)を管理することです。

不倫するにはお金が必要ですから、相手のお金をあなたが管理すれば不倫の歯止めになりえます。生活費も確実に受け取ることができます。別居前は妻が生活口座を管理していたという夫婦も多く、夫婦で合意できるのであれば、別居中、夫名義の口座を妻が管理することにしても問題はありません。

交流を続ける

次に、別居中はどんな形でも交流を続けることです。

交流が途絶えてしまうと、お互いのつながり徐々に薄れていくでしょう。あなたの目も届きづらいことから、別居中は不倫されやすい状況です。LINEだけでもいいので定期的に連絡をとる、子どもがいる場合は面会交流を行うなどして交流を絶やさないことが大切です。