- 再婚したら面会交流を禁止できますか?
- 子供と再婚相手が養子縁組した場合はどうですか?
- 再婚相手が面会交流させたくないと言ったらどう対応すればいいですか?
この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。
離婚した後再婚すると、「再婚相手との新生活を面会交流によって乱されたくない」、「子どもを精神的に混乱させたくない」との思いから、面会交流を禁止してしまうおうと考える方も少なくありません。
そこで、今回は、再婚したら面会交流を禁止、制限できるのか、再婚相手と子どもとが養子縁組した場合はどうか、再婚相手が面会交流に反対した場合はどう対応すればいいのか、などについて解説していきたいと思います。
この記事を書いた人
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離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
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再婚したら面会交流を禁止・制限できる?
まず、監護親(子どもと一緒に生活する親。子どもと一緒に生活しない親を「非監護親」といいます。)であるあなたの再婚のみをもって、面会交流を禁止・制限することはできません。これは、監護親が再婚しても、子どもと非監護親との親子関係に何ら影響を与えないからです。なお、非監護親が再婚した場合も同様です。
面会交流を禁止・制限した場合のリスク
再婚したのみをもって一方的に面会交流を禁止すると
- 養育費が支払われなくなる
- 調停を申し立てられる
- 履行勧告を受ける
- 再調停を申し立てられる
- 間接強制を受ける
といった問題に発展してしまう可能性があります。このような問題に対応するには手間・暇がかかりますので、対応を避けたいならば、できる限り面会交流を実施した方が無難といえます。
再婚後に面会交流を禁止・制限できるケース
このように監護親、非監護親の再婚のみをもって面会交流を禁止・制限することはできませんが、再婚後に面会交流を実施することが子どものためにならないと考えられる場合には面会交流を禁止・制限できることもあります。
実際に、監護親が再婚したときに、子どもに新しい家庭環境にはやく慣れさせたいとして非監護親との面会交流を拒否するケースが多くあります。一方、非監護親が再婚したときに子どもが監護親の意思を読み取ってか、子どもが面会交流を拒否するケースもあります。
再婚後の面会交流が子どものためになるか、ならないかは、子どもの意思、子どもの年齢、発達の程度、非監護親の認識の程度、子どもと非監護親とのこれまでの交流状況、子どもと再婚相手との関係などの事情をよく考慮した上で判断する必要があります。
なお、過去には、「再婚後の面会交流を認めることにより、監護親と再婚相手の葛藤に子を巻き込み、子の家庭の安定を害し、ひいては子の健全な育成を阻害するおそれがある」として面会交流を認めなかった裁判例(東京高裁昭和40年12月8日、大阪家裁昭和43年5月28日など)もあります。
養子縁組したら面会交流を禁止・制限できる?
では、あなたが再婚し、子どもと再婚相手とが養子縁組をした場合はどうでしょうか?
確かに、子どもと再婚相手とが養子縁組をすると、子どもと再婚相手との間に親子関係が発生しますから、面会交流を禁止・制限してもいいようにも思えます。しかし、養子縁組したからといって、子どもと非監護親との親子関係が消滅するわけではありません。
したがって、子どもと再婚相手とが養子縁組したことをのみをもって、面会交流を禁止・制限することはできません。
養子縁組で注意すること
子どもと再婚相手とが養子縁組する場合に注意したいのが養育費です。仮に、非監護親が子どもと再婚相手とが養子縁組したことを知った場合、非監護親から養育費を支払いを打ち切られる可能性があります。
確かに、子どもと再婚相手とが養子縁組すると再婚相手が子どもに対する第一次的な扶養義務を負うという考えがあることから、非監護親の養育費の支払義務は免除されてしまう可能性はあります。
また、子どもと再婚相手が養子縁組しなかったとしても(この場合は再婚相手に扶養義務なし)、再婚相手による養育の実態がある場合には、実質的には再婚相手が扶養義務を負っているとして養育費を減免されてしまう可能性があります。
再婚相手が面会交流させたくないと言ったら?
あなたは面会交流に前向きでも、再婚相手から反対されることが考えられます。
再婚相手もあなたと同じように、面会交流によって新しい生活や子どもと自分との関係、子どもの精神状態をかき乱されたくない、と考えているかもしれません。
しかし、再婚相手が面会交流に反対したからといって従う必要はありませんし、従うべきではありません。
再婚相手の言われるがまま従うと、先ほど述べたリスクを受ける可能性があります。面会交流はあくまで子どものためにあるものですから、子どもが心地よく面会交流をできるようサポートするのが再婚相手の役割でしょう。
もし、あなたが再婚前であれば、面会交流を実施していること(まだ実施していない場合はこれから実施するつもりであること)をはっきりと伝え、理解を得ておくことが大切です。
再婚したら面会交流や養育費の見直しを
再婚したら、再婚相手が子どもの直接的な親となりますから、子どもの心境に何らかの変化が生じることでしょう。そのため、面会交流については、子どもの年齢、発達の程度、これまでの面会交流の状況、子どもと非監護親との関係性などを踏まえて、次のいずれかの選択をしなければいけません。
- これまでどおり面会交流を続けていく
- いったん中断し、適切な時期を見計らって再開する
- 面会交流を終わらせる
ただ、相手あってのことですから一方的に決めるではなく、できれば再婚する前に相手に相談し、今後について話し合っていくことが必要です。仮にこれまでどおり面会交流を続けていく場合はルールの見直しが必要でしょう。面会交流を続けていくのか、終わるのか、どのようなルールに見直すのか相手と折り合いがつかないときは面会交流調停を申し立てることも検討しましょう。
また、面会交流のほか養育費の見直しも必要です。単なる再婚は養育費を減免する理由にはなりませんが、子どもと再婚相手が養子縁組をするとき、再婚相手に養育の実態があるときなどは非監護親からの減免請求に応じなければならない場合もあるでしょう。仮に請求されたときはまずは話し合いを行い、折り合いがつかないときは養育費の調停で話し合っていくことになります。
まとめ
今回のまとめです。
- 再婚のみを理由に面会交流を禁止、制限できない
- 子どもと再婚相手が養子縁組した場合も同じ
- 一方的に禁止、制限すると養育費が未払いになるなどのリスクがある
- 再婚相手の意見に惑わされず、子どものためになるかどうかを基準に
- 再婚予定がある場合は面会交流、養育費の見直しを検討しましょう