離婚協議書と離婚公正証書との違いとは?結局、どちらを作るべき?

  • 離婚協議書と離婚公正証書との違いは何ですか?
  • 離婚協議書と離婚公正証書のどちらを作ればいいですか?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

協議離婚する際に作る書面で代表的なのが離婚協議書と離婚公正証書です。ただ、書面に盛り込む内容はさほど変わらない場合もあるため、上記のような疑問、悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は、離婚協議書と離婚公正証書との違いや、協議離婚する際に離婚協議書と離婚公正証書のどちらを作ればよいのかについて解説していきたいと思います。

なお、離婚協議書や離婚公正証書がどのような書面なのかは以下の記事で詳しく解説しています。

離婚協議書と公正証書との違い

それでは、離婚協議書と公正証書との違いを「効力」、「作る人」、「作り方」、「内容」、「証明力」、「費用」の面から詳しくみていきましょう。

違い①~効力

まず、決定的な違いは効力です。

離婚協議書は「過去に〇〇の合意をした」ことを証明する証拠にはなりますが、合意内容を強制する効力まではありません。一方、公正証書は合意内容を証明することはもちろん、合意内容を強制する効力を有します(※ただし、強制力は相手が強制執行に同意した場合で、かつ、養育費や慰謝料など金銭の取り決めに関してのみ生じます。金銭の取り決めではない面会交流などに強制力は生じません)。

違い②~作る人

次に、書面を作る人です。

離婚協議書は誰でも作ることができます。もちろん、ご夫婦で協力して作っていただいてもかまいません。一方、公正証書は公証役場に勤める公証人しか作ることができません。もっとも、公証人以外の人が公証人が公正証書を作る際にベースとする書面(原案)を作ることは可能です。

違い③~作り方

次に、作り方です。

離婚協議書の作り方は自由です。場所や時間に制限はありません。一方、前述のとおり、公正証書は公証人が公証役場で作成します。そのため、あらかじめ夫婦で公正証書に盛り込む内容について合意することはもちろんのこと、必要書類を準備したり、公証人との面談の予約を入れて面談したり、公証役場に足を運んで公正証書にサインするなどの手続を踏む必要があります。

違い④~内容

次に、書面に盛り込む内容です。

離婚協議書には、基本的には、夫婦で盛り込みたいと考える内容を盛り込むことができる自由度の高い書面です。一方、離婚公正証書は、夫婦で盛り込みたいと考える内容を必ず盛り込めるわけではありません。前述のとおり、離婚公正証書を作るのは公証人で、公証人が必要ないと判断した場合は、離婚公正証書に盛り込んでくれないこともあります。

違い⑤~証明力

次に、証明力(信用力)です。

信用力が高ければ高いほど、書面に書いてある内容が事実であることの証明に役立ちますが、一般に、離婚協議書よりも離婚公正証書の方が証明力が高い書面だと認識されます。それは、離婚公正証書は法律のプロである公証人が作る公的な書面だからです。もっとも、離婚協議書だからといって、証明力がまったくないわけではありません。きちんとした内容であれば、離婚公正証書と同等の証明力を有します。

違い⑥~費用

最後に、費用です。

離婚協議書の作成では、専門家に作成を依頼しない限り費用は発生しません。一方、公正証書の作成では費用が発生します。おおむね2万円~6万円の範囲内でおさまることが多いですが、具体的な金額は個別の事情によって異なります。公正証書のベースとなる原案の作成を専門家に依頼した場合は、その費用も負担する必要があります。

離婚協議書、公正証書、どちらを作るべき?

前述のとおり、公正証書は、万が一、将来、お金を支払う義務のある人がお金を支払わなくなった場合に最も効力を発揮する書面です。このことから、離婚にあたって養育費などの金銭の取り決めをした場合は公正証書を作るべきといえます。

もっとも、公正証書を作るため、公正証書に強制執行の認諾文言を盛り込むには相手の同意が必要です。金銭の未払いが不安だからといって、公正証書を作ることにこだわりすぎると相手との信頼関係が崩れ、同意を得られなくなる可能性も考えられます。

そのため、金銭の取り決めをしない場合やした場合でも金銭の未払いの不安がない場合は離婚協議書にとどめておくことも選択肢の一つです。公正証書を一人で作ることはできませんから、公正証書の作成を希望する場合は相手の同意が得られるよう、誠実に話し合いを進めていくことが求められます。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚や夫婦問題を中心に取り扱う行政書士です。 離婚や夫婦問題でご相談ご希望の方は「お問い合わせ」よりご連絡いただきますようお願いいたします。