【行政書士解説】離婚協議書を自分で作成する手順・方法とは?

  • 離婚協議書は自分で作成できる?
  • 離婚協議書を自分で作成する手順・方法を知りたい

この記事では上記のような疑問、悩みにお応えします。

離婚協議書とは夫婦で話し合って合意した内容をまとめた書面で、今後のためにも「自分で作成したい」という方も中にはおられるのではないでしょうか?

そこで、今回は、実際に依頼を受けて離婚協議書を作成している行政書士が、離婚協議書を自分で作成する手順や方法、離婚協議書のサンプル、離婚協議書にまつわる疑問にお応えするとともに、離婚協議書から離婚公正証書にする方法についても詳しく解説していきます。

ぜひ今後の参考にしていただけると幸いです。

離婚協議書を作成するまでの手順

それではさっそく、離婚協議書を作成するまでの手順からみていきましょう。

何を話し合うかを決める

離婚するにあたっては、親権は必ず相手と話し合って取り決めておく必要があります。その他の項目は任意ですが、離婚後の負担を減らすためにも、できる限り離婚前に話し合って取り決めておきたいところです。そこで、まずは、ご自分で相手と話し合いたい項目を決めておきましょう。なお、離婚慰謝料は離婚時から3年、財産分与は離婚時から2年という時効があることにも注意が必要です。

【離婚時に話し合う項目(一例)】
・親権
・養育費
・面会交流
・慰謝料
・財産分与
・婚姻費用(別居している場合)
・年金分割
・公正証書の作成
・通知義務
・禁止事項
・清算条項
・離婚届の提出者、時期

離婚協議書の案を作成する

相手と話し合いたい項目を決めたら、さっそく離婚協議書の案を作成していきます。この段階で離婚協議書の案を作成していくことで、相手とどんなことを話し合って取り決めればよいのかが具体的にわかるようになり、実際の話し合いでは建設的な話し合いができやすくなります。はじめは何を、どう書いていいのかわからないと思いますので、まずはネット上に掲載されてあるサンプルなどを見ながらイメージを膨らませて作成にチャレンジしてみましょう。

行政書士こぶき
行政書士こぶき

ただし、ネットに掲載されてあるサンプルは、夫婦のご事情に合った内容とはなっておらず、丸写しは大変危険です。作成に困った場合は専門家に相談するようにしてください。

離婚協議書の案をもとに話し合う

離婚協議書の案を作成したら相手に話し合いを切り出し、まずは離婚に合意できるかを確認します。相手が離婚に合意しなければ、それ以上話し合いを進めることはできません。一方、相手が離婚に合意する場合は内容について話し合っていきます。この段階の離婚協議書の案は、あなたの希望だけを盛り込んだ一方的な内容になっていますから、相手の要望にも耳を傾け、譲歩できる点は修正するなどの柔軟な対応が求められます。結論を急がず、お互いが納得のいくまで時間をかけて話し合います。

行政書士こぶき
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離婚の話し合いを切り出すのは、離婚準備を終えてからにしましょう。

正式な離婚協議書を作成する

話し合いの結果、すべての項目について合意できたら、離婚協議書の案をもとに正式な離婚協議書(2部)を作成します。離婚協議書が複数枚にわたる場合は、改ざん防止のために契印を押しておきましょう。

正式な離婚協議書を作成できたら再度協議の場を設け、相手に離婚協議書の内容を確認してもらいます。相手がすべての内容に合意したら、離婚協議書の最後の欄に署名、押印してもらい、1部は相手に渡し、1部はあなたが保管しておきます。離婚協議書は将来トラブルとなった場合に証拠として使うことができる書面ですので、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

離婚協議書に盛り込む内容

離婚協議書には、「何を話し合うかを決める」でご紹介した項目のうち、夫婦で合意できた項目を盛り込みます。もちろん、夫婦で合意できれば上記でご紹介した項目以外の項目を盛り込むことも可能です。

離婚協議書のサンプル

それでは、ここで離婚協議書のサンプルをご紹介します。ただし、離婚協議書に盛り込む内容は、ご夫婦それぞれのご事情や要望などによって異なります。サンプルの丸写しは絶対にやめ、適宜修正しながら、ご夫婦のご事情や要望に沿った離婚協議書の完成を心がけてください。作成に困った場合は専門家に相談しましょう。

離 婚 協 議 書

第1条(離婚等の合意)

 夫〇〇〇〇(以下「甲」という。)と妻〇〇〇〇(以下「乙」という。)は、協議離婚する(以下「本件離婚」という)こと及びその届出は乙において速やかに行うことに合意した。

第〇条(親権者)

 甲及び乙は、甲乙間の長男〇〇〇〇(平成〇〇年〇月〇日生、以下「丙」という。)及び長女〇〇〇〇(令和〇年〇月〇日生、以下「丁」という。)の親権者をいずれも乙と定め、乙において監護養育する。

第〇条(養育費)

 甲は、乙に対し、丙及び丁の養育費として、令和〇年〇月から丙及び丁がそれぞれ満20歳に達する日の属する月まで、各人について1か月金3万円ずつを、毎月末日までに、乙の指定する金融機関の預金口座に振り込んで支払う。振込手数料は、甲の負担とする。

第〇条(面会交流)

 乙は、甲が丙及び丁と面会交流することを認める。その面会の回数は1か月1回程度を基準とし、具体的な回数、日時、場所及び方法については、丙及び丁の利益を最も優先して考慮し、甲及び乙が誠実に協議してこれを定める。

第〇条(慰謝料)

 甲は、乙に対し、本件離婚による慰謝料として、金〇〇万円の支払義務のあることを認め、これを令和〇年〇月〇日までに、乙の指定する金融機関の預金口座に振り込んで支払う。振込手数料は、甲の負担とする。

第〇条(財産分与)

 甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、次の不動産を譲渡することとし、同不動産について、上記財産分与を原因として、乙のために所有権移転手続をする。登記手続費用は、乙の負担とする。

第〇条(通知義務)

 甲は、勤務先、住所又は連絡先(電話番号等)を変更したときは、直ちに乙に通知する。乙は、住所、連絡先(電話番号等)又は上記の金融機関の預金口座を変更したときは、直ちに甲に通知する。

第〇条(禁止事項)

 甲及び乙は、本件離婚成立後に、理由の如何を問わず、本件離婚に関し相手方を誹謗中傷してはならない。

第〇条(清算条項)

 甲及び乙は、本件離婚に関し、以上をもって全て解決したものとし、今後、財産分与、慰謝料等名目のいかんを問わず、互いに何らかの財産上の請求をしない。また、甲及び乙は、本公正証書に定めるほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。

第〇条(公正証書)

 甲及び乙は、本協議書と同趣旨の強制執行認諾文言付公正証書を作成することに合意する。ただし、公正証書作成費用は、甲乙折半で負担する。

離婚協議書は公正証書にした方がいい? 

協議離婚する場合は離婚協議書のほかに離婚公正証書を作成することもできます。以下では、そもそも離婚公正証書とは何か、作成するメリット・デメリットは何か、どういう手順で作成するのかについて解説していきます。

離婚公正証書とは?

離婚公正証書とは離婚協議書に盛り込んだ内容と同様の趣旨の内容を盛り込んだ書面です。正式には「離婚給付等契約公正証書」といいます。離婚公正証書は公証役場に勤める公証人が作成します。離婚協議書と異なり誰でも作成できるわけではありません。離婚公正証書の内容は公証人が考えます。離婚協議書に盛り込んだ内容が、そのまま離婚公正証書に反映されるわけではありません。

メリット・デメリット

離婚公正証書を作成するメリットは以下のとおりです。

【メリット】

  • 財産の差押えが容易になる
  • 相手の財産を開示させる手続きが使える
  • 第三者から情報を取得する手続きが使える
  • 相手の任意の支払いを期待できる
  • 公証役場で保管される

【デメリット】

  • 夫婦での話し合いが必要
  • 相手が身構える可能性がある
  • 費用がかかる

以上のメリットを踏まえると、離婚協議において養育費、財産分与、慰謝料などの金銭の支払いついて合意した場合には、離婚公正証書を作成しておいた方がよいといえます。

離婚公正証書を作成するまでの流れ

離婚公正証書を作成するまでの流れは以下のとおりです。なお、以下は夫婦で作成する場合の流れで、代理人に任せる場合は以下と異なる流れとなります。

① 離婚に合意する

② 離婚条件について話し合う

③ 書面にまとめる

④ 必要書類を準備する

⑤ 公証役場にコンタクトを取る

⑥ 公証人が離婚公正証書(原案)を作成する

⑦ 公証役場で離婚公正証書にサインする

離婚協議書を作成している場合は③までの手続きは完了しているはずですから、④以降の手続きが必要です。

離婚協議書の作成でよくあるご質問

離婚協議書の作成に関しては様々なご質問をお受けします。以下では、その中でもよくされるご質問と回答をピックアップしてみましたので、今後の参考にしていただければと思います。

離婚協議書を作らなければ離婚できない?

離婚協議書を作らなくても(協議)離婚することは可能です。

法律で要求されている協議離婚の成立要件は「離婚意思の合致」、「離婚届の受理」、「親権者の指定」のみで、離婚協議書の作成は要件とされていません。

もっとも、離婚協議書を作るのは、話し合いで取り決めたことについてあとで言った・言わないのトラブルになることを防止する意義があります。離婚協議書を作らずに離婚した場合は、あとで言った・言わないのトラブルとなる可能性もありますので注意が必要です。

離婚協議書は自分で作ってもいい?

離婚協議書はご自分で作ることも不可能ではありません。弁護士や行政書士などの専門家に頼むと費用が発生しますので、できる限りお金を節約したい場合や自分で作る自信がある場合は、これまで解説してきたことを参考に、チャレンジしてみてもよいでしょう。

もっとも、これまで専門家以外の方が作った離婚協議書を拝見してきましたが、どうしても漏れや不備があり、そのままサインしてしまうと後日、トラブルになりかねないものがほとんどです。ご自分で作ったとしても、専門家のチェックを経ておくことをおすすめします。

離婚協議書と離婚公正証書の違いは?

離婚協議書と離婚公正証書の一番の違いは強制力があるかないかです。すなわち、万が一、養育費などの金銭の未払いが生じた場合、離婚協議書では相手の財産を差し押さえる手続きを取ることはできませんが、離婚公正証書であれば可能になります。もっとも、この強制力を可能にするには、相手から強制執行に服することの同意を得た上で、離婚公正証書の中に、強制執行に同意する旨を盛り込んでおく必要があります。

離婚公正証書を作るには離婚協議書を作らなければならない?

離婚公正証書を作るにあたって離婚協議書を作る必要はありません。公証人との面談の際、公証人に離婚公正証書に盛り込んでもらいたいことを口頭で伝えることも可能です。

もっとも、口頭だと伝え漏れ、聞き漏れがあり、ご自分の要望が離婚公正証書にうまく反映されないおそれがあります。そうしたトラブルを防止し、より自分の要望に沿った離婚公正証書を作ってもらうためにも、あらかじめ書面(離婚協議書でなくてもOK)を作った上で、公証人との面談に臨んだ方がよいといえます。

離婚協議書に記入する日付はいつにすればいい?

離婚時に話し合う項目について過不足なく話し合い、すべての内容について合意し、正式な離婚協議書を作成し、あとは離婚届を提出するだけ、という段階になったら、あらためて離婚協議書にサインする日を設けます。離婚協議書の日付はその日を記入しましょう。

離婚協議書に押す印鑑は三文判でいい?

離婚協議書に押す印鑑は、役所に印鑑登録している実印を押しましょう

実印で押印しておけば、役所が発行する印鑑登録証明書によって、あなたと相手が離婚協議書に押印したことを証明することができ、あとで「押したのは自分ではない」という主張を覆すことができるからです。

離婚協議書が2ページ以上になる場合に気を付けることは?

離婚協議書が2ページ以上になる場合は、ページとページの間に契印を押しましょう。ページの差し替えを防止するためです。契印については以下の記事で詳しく解説されていますので参考にしてみてください。

参照:契印とは | ハンコヤドットコム

離婚協議書は何部必要?

離婚協議書はあなたと相手の分の2部必要です。正式な離婚協議書を印刷する際に、同じ内容の離婚協議書を2部印刷すればよいです。印刷したら、あなたと相手の離婚協議書の間に割印を押しましょう。割印は同じ離婚協議書であることを明らかにするためです。

参照:割印とは | ハンコヤドットコム

離婚協議書は何年保存しておく必要がある?

離婚後のトラブルを防止するためにも、必要な限り、保管し続ける必要があります。特に、子どもに関する取り決め(養育費、面会交流など)をした場合は長期間の保管が必要となるでしょう。なお、離婚公正証書を作成した場合は、その原本は公証役場で20年間保管されます。

離婚協議書の作成に迷ったら専門家にご相談を

ここまで離婚協議書をご自分で作る方法・手順などを解説してきました。離婚協議書はご自分で作成することも可能ですが、大事なことが漏れていたり、法的な面で不備があることが多く、そのままサインしてしまうと離婚協議書がトラブルの火種にもなりかねません。これでは本末転倒ではあいでしょうか? そのため、ご自分で離婚協議書を作成した場合でも、一度弁護士、行政書士などの専門家のチェックを経ておくことをおすすめします。また、作り方に迷われる場合は、行政書士にご相談いただくことも可能ですので、お気軽にご連絡いただければと思います

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。