離婚公正証書を作るメリット・デメリットとは?離婚行政書士が解説

相談者
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これから離婚公正証書を作ろうと考えているのですが、本当に作るべきなのか判できなくて悩んでいます。

行政書士こぶき
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それなら、離婚公正証書を作るメリット・デメリットをおさらいしてみましょう。まずは、離婚公正証書を作るメリット・デメリットをしっかりと把握した上で、作るか作らないか判断されてもよろしいかと思います。

離婚公正証書を作るメリット

それでは、離婚公正証書を作るメリットからみていきましょう。

財産の差押えが容易になる

まずは、相手が養育費などのお金を払わなくなった場合に、相手の財産(主に給与)を差し押さえることが容易になるという点です。

通常、相手の財産を差し押さえるには次のステップを踏む必要があります。

  • 調停、裁判を提起する
  • 債務名義(※)を取得する
  • 裁判所に対する財産の差押えの申立て
  • 差押命令の獲得

しかし、離婚公正証書を作っておけば離婚公正証書が債務名義となりますから、債務名義を取得するために調停や裁判を起こす手間を省くことができる(①、②の手続きを省略できる)ということです。なお、債務名義とは、相手にお金の支払いを請求できる権利があることを公的に証明してくれる文書のことです。離婚公正証書のほかに調停調書、判決書などがあります。債務名義がなければ③の手続きをとることができません。

相手の財産を開示させる手続きが使える

次に、相手の財産を開示させる手続きが使えるという点です。

相手の財産を差し押さえるといっても、まずは相手が今現在どんな財産をもっているのかを明らかにしなければいけません。この点、相手が財産の開示請求に任意に応じ、すべて開示してくれれば問題はないのですが、お金の未払いが続いている場合はあまり期待できません。そこで、裁判所を通じて相手の財産を開示させる手続き(財産開示手続)が用意されています。離婚公正証書を作っておけば、裁判所に財産開示手続を申し立てることができます。

行政書士こぶき
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正当な理由なく、相手が裁判所からの出頭要請に応じない場合は「6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則が用意されています。

参照:財産開示手続 | 裁判所

第三者から情報を取得する手続きが使える

次に、第三者から情報を取得する手続きが使えるという点です。

たとえば、給与を差し押さえるにあたっては、今現在の相手の勤務先の情報を明らかにしてもらわなければいけません。しかし、お金の支払いを拒否している相手にそれを期待することはできないでしょう。そこで、設けられた制度が第三者からの情報取得手続です。給与を差し押さえる場合は市区町村または日本年金機構など厚生年金を扱う団体、あるいはその両者から相手の勤務先の情報を取得します。離婚公正証書を作っておけば、裁判所に第三者からの情報取得手続を申し立てることができます。

参照:第三者からの情報取得手続 | 裁判所

相手の任意の支払を期待できる

次に、相手の任意の支払を期待できるという点です。

前述のとおり、離婚公正証書には様々な強制力が付与されます。仮に、給与が差押えられると、当然のことながら相手が使えるお金は減ります。また、差押えの通知は相手の勤務先にも届きますから、仕事にも何かしらの影響が出てくるかもしれません。こうした事態を避けるには、お金を払い続ける(払う)しかありません。離婚公正証書を作る最大のメリットはお金の未払いをあらかじめ防止することにあります。

公証役場で保管される

最後に、離婚公正証書の原本は公証役場で保管されるという点です。保管期間は原則20年です。

離婚公正証書に署名押印した後は、夫婦それぞれに離婚公正証書の正本(原本の写しで、原本と同じ効力が認められる離婚公正証書)が交付されますが、正本を紛失したとしても、原本が保管されている限り、公証役場に正本の発行を請求することができます。

離婚公正証書を作るデメリット

続いて、離婚公正証書を作るデメリットです。

夫婦間での話し合いが必要

まず、夫婦間で離婚について合意し、離婚条件(親権、養育費、財産分与など離婚するにあたって取り決めなければいけない事項)について話し合う必要がある点です。

相手が話し合いに応じてくれない場合や離婚条件で揉める場合は精神的に大きな負担となることが考えられます。最終的に離婚に合意できなければ離婚公正証書を作ることはできませんし、離婚に合意できたとしても離婚条件について合意できなければ離婚公正証書を作ることはできません。

相手が身構える可能性がある

次に、相手が身構える可能性があるという点です。

前述のとおり、離婚公正証書を作る一番の目的は、万が一、相手がお金を支払わなかった場合に相手の給与等を差し押さえることにあります。つまり、離婚公正証書を作るということは、あなたが相手を信用していないと表現しているようなものでもあります。相手からすればいい気持ちはしませんし、離婚公正証書を作ろうともちかけた場合は話し合いがこじれてしまう可能性もあります。

行政書士こぶき
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なお、離婚公正証書を作るため、離婚公正証書に強制執行認諾文言(給与等の財産を差し押さえられてもかまわない、という相手の承諾を盛り込んだ条項)を盛り込むためには相手の同意が必要です。ただ、相手が「お金をきちんと支払います!」という誠意を証明する意味でも、同意していただきたいところではありますね。

費用がかかる

最後に、費用がかかるという点です。

離婚公正証書を作るには公証役場に作成費用を支払う必要があります。作成費用は「1万5000円~4万円」の範囲でおさまることが多いですが、実際には離婚公正証書の内容等によって左右されますので、上記以上の金額となることもあります。具体的な金額は、公証人が離婚公正証書(原案)を作った段階で教えてくれます。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。