- 離婚慰謝料って何ですか?
- 不貞慰謝料って何ですか?
- 離婚慰謝料と不貞慰謝料との違いは何ですか?
この記事では、このような疑問や悩みにお応えします。
慰謝料と一言でいっても様々な呼び方をされることがあり、どの慰謝料がどんな慰謝料なのか、誰が誰に対して請求できる慰謝料なのか混乱されている方も多いのではないでしょうか?そこで、今回は、離婚慰謝料と不貞慰謝料をピックアップし、それぞれの意味や違いなどについて詳しく解説していきたいと思います。
この記事を書いた人
-
離婚・夫婦問題のみを取り扱う行政書士です。夫婦トラブルの相談(カウンセリング)、離婚・不倫関係の各種書面の作成などに対応しています。自身も2児の父親として子育て真っ最中です。「依頼してよかった」と思っていただけるよう、誠心誠意、最後まで責任をもって対応いたします。
→プロフィールはこちら
最新の投稿
- 2023年10月5日再婚子連れ再婚 | 養子縁組はする?しない?【届出書の記入例付き】
- 2023年10月4日再婚【最新】離婚後の再婚で注意したい再婚禁止期間とは?改正点も解説
- 2023年9月29日離婚慰謝料離婚の解決金とは?相場や注意点などを詳しく解説します
- 2023年9月29日養育費養育費保証サービスとは?メリット・デメリットを徹底解説します
離婚慰謝料とは
離婚慰謝料とは、相手(配偶者)の不貞などの有責行為によって離婚をやむなくされたことにより受けた精神的苦痛に対する賠償金です。離婚自体慰謝料とも呼ばれます。
離婚慰謝料では、たとえば、不貞という一個の有責行為を慰謝料請求の対象とするのではなく、相手の有責行為から離婚に至るまでの一連の経緯のすべての有責行為を慰謝料請求の対象とします。
離婚するときに配偶者に請求できる慰謝料が離婚慰謝料と考えておけば大丈夫です
不貞慰謝料とは
一方、不貞慰謝料とは、相手の不貞によって受けた精神的苦痛に対する賠償金です。離婚慰謝料と異なり、不貞という有責行為そのものを慰謝料請求の対象とします。不倫慰謝料、浮気慰謝料などとも呼ばれます。
相手と不倫相手とが連帯してあなたに支払義務を負うのが不貞慰謝料です。そのため、あなたは相手に全額の慰謝料を請求することも、不倫相手に全額の慰謝料を請求することもできます。
離婚慰謝料と不貞慰謝料との違い
では、具体的に離婚慰謝料と不貞慰謝料とではどのような違いがあるのかみていきましょう。
慰謝料の発生原因
まず、慰謝料の発生原因です。
離婚慰謝料は「離婚」が慰謝料の発生原因であるのに対して、不貞慰謝料は「不貞」が慰謝料の発生原因です。
時効期間の起算点
次に、時効期間の起算点(時効期間が進行する開始時点)です。
離婚慰謝料は離婚が慰謝料の発生原因であることから時効期間の起算点は離婚成立時です。一方、不貞慰謝料は不貞時が時効期間の起算点です。なお、時効期間はともに3年です。
関連記事
不倫相手に対する請求の可否
次に、不倫相手に対して慰謝料を請求できるかどうかです。
離婚慰謝料は特段の事情(※)がない限り、不倫相手に請求することができません。一方、不貞慰謝料は不倫相手にも相手(配偶者)にも請求できます。
※判例(最高裁判所平成31年2月19日)は、「不倫相手が夫婦を離婚させることを意図して、その婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がある場合」は、不倫相手に離婚慰謝料を請求することができると述べています。
離婚慰謝料と不貞慰謝料に関するQ&A
最後に、離婚慰謝料と不貞慰謝料に関するよくある疑問にお答えします。
配偶者に不貞慰謝料を請求できる?
先ほど述べたとおり、請求できます。もっとも、離婚しない場合に請求しても、配偶者と家計をわけていない限り実質的な利益を得ることができません。離婚しない場合は不倫相手にのみ請求することが一般的です。
配偶者に離婚慰謝料と不貞慰謝料の両方を請求することはできますか?
基本的に両方を請求することはできません。仮に離婚慰謝料を請求する場合、離婚慰謝料には不貞慰謝料も含まれており、不貞慰謝料を請求できるとなると二重取りとなってしまうためです。もっとも、DVなどの不貞以外の離婚原因がある場合は、配偶者にDVを離婚原因とする離婚慰謝料を、不倫相手に不貞慰謝料を請求することは考えられます。
配偶者に離婚慰謝料を払わせた後、不倫相手に不貞慰謝料を請求できますか?
請求はできますが、離婚慰謝料に不貞慰謝料が含まれている場合は払わせることは難しいでしょう。もっとも、先ほどのとおり、DVなど、不貞以外の離婚原因があって、配偶者に対する離婚慰謝料に不貞慰謝料が含まれていない場合は不倫相手に不貞慰謝料を払わせることは可能です。
不倫相手に不貞慰謝料を払わせた後、配偶者に離婚慰謝料を請求できますか?
請求はできますが、不貞が離婚原因の場合は払わせることは難しいでしょう。もっとも、上のケースと同じく、不貞以外にも離婚原因がある場合には払わせることは可能です。