・浮気の誓約書ってどんな書面ですか?
・誰が作るものですか?
・作るメリットは何ですか?
・作るまでにやるべきことは何ですか?
・浮気の誓約書にはどんな内容を書いたらいいですか?
・注意点はありますか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

この記事をお読みのあなたは、二度と相手に浮気させないようにと浮気の誓約書を作ろうと考えておられるのではないでしょうか?しかし、いざ作ろうと思っても、どのような手順で作ればよいのか、どんな内容を誓約書に盛り込めばよいのか分からない方も多いと思います。そこで、今回は、浮気の誓約書の書き方について詳しく解説していきたいと思います。

浮気の誓約書とは?

浮気の誓約書は、浮気の再発防止などを目的として作る書面です。

浮気の誓約書に書く内容はあなたと相手とが話し合って決めます。ただ、誓約書はあくまで相手が自分で決めた内容を書いた書面という点に特徴があります。

そのため、誓約書は相手からあなたに差し出させる形をとります。また、作る通数は1部で、その1部に相手がサインします(ただ、示談書と同じく2部作成し、それぞれにサインさせて1部を配偶者に渡してもかまいません)。

浮気の誓約書は誰が作る?

浮気の誓約書は、あなたが作ることをおすすめします。誓約書の性質からすれば、本来は浮気した相手が誓約書を作るべきです。

ただ、自分で作ることで、誓約書にどんな内容を盛り込めばよいのか、相手と何を話し合えばよいのか頭を整理できます。また、話し合いもあなた主導で進めることができ、最終的に納得のいく誓約書を作ることができるでしょう。

もっとも、誓約書に法的に問題がある内容が盛り込まれていたり、表現が曖昧だったりすると、誓約書がかえってトラブルの原因となる可能性があります。ご自分で誓約書を作った場合は、一度専門家のチェックを受けておくと安心です。

浮気の誓約書を作る理由

次に、浮気の誓約書を作る理由を簡単に確認しておきましょう。

浮気を防止するため

まず、いうまでもなく浮気を防止するためです。

誓約書には、浮気相手との関係解消や今後、相手にして欲しいこと、やって欲しくないこと、約束を破った場合の違約金のことなどを書くことができます。誓約書にこうしたことを書いておくことで、浮気に対する歯止めになります。

誓約内容を形に残すため

次に、相手があなたに対して誓約したことを形に残すためです。

誓約書を作らないでいると、何を誓約されたのか、したのか、時間の経過とともに記憶が曖昧になっていきます。そうすると、将来、相手との間で言った・言わないのトラブルとなる可能性が高いです。誓約書を作っておけばこうしたトラブルを防止できます。

証拠として使うため

次に、万が一、浮気された場合に慰謝料請求や離婚の証拠として使うためです。

誓約書で「二度と浮気しない」と誓約しておきながら、再び浮気することは将来の慰謝料の増額事由になりえます。また、不貞は裁判上の離婚理由ですから、相手が離婚を拒否したとしても誓約書を証拠の一つとして離婚請求できます。一方、相手からの離婚請求は原則として認められていません。誓約書を盾に離婚を拒否することもできます。

誓約書と示談書の違い~どっちを作る?

誓約書に似た書面として示談書があります。書面に盛り込む内容は似ていますが、次の違いがあります。

示談書は契約書だが、誓約書は契約書ではない
・示談書は双方が署名、押印するが、誓約書は相手のみが署名、押印する
・示談書に書かれた内容は双方を拘束するが、誓約書に書かれた内容は相手のみを拘束する
示談書はトラブルを終局的に解決するための書面だが、誓約書はそうではない

誓約書を作った方がいいケース

こうした違いから、誓約書を作ったいいケースとは次のようなケースが考えられます。

今のところ慰謝料を請求することまでは考えていないが、相手が誓約した内容は書面化しておきたい
相手が自分だけ署名、押印することに不満をもっている(あなたの署名、押印も求めてくる)

示談書を作った方がいいケース

一方、示談書を作った方がいいケースとは、次のようなケースが考えられます。

・慰謝料請求して一連のトラブルについて終止符をうちたい
・不倫相手にも慰謝料請求して関係を断ち切りたい

浮気の誓約書にサインさせるまでにやるべきこと

浮気の誓約書の最終目標は、相手に誓約書へサインさせることです。ただ、誓約書にサインさせるまでには次のことをやっておく必要があります。

①浮気調査して証拠を集める

まず、浮気を疑った段階で、浮気調査して証拠を集めることです。

浮気を疑った段階では、まだ浮気しているのかどうかはっきりしない段階です。それを白か黒かはっきりとさせるためには、浮気の証拠を集める必要があります。

また、浮気の誓約書を作るには相手が浮気を認めることが前提となりますが、証拠もなく相手を問い詰めてもなかなか認めようとはしないでしょう。

浮気の証拠を集めておけば精神的に優位な立場で話し合いに臨むことができます。万が一、相手が浮気を認めない場合は証拠を突きつけて浮気を認めさせることもできます。浮気を認めれば、浮気したという負い目から誓約書へのサインにも応じるでしょう。

②探偵に相談、依頼する

次に、探偵に相談、依頼することです。

浮気調査はご自分で行うことも可能ですが、中には自分で調査すべきでないケース、すなわち、探偵に依頼すべきケースもあります。

そうした場合に、無理に自分で調査して相手に調査していることがバレてしまい、証拠を集めることができなくなる事態だけは避けなければいけません。

ご自分で浮気調査するにあたっては、まずは、自分で調査できるケースなのか、探偵に相談、依頼すべきケースなのかをしっかり見極めることが必要です。

見切り発車で調査に手を出すと取り返しのつかないことにもなりかねません。少しでも自分で行う調査に不安を感じた場合は、はやめに探偵に相談だけでもすることが大切です。

③再スタートする意思を固める

次に、相手との関係を再スタートする意思を固めることです。

浮気調査によって浮気の事実が明らかになった場合は、ショックから離婚の二文字が頭をよぎることでしょう。ただ、この記事では、相手との関係を継続することを前提に話を進めています。浮気の誓約書は再スタートのための書面です。

相手との関係を再スタートするには、これまでのご自分の言動を振り返り、自分から変わっていくことが求められます。これまでどおりの対応だと、また浮気される可能性があるからです。

また、つい、相手からから変わるよう求めがちですが、相手を自分の理想どおりに変えることは簡単なことではありません。あなたが変われば、相手も変わります。その意思と覚悟があるかを確かめる必要があります。

④誓約書の原案を作る

次に、相手との関係を再スタートさせる意思を固めたら、誓約書の原案の作成にとりかかります

先ほど述べたとおり、誓約書の原案はあなたが作りましょう。誓約書の原案を作っておけば、話し合い当日では、それを相手に見せ、内容を確認してサインしてもらうだけで済む場合もあります。そうなれば、話し合いの負担軽減にもつながります。

誓約書にどんな項目、内容を盛り込むべきかは後ほど解説します。この段階では、あなたの希望が反映された内容になりがちですが、話し合いを切り出した後は、相手と盛り込む項目、内容についてよく話し合い、相手から修正を求められた場合は柔軟に対応することも必要です。

⑤話し合いでサインを求める

最後に、話し合いの準備が整った段階で、相手に話し合いを切り出します

話し合いを切り出す前は、話し合いをどのような形で行うのか、すなわち、夫婦だけで行うのか、間に誰か入れるのか、子どもを誰に預けるのか、場所はどこにするのか、などについてもしっかり検討しておく必要があります。また、切り出すタイミングや切り出し方にも注意が必要です。

話し合いを切り出した後は、まずは相手に浮気(不貞)を認めさせます。そして、浮気を認めた場合は、浮気の詳細な事実関係について聴き出します。また、相手があなたとの今後の関係をどう考えているのかも確認する必要があります。相手が「やり直したい」というのであれば、誓約書にサインを求めます。

浮気の誓約書の書き方

それでは、ここからは誓約書に書くべき内容についてみていきましょう。まずは、例文で全体をご確認いただき、その後、各項目の詳細について解説していきます。

誓約書【例文】

誓約書

1.私、山田太郎(以下「甲」という。)は、田中桜子(以下「乙」という。)と継続して肉体関係をもったこと(以下「本件不貞行為」という。)を認め、妻、山田花子(以下「丙」という。)に対し、心より謝罪します。

2.甲は、丙に対し、今度二度と、乙と直接会うことはもちろん、メール、電話、その他のあらゆる手段を用いて接触しないことを誓約します。

3.甲は、乙以外の異性とも過度に親しくすることを控え、浮気とみなされる一切の行為を行わないことを誓約します。

4.甲は、丙に対し、本件不貞行為にかかる慰謝料として、金100万円を支払義務があることを認めます。

5.甲が前2項に違反した場合は、甲は、丙に対し、違約金として金50万円を支払います。

6.甲は、再度不貞行為をしたときは、丙の申し出による離婚協議に誠実に応じます。

7.甲は、将来、丙と離婚することになった場合には、子〇〇〇〇の親権者を丙とすることにつき異議を唱えません。

8.甲は、丙との良好な夫婦関係を維持するため、次のことを遵守することを誓約します。
⑴ 今後一切、風俗店、キャバクラ店など異性と交流を図る場に行かない。
⑵ 丙及び子に対して、暴力・暴言などの虐待や虐待が疑われる行為を行わない。
⑶ ・・・・・
⑷ ・・・・・

以上

令和〇年〇月〇日

署名:山田太郎㊞

①不貞行為、謝罪

1.私、山田太郎(以下「甲」という。)は、田中桜子(以下「乙」という。)と継続して肉体関係をもったこと(以下「本件不貞行為」という。)を認め、妻、山田花子(以下「丙」という。)に対し、心より謝罪します。

①は誓約書に必須の項目です。最低限、相手が浮気相手と不貞関係(もしくは、肉体関係)をもったことを認めることは書いてください。単なる不倫関係、浮気関係では基本的に慰謝料請求することはできません。「不貞関係」という言葉を使うことができるかどうかがポイントです。

相手が肉体関係、不貞関係という言葉を使うことを嫌う場合は、代わりに「不適切な関係」という言葉に置き換える方法もあります。ただ、あとで肉体関係をもったのか、肉体関係を伴わない浮気なのか、解釈をめぐってトラブルとなる可能性もありますので、できれば使うのは避けた方が無難です。

②浮気相手との関係解消、接触禁止

2.甲は、丙に対し、今度二度と、乙と直接会うことはもちろん、メール、電話、その他のあらゆる手段を用いて接触しないことを誓約します。

②も誓約書に必須の項目です。メール、電話以外でも接触させないよう「その他のあらゆる手段を用いて」という文言を書いた方がよいでしょう。

また、相手のスマホに浮気相手のメールアドレス、電話番号、アカウントが残ったままだと再び関係をもつ可能性があります。新しいスマホに乗り換えさせるか、あなたの前の前で浮気相手のメールアドレスなどを削除させることが必要です。

相手と浮気相手との関係を完全に絶つには相手にだけ関係解消、接触禁止を誓約させるだけでは不十分です。浮気相手にも同じ誓約をさせる必要があります。

③浮気相手以外の異性との付き合い

3.甲は、乙以外の異性とも過度に親しくすることを控え、浮気とみなされる一切の行為を行わないことを誓約します。

浮気防止のためには浮気相手との関係を解消する、接触を禁止するだけでは足りません。浮気相手以外の異性との関係についても誓約させておく必要があります。その意味で③も必須の項目といえます。

ただ単に「浮気」だけ書くと、後日、浮気の解釈をめぐってトラブルとなる可能性があります。トラブルを避けたい場合は、浮気の定義を明確にしておくことも一つの方法です。

④慰謝料

4.甲は、丙に対し、本件不貞行為にかかる慰謝料として、金100万円を支払義務があることを認めます。

離婚しない場合は相手には慰謝料請求しないことが一般的ですから、➃は必須の項目ではありません。もっとも、盛り込んでおけば、浮気に対する一定の歯止めにはなります。また、万が一、将来浮気され離婚する場合には、相場よりも高い慰謝料を請求しやすくなります。

⑤違約金

5.甲が前2項に違反した場合は、甲は、丙に対し、違約金として金50万円を支払います。

⑤は、浮気相手との関係解消、接触禁止の実効性を高めるために必須の項目です。違約金は「損害賠償額の予定」と推定されることから、違反事実さえ証明できれば直ちに金銭の支払を請求できるというメリットがあります。

金額は高ければ高いほど効果的ですが、あまりにも高額だと相手の同意を得られませんし、常識を超えた部分については無効とされてしまう場合もあります。金額の設定には注意が必要です。

上の例文だと、相手と浮気相手が複数回、接触した場合でも違約金は50万円だけだと解釈されかねませんので、そうした事態を防止したい場合は「~丙に対し、接触1回につき、違約金として〇〇万円を支払います。」などと、1回の接触ごとに違約金が発生するという工夫をするとよいでしょう。

⑥再び浮気したら離婚協議に応じること

6.甲は、再度不貞行為をしたときは、丙の申し出による離婚協議に誠実に応じます。

⑥は誓約書に必須の項目ではありませんが、相手に「離婚するつもり」という意思表示をしておき、相手に離婚協議に応じることを誓約させることで、夫婦間に緊張感が生まれ浮気防止の効果も期待できます。

よく書いてしまいがちなのが、「~離婚します。」、「~離婚に応じます。」といった断定的な内容です。しかし、相手が離婚に合意するかどうかは、あくまで将来離婚するとなった時点でなければ判断のしようがありません。

そのため、今の時点で将来離婚に合意すること、応じることを誓約させる内容、すなわち、離婚の予約に関する誓約は無効とされる可能性が高く、例文のように「離婚協議に応じる。」という表現にとどめておいた方が無難です。

なお、不貞行為などの有責行為をした相手の離婚請求は基本的には認められていません。

⑦離婚条件

7.甲は、将来、丙と離婚することになった場合には、子〇〇〇〇の親権者を丙とすることにつき異議を唱えません。

⑦も⑥と同じく必須の項目ではありませんが、今の時点で話し合っておくことで、あなたの怒りや本気度を相手に伝えることができますし、万が一将来離婚となったときに揉めずに離婚できるかもしれません。

もっとも、離婚条件はいざ離婚するとなった時点の状況をベースに決めていくものです。今と将来とでは状況が異なっていることがほとんどでしょうから、将来のことを今決めておくことがどれだけ有効なのかは考える必要があります。

たとえば、養育費の金額を決める際はに夫婦の年収を一つの基準としますが、夫婦の年収一つとってみても今と将来とでは状況が異なることがほとんどのため、今養育費の金額を取り決めていたとしても将来変更しなければならない可能性が高いです。

もし、離婚条件に関する条項を設けるとしてもざっくりとした内容にとどめておき、詳細は離婚することになってから取り決めることにした方がよいかもしれません。

⑧その他、夫婦の事情に合わせた誓約事項

8.甲は、丙との良好な夫婦関係を維持するため、次のことを遵守することを誓約します。
⑴ 今後一切、風俗店、キャバクラ店など異性と交流を図る場に行かない。
⑵ 丙及び子に対して、暴力・暴言などの虐待や虐待が疑われる行為を行わない。
⑶ ・・・・・
⑷ ・・・・・

②、③のほかに、相手に守って欲しいことがあればここで盛り込むことができます。浮気だけ解決すればいいというご夫婦は少なく、浮気のほかにも

・性風俗の利用
・暴力
・借金、ギャンブル、浪費
・飲酒

など、夫婦で話し合わなければならないことは多いはずです。

この機会に相手にやって欲しいこと、反対にやって欲しくないことをきちんと伝え、誓約書に盛り込んでおけば夫婦関係の修復にもつなげることができます。

なお、一般常識を逸脱した内容は無効となる可能性がありますので注意が必要です。また、あまりに絞めつけ感が強い内容だと逆効果となってしまう可能性もあります。相手の意見にもよく耳を傾け、実効性のある内容を盛り込むよう心がけましょう。

⑨書類の作成年月日、相手の署名・押印

(日付)令和〇年〇月〇日

(署名・押印)〇〇〇〇 ㊞ 

 ⑨は必須の項目です。日付は相手にサインしてもらう日とするのが一般的です。署名は自筆とし、印鑑は三文判・認印でもかまいませんが、できれば実印の方が安心です。

浮気の誓約書【テンプレート】

以上の内容に沿った誓約書のテンプレートがこちらです。

(準備中)

浮気の誓約書を作る過程で注意すべきこと

最後に、浮気の誓約書を作る際や相手にサインさせる際の注意点をみていきましょう。

内容によっては無効となる場合がある

まず、先ほど述べたとおり、相場を大幅に超える慰謝料や違約金や社会常識を逸脱した内容は無効となる場合がありますので注意が必要です。誓約書に盛り込む内容はあくまで常識の範囲内の内容にとどめ、最終的には、相手とよく話し合って決めることが大切です。

話し合いは冷静に

次に、話し合いを冷静に行うことです。話し合いではつい感情的になってしまいがちです。しかし、あなたが感情的になると相手も感情的になって建設的な話し合いが難しくなります。お互いが冷静に話し合うための事前準備も大切です。

内容を丁寧に確認・理解させる

次に、誓約書の内容を相手にもよく確認・理解させることです。先ほど述べたとおり、誓約書はあなたが作成すべきですが、本来、誓約書は相手が作成すべきものです。相手が誓約書の内容をよく理解していなければ誓約書を作った意味がありません。内容をよく確認させてからサインを求めましょう。

署名(サイン)・押印を強制しない

最後に、署名・押印を強制しないことです。もしあとで強制したことがわかると、誓約書そのものが無効となる可能性があります。署名・押印しないからといって、暴力を振るったり、脅迫めいたことを言って無理やりサインさせてはいけません。

後日、「強制的にサインさせられた。」と言われることを防ぐため、話し合いは二人で行う、ボイスレコーダーや隠しカメラで話し合いの場面を録音・録画しておく、といった対策を講じるのも一つの方法です。