不倫・浮気をされたとき、相手に慰謝料請求することを考える方もおられるでしょう。
しかし、相手に慰謝料請求するには、相手が不貞行為を行ったことが原則です。では、そもそもこの「不貞行為」とは何でしょうか?どこからが不貞行為で、どこまでからが不貞行為ではないのでしょうか?
今回は、慰謝料請求するにあたって大事な不貞行為の意味などについて詳しく解説します。
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不貞行為とは?
不貞行為とは、配偶者以外の人と自由な意思で肉体関係をもつことをいいます。
・配偶者以外の人
・自由な意思
・肉体関係をもつ
の3点がポイントです。以下、詳しく解説します。
配偶者以外の人
配偶者以外の人とは、法律上の婚姻関係にある人(配偶者)以外の人という意味です。
婚姻関係にある人はお互いに貞操義務を負っていると考えられています。貞操義務とは配偶者以外の人と肉体関係をもたない義務です。法律に貞操義務について明記した規定はありません。しかし、不貞が裁判上の離婚事由とされていることから、夫婦はお互いに貞操義務を負っていると考えられています。
自由な意思
自由な意思でとは、誰からも強制されることなく本人の意思に基づいて、という意味です。
したがって、たとえば、本人が相手から暴力を加えられたり、脅迫されたりして相手と肉体関係をもった場合、相手の行為は不貞行為にあたりますが、本人の行為は不貞行為にはあたりません。一方、本人が相手に暴力を加えたり、脅迫したりして肉体関係をもった場合、本人の行為は不貞行為にあたりますが、相手の行為は不貞行為にあたらないということになります。
肉体関係をもつ
ここでいう肉体関係とは、性交のほか性交類似行為も含まれます。
性交とは、陰茎を膣内に挿入する行為をいいます。性交類似行為とは、実質的にみて、性交と同視できるような性的行為をいいます。たとえば、手淫、口淫、お互いの性器を触るなどの性器の結合を伴わない性的な接触のほか、同性間の性的行為も性交類似行為にあたるとした裁判例(東京地裁令和3年2月16日)もあります。
不貞行為はどこから?
上の基準によると、不貞行為にあたる行為とあたらない行為は次のようにわけることができます。
不貞行為にあたる行為
不貞行為にあたる(推認させる)行為としては以下の行為が考えられます。
①性交した
②性交類似行為をした
③ラブホテルに長時間滞在した
④宿泊を伴う旅行をした
⑤自宅で一夜を過ごした
⑥同棲している
回数やどういった経緯、気持ちで不貞行為に及んだのかは関係ありません。たとえ、1回きりでも不貞行為にあたります。また、お互いに恋愛感情があってもなくても不貞行為にあたります。
③~⑥は直接的には不貞行為とはいえませんが、不貞行為を強く推認させる行為といえます。不貞行為は通常密室で行われますから、本人や不倫相手が自白しない限り、①、②を証明することは難しく、自白がない以上は③~⑤を証明する証拠を集めていくことになります。
なお、風俗店で性的サービスを受ける行為も形式的には不貞行為にあたりますが、生活に影響を与えない程度の利用であれば、慰謝料請求や離婚請求が認められることが難しいでしょう。
不貞行為にあたらないケース
一方、以下の行為は不貞行為にはあたりません。肉体関係があったとはいえないからです。
①キスした
②ハグした
③手をつないだ
④電話、LINE・メールをした
⑤SNSでやり取りした
⑥会った
⑦食事した
⑧デートした
⑨誕生日にプレゼントを渡した
⑩婚約をした
⑪婚約指輪を渡した
もっとも、こうした行為を頻繁に重ねた結果、夫婦関係を悪化させ、配偶者に精神的苦痛を与えたといえるような場合には、慰謝料請求や裁判上の離婚請求が認められることもあります。
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不貞行為と不倫・浮気との違い
不貞行為の意味は先ほど述べたとおりです。また、不貞行為は裁判上の離婚事由の一つです。本人が離婚を拒否したとしても、裁判で本人が不貞行為をした事実を証明し、裁判官がそれを事実と認めれば、裁判で離婚が成立する可能性もあります。
一方、不倫・浮気はパートナーへの気持ちが離れ、第三者に気持ちが移ってしまうという意味で使われることが多いように思います。そのため、不貞行為よりも意味が広く、電話やLINE・メールをしただけでも不倫・浮気ととらえる人も多いと思います。ただ、不倫・浮気は裁判上の離婚事由ではありません。
慰謝料請求、離婚を考えたら証拠を集めることが先決
不貞行為や不倫・浮気での慰謝料請求、離婚を考えたら、まずは証拠を集めることが先決です。
必要十分な証拠をつかんでおけば、相手に言い逃れをさせなくできます。その分、話し合いを有利にスムーズに進めることができ、早期に終わらせることができます。話し合いで終わらせることができれば、弁護士費用や裁判費用の節約や精神的な負担を軽減することもできます。
もっとも、不貞行為や不倫・浮気の証拠を集めることは簡単ではありません。そもそも、不貞行為や不倫・浮気はバレないように行われているからです。また、先ほど述べたとおり、不貞行為は通常密室で行われ、直接的な証拠を集めることはさらに難しいといえます。
直接的な証拠を集めることが難しい場合は、間接的な証拠を集める、不貞行為の証拠を諦めて不倫・浮気の証拠を集めることにシフトする、慰謝料を諦めて財産分与で多く請求するなど、様々な戦術が考えられます。お困りの場合は専門家に相談してみるのも一つの方法です。