離婚協議書の効力とは?強制力はある?作る意味はある?

  • 離婚協議書はどんな効力をもっていますか?
  • 離婚協議書に強制力はありますか?
  • 離婚協議書を作る意味って何なのでしょうか?
  • 自分で作っても効力はあるのでしょうか?

この記事では、このような疑問、悩みにお応えします。

離婚協議書を作るにしても、離婚協議書にどんな効力があるのか、相手にきちんと約束を守ってもらえるのか、作る意味があるのか疑問をお持ちの方もおられると思います。そこで、今回は、離婚協議書の効力や離婚協議書を作る意味について詳しく解説していきたいと思います。

離婚協議書の効力

離婚協議書の効力は次の2つです。

お互いを拘束する

まず、離婚協議書は契約書の一種ですから、離婚協議書にサインした当事者は、離婚協議書にかかれた内容に拘束されます

たとえば、離婚協議書に「AはBに対して慰謝料100万円を支払う。」と書かれていた場合、AはBに対して慰謝料100万円を払う必要があります。一方、Bは、仮に、あとで「Aに慰謝料を150万円請求したい」と思っても、100万円しか請求することができません。

約束したことを証明できる

次に、約束したことを証明できることです。

先ほどの例で、たとえば、AがBに対し「慰謝料を払うなんて約束してない。」などと言っても、Bは離婚協議書を持ちだして、「ほら、ここに「支払う。」と書いてあるでしょ。」とAに反論することができます。離婚協議書は約束した内容を証明する証拠になります。

離婚協議書を作るのはトラブル防止のため

こうした離婚協議書の効力から、離婚協議書を作るのは、離婚後の言った・言わないのトラブルを防止するためにあるいえます。夫婦がどんなことを約束したのかは離婚協議書を見ればわかるわけですから、先ほどのように、相手から「そんなこと約束してない。」などと言われることを防止できるのです。「相手に約束を破られるのではないか」という不安を少しでもお持ちの場合は、離婚協議書を作っておいた方が安心です。

内容によっては効力が発生しないことも

ただ、離婚協議書が以上のような効力をきちんと発揮するには、離婚協議書に法的に有効なことが書かれてあることが前提となります。

たとえば、離婚協議書に「AはBに対して慰謝料100億円を支払う。」と書いてあったとしても、その部分は法的に無効で効力が発生しない可能性が高いです。通常、離婚慰謝料の相場は高くても300万円程度であるところ、相場よりもはるかに高い金額だからです。また、「〇〇した場合は親権者を〇に変更する。」との部分も無効で効力は発生しないでしょう。離婚後、親権者を変更するには、家庭裁判所に申し立てを行う必要があるからです。

このように、離婚協議書の中に社会常識(公序良俗)に反することや法律に反することが書かれてある場合、その部分は無効である可能性が高く、離婚協議書としての効力は発生しない可能性がある点に注意が必要です。

また、離婚協議書に法的に有効な内容が書かれている場合でも、内容自体が不十分だったり、解釈の余地を残す内容の場合は離婚協議書の効力が発生しないことがあります

たとえば、「親権をもつ母親が父親に養育費4万円を請求する」という内容を離婚協議書に書いていたとします。しかし、この内容では不十分です。なぜなら、そもそもどの子どもに関する養育費の取り決めなのか(子どもが複数いる場合)、いつからいつまで請求するのか、支払い期限や方法はどうするのかがまったくわからず、あとでトラブルとなる可能性があるからです。

離婚協議書を作る際は法的に有効な内容か否かはもちろん、離婚協議書に盛り込んだ内容に過不足はないか、将来、解釈をめぐってトラブルに発展するような曖昧な文言は盛り込まれていないか、などの点にもしっかり注意する必要があります。

自分で作る離婚協議書の効力は?

なお、稀に、自分で作る離婚協議書には効力はない、専門家が作らなければ効力は発生しない、などと思っている方がいますが、大きな勘違いです。内容がしっかりしている限り、ご自分で作った離婚協議書でも効力は認められます

繰り返しになりますが、離婚協議書は個人と個人が取り決めをしたときに取り交わす契約書の一種です。もし、個人が作った契約書に効力が認められないとすれば、誰も安心して取り引きなどできません。

もっとも、専門家であれば法的に有効な内容を、解釈の余地なく作ることができますから、その意味で、一般の方よりも効力のある離婚協議書を作ることができる、ということはいえるかと思います。

離婚協議書と公正証書の効力の違い

離婚協議書に似た書面として公正証書があります。離婚協議書と公正証書とでは、効力面で以下の違いがあります。

強制力があるかどうか

まず、公正証書には強制力がありますが、離婚協議書には強制力がない点です。

先ほどの例で、仮に、Bが「確かに約束はした。でも、今はお金がないから払えない。」などと言って慰謝料の支払いを拒否した場合、離婚協議書を作っていてもBに強制的に慰謝料を払わせることはできません。一方、公正証書を作っておくと、相手の財産を差し押さえて、そこから金銭を回収する手続きをとることが可能です。

信用力が高いか低いか

次に、信用力が高いか低いかです。

公正証書は公証人、つまり主に元裁判官、元検察官、元弁護士だった人が作りますし、公証人が当事者の意思をよく確認して公正証書を作りますから、一般に離婚協議書に比べて信用力が高いと考えられます。仮に、裁判などで公正証書を証拠として使った場合は、公正証書に書いてある内容の主張が通りやすくなる可能性はあるといえます。

金銭の取り決めをした場合は公正証書の作成を

このように、公正証書に比べて離婚協議書の効力は弱いと言わざるをえません。そこで、離婚協議で養育費などの取り決めをした場合は公正証書を作っておきましょう

前述のとおり、公正証書には強制力がありますから、公正証書を作っておくことで、相手に強制力というプレッシャーをかけ続けることができ、それが結果的に、金銭の支払につながりやすくなるからです。

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投稿者プロフィール

小吹 淳
小吹 淳
離婚分野を中心に取り扱う行政書士です。 行政書士に登録する前は法律事務所に約4年、その前は官庁に約13年勤務していました。実務を通じて法律に携わってきた経験を基に、離婚に関する書面の作成をサポートさせていただきます。