離婚協議書の効力とは?強制力はある?作る意味はある?

相談者
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離婚協議書の効力ってどの程度あるのでしょうか?離婚するにあたって作る意味はあるのでしょうか?

行政書士こぶき
行政書士こぶき

離婚協議書は夫婦で合意したことを証明するための書面として効力を発揮します。以下で詳しく解説していきます。

離婚協議書の効力とは?

前述のとおり、離婚協議書の効力を一言でいうと、離婚にあたって夫婦で合意したことを離婚後に確認できること、といえます。

たとえば、夫婦で離婚にあたって養育費について話し合い、養育費の金額などについて合意したとしてます。ただ、人の記憶は頼りないもので、ときの経過とともに徐々に曖昧なものとなっていきます。そして、数か月後、数年後には、養育費の請求期間(子どもがいくつの月齢に達するまで請求できるのか)などについて、離婚のときにどのような合意をしたのか曖昧になっていき、請求する側は請求し続けたいと主張する一方で、支払う側はこれ以上支払いたくないと主張するようになります。

しかし、離婚協議書を作っておけばこうしたトラブルを防ぐことができます。専門家が離婚協議書を作る場合、養育費に関しては金額や支払い期限、支払い方法はもちろん、養育費の請求期間もきちんと明記します。離婚協議書に養育費の請求期間などについてきちんと明記しておけば、上記のように記憶が曖昧となった場合でも、当事者それぞれが離婚協議書を読み返すことで、離婚のときに合意したことをあらためて確認することができます。

ここまで離婚協議書の効力を説明するために養育費を一例を取り上げましたが、離婚にあたって話し合うべきこと、合意すべきことは養育費だけに限りません。また、養育費一つとってみても、話し合うべきこと、合意しなければならないことは多岐にわたります。その一つ一つを夫婦の頭の中で記憶しておくことには限界があり、記憶の中だけにとどめておこうとすると将来、言った・言わないのトラブルに発展する可能性が高いです。こうしたトラブルを防止するには離婚協議書を作っておく必要があります。

離婚協議書に強制力はない

もっとも、公正証書と異なり、離婚協議書には強制力がない点に注意が必要です。

公正証書の中でも、公正証書の中に相手が強制執行に服することに同意する文言を盛り込んだ「強制執行認諾文言付き公正証書」を作っておけば、万が一養育費などの金銭の未払いが生じたときは、その公正証書を根拠として相手の給与などの財産を差し押さえる手続きをとることが可能です。

しかし、離婚協議書にはこうした強制力がありません。前述のとおり、離婚協議書には過去に夫婦で合意した内容を証明する効力をもつにとどまります。離婚協議書を作っている場合に相手の財産を差し押さえる手続きをとるには、まず裁判を提起し、和解や判決で相手に対する請求権をもっていることを確認し、さらに財産を差し押さえるための手続きをとる必要があります。

法的に有効な離婚協議書でなければ効力は発生しない

ここまで離婚協議書の効力について解説してきましたが、そもそも離婚協議書に効力をもたせるには、離婚協議書に法的に有効なことが書かれてあることが前提となります。

たとえば、「100億円の慰謝料を請求する」との部分は法的に無効となる可能性が高いです。なぜなら、通常、100億円という金額は義務者が一生かかっても払えない金額であることが明らかであり、そもそも当事者間で有効な合意がなされたのか疑問の余地が残るからです。また、「〇〇した場合は親権者を〇に変更する」との部分も無効です。離婚後、親権者を変更するには、家庭裁判所に申し立てを行う必要があるからです。

このように、離婚協議書の中に社会常識(公序良俗)に反することや法律に反することが書かれてある場合、その部分は無効である可能性が高いく、離婚協議書としての効力は発生しません。もっとも、無効かどうか判断の見極めが難しい場合もありますので、その場合は専門家に相談することをおすすめします。

法的に有効な離婚協議書でも効力が発生しないことも

また、離婚協議書に法的に有効な内容が書かれている場合でも、内容自体が不十分だったり、解釈の余地を残す内容の場合は離婚協議書の効力が発生しないことがあります

たとえば、「親権をもつ母親が父親に養育費4万円を請求する」という内容を離婚協議書に書いていたとします。しかし、この内容では不十分です。なぜなら、そもそもどの子どもに関する養育費の取り決めなのか(子どもが複数いる場合)、いつからいつまで請求するのか、支払い期限や方法はどうするのかがまったくわからず、あとでトラブルとなる可能性があるからです。

離婚協議書を作る際は法的に有効か否かはもちろん、離婚協議書に盛り込んだ内容に過不足はないか、将来、内容の解釈をめぐってトラブルに発展することはないか、という点にもしっかり気を払う必要があります。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。