養育費の相場 | 気になる平均額や調べ方を図表を使いながら丁寧に解説

養育費の相場はどれくらいですか?
みんなはどれくらいもらっていますか?
相場はどうやって調べたらいいですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

養育費で一番にネックになるのが金額です。あなたの希望どおりに決めることはできず、いったいいくらに設定したらよいかお悩みの方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、養育費の金額を決めるにあたって目安にできる養育費の相場や相場の調べ方などについて詳しく解説していきたいと思います。

養育費とは

養育費とは、親が未成熟子に対して負担しなければならない費用のことです。
未成熟子とは、年齢に関係なく、精神的にも経済的にも自立できない子のことをいいます。一般的には、高校を卒業するとき、20歳になるとき、大学を卒業するときが未成熟子を卒業するとき、を養育費を受け取る終期とすることが多いです。
養育費は親の子供に対する扶養義務を根拠に発生する費用です。そして、離婚したから、子供と離れて暮らすことになったからといって、子供と離れて暮らす親(非監護親)の子供に対する扶養義務が免除されるわけではありません。したがって、離婚後も、非監護親に対して養育費の支払いを請求することができるのです。

養育費の平均相場

養育費の金額を決めるにあたって気になるのが、「他の人が毎月どれくらいの金額を受け取っているのか?」ということではないでしょうか?
この点、厚生労働省が公表している「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によりますと、平成28年(2016年)の養育費の平均月額は母子世帯が43,707円父子世帯が32,550円という結果でした。子供の数別にみると、

子供の数母子世帯父子世帯
1人38,207円29,375円
2人48,090円32,222円
3人57,739円42,000円
4人68,000円-

という結果で、子供が増えたからといって必ずしも倍額を受け取っているわけではありません。また、あくまで平均の額ですから、平均以下の額しか受け取れない場合もあることに注意が必要です。

養育費の相場の調べ方

養育費の相場を知るには、家庭裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表(以下「養育費算定表」といいます。)」を参考にすることが一般的です。
養育費算定表は、

①養育費・子1人表(子0~14歳)
②養育費・子1人表(子15歳以上)
③養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
④養育費・子2人表(第1子15歳以上、第2子0~14歳)
⑤養育費・子2人表(第1子及び第2子15歳以上)
⑥養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子0~14歳)
⑦養育費・子3人表(第1子15歳以上、第2子及び第3子0~14歳)
⑧養育費・子3人表(第1子及び第2子15歳以上、第3子0~14歳)
⑨養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子15歳以上)

の9種類があり、それぞれ養育費を受け取る側(権利者)と養育費を払う側(義務者)の年収、子供の数、年齢に応じて、月々に受け取ることができる相場(目安)の金額が一目でわかるようになっていますので、まずはあなたの状況に合った養育費算定表を選びましょう。

具体例を使って解説

それでは、ここからは、次のケースを使って、養育費算定表の見方を解説していきます。

夫:会社員、年収715万円
妻:会社員、年収192万円
子:長女15歳、長男10歳

まず、今回のケースでは、「➃養育費・子2人表(第1子15歳以上、第2子0~14歳)」の養育費算定表を使います。

養育費算定表の縦軸が義務者、横軸が権利者の年収です。年収は給与所得者(会社員、パート、アルバイトなど)の年収と自営業者(個人事業主、フリーランスなど)の年収にわかれています。
給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」が年収にあたります。副業などで給与以外の収入がある場合はそれも加算します。一方、自営業者の場合、確定申告書の「課税される金額」に基礎控除や青色申告控除、専従者給与などの実際に支出されていない費用を加算した額が年収にあたります。

養育費算定表を選んだら、次の順で養育費の相場を調べます。
【手順①】
まず、義務者は会社員ですので縦軸の「給与」の箇所を見ます。上にいくと「700」と「725」がありますが、当てはまる数値がない場合は近い数値を選びます。715に近い数値は「725」ですので、義務者の年収は「725」を基準とします。
【手順②】
権利者の方も手順①と同様に見ると「200」が基準となります。
【手順③】
最後に義務者の年収から横に、権利者の年収から縦に線を伸ばします。今回のケースでは「725」から横に伸ばし、「200」から縦に伸ばし、交差した箇所が養育費の相場です。今回のケースでは「10~12万円」が養育費の相場となります。

なお、子供が2人以上で15歳以上と0~14歳の子供が混在する場合は、

15歳以上の子供1人の養育費の相場
=子供全員分の養育費の相場×90÷(55+90)

0~14歳の子供1人の養育費の相場
=子供全員分の養育費の相場×55÷(55+90)

の計算式で1人あたりの養育費の額を算出することができます。
今回のケースで、仮に、子供全員分の養育費を10万円にした場合、長女の養育費の相場は「10×90÷(55+90)」で6万円、長男の養育費の相場は4万円となります。

養育費算定表はあくまで目安

本来、養育費の金額を決めるにあたっては、収入はもちろん、税金、保険料など様々なことを考慮しなければならず計算が複雑です。
養育費算定表はこの複雑な計算をしなくても済むよう、誰でも一目で養育費の金額がわかるように便宜的に作られたもので、あくまで子供の養育にかかる一般的な費用の額を示しているにすぎません。
そのため、養育費の額を決めるにあたっては養育費算定表にとらわれすぎることなく、個々のケースに応じた適切な金額を決めなければなりません。

【年収、子供の数別】養育費の相場

ここからは、権利者の年収と子供の数別の養育費の相場をみていきましょう。なお、子供の年齢については14歳以下の場合と15歳以上の場合にわけられています。

権利者の年収「0円」、子供1人の場合

まず、子供が14歳以下の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円4~6万円4~6万円
年収500万円6~8万円8~10万円

年収が300万円の場合は義務者が会社員でも自営業でも同じですが、年収が500万円の場合は自営業者の方が高くなることがわかります。
次に、子供が15歳以上の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円4~6万円6~8万円
年収500万円8~10万円10~12万円

子供が15歳以上になると、食費や教育費などにお金がかかってきますから、養育費の相場は高額となる傾向です。

権利者の年収「0円」、子供2人の場合

まず、子供が2人とも14歳以下の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円4~6万円6~8万円
年収500万円8~10万円10~12万円

14歳以下の子供が1人の場合と比べると、義務者が会社員で年収が300万円の場合を除き、2万円ほど相場が高くなっていることがわかります。
次に、子供が2人とも15歳以上の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円6~8万円8~10万円
年収500万円10~12万円14~16万円

14歳以下の子供が1人の場合と比べると、2万円~4万円ほど相場が高くなっていることがわかります。

権利者の年収「200万円」、子供1人の場合

続いて、権利者(会社員)の年収が200万円で、子供が1人の場合、2人の場合をみていきましょう。まず、14歳以下の子供が1人の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円2~4万円2~4万円
年収500万円4~6万円6~8万円

権利者に年収がある分、年収が「0円」の場合と比べて養育費の相場は2万円ほど低くなっています。
次に、子供が15歳以上の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円2~4万円4~6万円
年収500万円6~8万円7~9万円

子供が14歳以下の場合と比べて、義務者が会社員で年収300万円の場合を除き、2万円ほど相場が高くなっていることがわかります。

権利者の年収「200万円」、子供2人の場合

次に、子供が2人とも14歳以下の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円2~4万円4~6万円
年収500万円6~8万円8~10万円

14歳以下の子供が1人の場合と比べると、義務者が会社員で年収が300万円の場合を除き、2万円ほど相場が高くなっていることがわかります。
一方で、権利者の年収が「0円」の場合と比べると、2万円ほど相場が安くなっていることがわかります。
次に、子供が2人とも15歳以上の場合の養育費の相場は次のとおりです。

義務者の年収義務者が会社員義務者が自営業
年収300万円2~4万円5~7万円
年収500万円6~8万円10~12万円

15歳以上の子供が1人の場合と比べると、義務者が会社員の場合を除き、2万円ほど相場が高くなっていることがわかります。
一方で、権利者の年収が「0円」の場合と比べると、2万円~4万円ほど相場が安くなっていることがわかります。

養育費の未払いを防止するには?

せっかく養育費について取り決めたとしても、未払いとなってしまっては意味がありません。未払いとならないためには、事前・事後にとりうる対策をしっかり頭に入れ、実践することが必要です。以下の記事では、養育費が未払いとならないための事前・事後の対策について詳しく解説しています。

養育費は変更される?

一度取り決めた養育費の額は、そのまま支払いの終期まで同じままとは限りません。離婚後は、再婚、会社の倒産、大病などによる失業、転職、収入減、など、様々な事情の変化が起こることが想定され、それに伴って養育費の額を変更(増額・減額)しなければならない場合も出てくるでしょう。
もっとも、いかなる場合でも変更しなければならないというわけではありません。まずは、いかなる場合に変更できるのか、変更に応じなければならないのかをしっかり把握しておくことが大切です。

まとめ

養育費の相場をみて「少ない」、「これでは生活していけない」と感じた方も多いのではないでしょうか?それは、養育費は相手が一方的に負担する費用ではなく、親がその資力に応じて平等に分担すべき費用だからです。
もっとも、繰り返しになりますが、今回お示しした養育費の相場はあくまで目安にすぎず、必ず相場の範囲内で決めなければならないというわけではありません。相手が合意すれば、相場以上の養育費を受け取ることも可能ですから、まずはご自分の意見をしっかり固めて相手と交渉してみることからはじめている必要があります。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。